
Geminiのスライド作成機能とは?業務効率化に向けた活用法と定着の進め方
Googleが提供するAIアシスタント『Gemini(※)』は、文章作成や情報整理だけでなく、Google Workspaceの各種アプリと連携した資料作成の支援にも活用できます。なかでも「スライド作成」を補助する機能は、日々の資料作りに追われるビジネスパーソンにとって、時間短縮を実現する手段として注目されています。
しかし、生成AIを業務に導入する際に、「本当に実用的なレベルの資料ができるのか」「ファクトチェックはどうするか」といった声も少なくありません。特に、情報システム部門(情シス)や総務部門、経営企画などの管理部門が少人数の企業においては、新しいツールの検証や全社的な利用ルールの策定、現場への定着支援にまで手が回らないのが実情ではないでしょうか。
この記事では、Geminiのスライド作成機能でできることや、全社展開によって期待できるメリット、活かしやすい業務などについて解説します。
※Gemini は、Google LLCの商標または登録商標です。
目次[非表示]
- 1.Geminiでスライド作成は何ができるのか
- 2.Geminiのスライド作成を全社展開するメリット
- 2.1.資料作成の時間を短縮しやすい
- 2.2.資料品質のばらつきを抑えやすい
- 2.3.少人数情シスでも全社の改善を進めやすい
- 2.4.効果測定もしやすい
- 3.Geminiのスライド作成を活かしやすい業務
- 3.1.社内報告資料や定例会議資料
- 3.2.マニュアルや説明資料のたたき台
- 3.3.提案書や企画書の下書き
- 3.4.問い合わせ対応用の説明資料
- 4.全社展開の前に決めたいこと
- 4.1.入力してよい情報・入力してはいけない情報を分ける
- 4.2.参照できるファイルや共有範囲を見直す
- 4.3.利用対象者と対象業務を整理する
- 4.4.出力内容の確認ルールを決める
- 4.5.テンプレートや使い方ガイドをそろえる
- 5.Geminiを“使える状態”にするための進め方
- 5.1.1. 一部門・一用途から始める
- 5.2.2. 教育やレクチャーを用意する
- 5.3.3. 継続的に見直す前提で運用する
- 6.Geminiの活用を自社だけで進めにくい場合の考え方
- 7.まとめ
Geminiでスライド作成は何ができるのか
まずは、Geminiを活用してスライドや資料作成をどこまで自動化・省力化ができるのか、機能の全体像と具体的な活用イメージを解説します。
プロンプトからスライド案を作れる
Geminiの特徴は、ユーザーが自然な言葉で指示を出す「プロンプト(指示文)」から、スライドの構成案やたたき台の作成を短時間で支援できる点です。
例えば、「中小企業のITセキュリティ対策に関する、社内周知用の研修スライドの構成案を作って」と指示することで、スライドのたたき台やページごとの構成案を作成しやすくなります。資料作成で負担となる「白紙の状態から構成を考える」プロセスをAIが支援するため、作成にかかる初期の手間を削減できます。
なお、Gemini in Google スライドで利用できる機能は、契約プラン、管理者設定、言語設定、提供状況によって異なる場合があります。導入前に、自社のGoogle Workspace環境でどこまで利用できるかを確認しておくことが重要です。
既存資料や社内情報を基に構成を考えやすい
Geminiは、既存のドキュメントやGoogleドライブ上の資料などを参考にしながら、スライドの構成を練り直す場面でも活用できます。
長文の報告書やデータ資料をもとに「要点を絞って5ページのスライドにまとめて」と指示することで、重要なポイントを抽出し、プレゼン用の構成案に変換しやすくなります。社内情報や既存資産を再利用して、別の形式の資料へ落とし込む場面で役立ちます。
要約・言い換え・画像生成も組み合わせやすい
スライドの骨子を作るだけでなく、各ページ内の細かなブラッシュアップにもGeminiの機能を組み合わせることができます。
文字数制限に合わせて「この文章を30文字以内で要約して」と指示したり、「専門用語をかみ砕いた表現に言い換えて」と調整を求めたりできます。さらに、スライドのテーマに合ったイメージ画像の生成・挿入を支援する機能もあります。ただし、生成画像は現実の状況を正確に表すとは限らないため、社外向け資料に使う場合は、権利関係や内容の妥当性を確認することが重要です。
Geminiのスライド作成を全社展開するメリット
Geminiの機能をITリテラシーが高い一部の従業員だけでなく、全社展開して組織全体で利用できるようにすることで、単なるツールの導入にとどまらないメリットがあります。
資料作成の時間を短縮しやすい
全社展開によって得られる直接的な効果は、全従業員の資料作成にかかる時間を短縮できる点です。
ビジネスパーソンは、日々の定例会議の報告書や社内向け提案書、マニュアル作成など、多くの資料作りに時間を費やしています。Geminiを活用して構成案や初期のテキスト作成時間を短縮できれば、その時間を戦略立案や課題解決、顧客対応といった、コア業務に充てられます。
資料品質のばらつきを抑えやすい
部門ごとに業務が独立するにつれて、作成される資料の品質に差が生じるのはよくある課題です。文章力や構成力に長けた一部の従業員に頼りきりになり、ほかの従業員の資料は論点が不明瞭になる状況が生まれることがあります。
Geminiを標準的な補助ツールとして全社で利用すれば、誰でも一定の水準(ロジカルな構成や分かりやすい表現)を満たした資料のたたき台を作成できるようになります。これにより、組織全体の資料品質の底上げが図られ、社内コミュニケーションのスピードも向上します。
少人数情シスでも全社の改善を進めやすい
少人数のIT担当者や「ひとり情シス」体制の企業において、各部門から依頼されるマニュアル作成や説明資料の準備をすべて情シスが引き受けるのは、リソースの観点から不可能です。
Geminiを全社に提供して活用方法を周知すれば、情シスが資料を作る代わりに、現場の各部門が「自分たちで必要な資料を安全かつ迅速に作る」自走を後押しできます。最小限の管理リソースで、会社全体の業務効率化を主導できるのが、情シスにとってのメリットです。
効果測定もしやすい
クラウド型のAIアシスタントツールを法人向けプランで一元管理することで、全社での活用度合いや費用対効果の測定が行いやすくなります。
管理機能で把握できる利用状況や、従業員への定期的なアンケート、作業時間の自己申告などを組み合わせることで、「資料作成にかかる時間がどの程度変化したか」「資料の修正回数や問い合わせが減ったか」といった導入効果を把握しやすくなります。
これにより、投資成果を経営層へ説明しやすくなり、さらなるIT投資やDX推進を検討する際の材料になります。
Geminiのスライド作成を活かしやすい業務
具体的にどのような資料作成業務からGeminiの活用をスタートすれば、効果を実感しやすいのでしょうか。実務に即したユースケースを紹介します。
社内報告資料や定例会議資料
毎週あるいは毎月作成している会議資料や社内報告書は、Geminiによる効率化の恩恵を受けやすい業務です。
これらの資料は、記載項目や構成がある程度決まっているケースが多いため、「先月の資料の構成を踏まえ、今月の実績データを基に報告スライドの骨子を作成して」といった指示がとおりやすくなります。パターン化された資料作りの時間を減らし、会議に向けた分析や議論の準備に時間を割けます。
マニュアルや説明資料のたたき台
新しい社内システムの導入や、人事制度の変更にともなう手順書、社内ルールのガイドブックなど、社内向けの説明資料づくりにもGeminiは向いています。
システム部門が手順書を作る際、技術的な目線に偏ってしまい現場の従業員に伝わりづらい文章になることがあります。そこで、Geminiに「IT知識が少ない新入社員でも理解できる操作マニュアルの構成を考えて」と補正を依頼します。分かりやすく要点がまとまった資料のたたき台を短時間で用意できます。
提案書や企画書の下書き
新しいプロジェクトの企画書や社内向けの新規提案書を作成する際、最初から綺麗なスライドをデザインしようとすると、アイデアがまとまらずに時間が過ぎてしまいがちです。
まずはGeminiを壁打ち相手として使い、企画のコンセプトや想定されるリスク、解決策などのアイデアをテキストベースでスライド構成へと落とし込みます。最終的なデザインや微調整は人間が行う前提で、「大まかな方向性やロジックを早期に固める」という下書きの用途で利用すると、企画の立案スピードが向上します。
問い合わせ対応用の説明資料
ヘルプデスク業務や社内窓口への問い合わせを削減するための、簡易的なFAQスライドやトラブルシューティング資料の作成にも活かせます。
「PCのパスワードを忘れたときの対処法」「社内Wi-Fiの接続手順」など、頻繁に寄せられる質問に対する解説資料を作る際、過去の対応ログをGeminiに読み込ませ、分かりやすいスライド用の説明文へ構成し直すことで、社内周知に役立つサポート資料をスピーディーに作成できます。
全社展開の前に決めたいこと
Geminiのスライド作成機能は便利ですが、事前の取り決めなしに現場へ任せると、セキュリティ事故や現場の混乱を招く原因になります。無秩序な利用を防ぐため、事前に決めておきたい前提条件を解説します。
入力してよい情報・入力してはいけない情報を分ける
優先して定義したいのが、AIツールに対して「入力してよい情報」と「入力してはいけない情報」です。
顧客の個人情報、機密性の高い契約内容、自社固有の技術や未公開の財務データなどはプロンプトへの入力を禁止します。要約や構成案の作成を依頼する際は、あらかじめ具体的な名称や数値を「A社」「〇〇万円」のようにマスキング(匿名化)するルールを定めます。
Google Workspaceの法人向け環境でデータ保護の仕組みが用意されている場合でも、情報ガバナンスを維持するために、入力・参照してよい情報の仕分けは必要です。
参照できるファイルや共有範囲を見直す
GeminiがGoogleドライブ上の資料などを参照する場合、ユーザーがアクセスできる情報の範囲が回答や提案に影響します。
共有範囲が広すぎるファイルや、不要な閲覧権限が残っているフォルダがあると、本来参照すべきでない情報が資料作成に使われるおそれがあります。
全社展開前に、Driveや共有ドライブの権限設定を見直し、必要な人だけが必要な情報にアクセスできる状態にしておくことが重要です。
利用対象者と対象業務を整理する
ツールを全従業員に一律で解放するのか、あるいは特定の役職や部門から段階的に付与するのか、利用対象者の範囲を設定します。
同時に、Geminiの使用を推奨する業務と、使用を控えたい重要業務(役員会議の最終決定資料など)の切り分けを行います。誰がどの用途で使っているのかを情シスが管理できる状態にしておくことで、シャドーAI化のリスクを抑えやすくなります。
出力内容の確認ルールを決める
AIが生成したテキストや構成案には、事実と異なる「ハルシネーション」が含まれる可能性があります。そのため、出力された内容をそのままスライドとして完成させないための、社内レビューのルールを確立しておきます。
「AIが作成したスライドは、必ず作成者本人が一次情報の裏付け(ファクトチェック)を行う」「社外への提案や全社ポータルへ掲載する前には、必ず所属長によるダブルチェックを経る」といった手順を明確にし、最終的な内容責任は、AIではなく作成者や承認者が担うことを明確にします。
また、生成された画像やスライドを社外向け資料に利用する場合は、既存コンテンツとの類似性や著作権・商標権などの権利侵害リスクがないかも確認します。
テンプレートや使い方ガイドをそろえる
現場の従業員がツールの利用に迷ったり、不適切なプロンプトで意図しない回答を得たりするのを防ぐため、社内共通のテンプレートや使い方ガイドライン、プロンプトの記述例を事前に用意します。
「これを見れば安全にスライドのたたき台を作れる」という手引書を用意することで、従業員の心理的ハードルを下げられます。また、セキュリティリスクを抑えた形で活用を開始できます。
Geminiを“使える状態”にするための進め方
ツールのライセンスを購入し、ガイドラインを策定しただけでは、現場での本当の意味での「活用定着」には至りません。従業員が日々の業務のなかで日常的に使いこなせる状態にするための、段階的な進め方を解説します。
1. 一部門・一用途から始める
いきなり全社一斉に展開すると、教育やトラブル対応のリソースが不足する可能性があります。まずはスモールスタートとして、資料作成の頻度が多い一部の部門(経営企画部やマーケティング部など)に限定して先行導入します。
用途についても「月次の定例会議資料の骨子作成」などに絞り込み、小さな成功事例(社内ユースケース)を作ることで、運用上の課題や注意点を初期段階で洗い出せます。
2. 教育やレクチャーを用意する
一部の部門での検証が終わったら、全社への展開に向けて具体的な教育プログラムや説明会の機会を用意します。
単なる操作方法のレクチャーではなく、「業務のどのような場面で、どのようにプロンプトを書けば、ハルシネーションのリスクを抑えながら適切な要約や構成案を得やすくなるのか」を伝えるワークショップが効果的です。
情シスが作成した安全なプロンプトのテンプレートを実際に動かし、体験を通じて学ぶ環境を整えます。
3. 継続的に見直す前提で運用する
AIツールを取り巻く環境や機能アップデートは速いため、一度決めた運用ルールやガイドラインが数か月で実態に合わなくなることも想定されます。
「一度作ったら終わり」の運用ではなく、現場の活用状況や課題、ツールの最新仕様を定期的にレビューします。ルールや教育内容を柔軟にアップデートするサイクルを運用の前提に組み込むことが大切です。
Geminiの活用を自社だけで進めにくい場合の考え方
全社への安全な展開と活用の定着は、企業の業務改善において有益な取り組みです。しかし、少人数で保守運用業務を担う情シスや管理部門にとって、すべてのプロセスを内製化するのは困難をともないます。
情シスだけでは導入整理と定着支援を両立しにくい
「ひとり情シス」体制の企業では、PCのキッティング作業やネットワークの障害対応、アカウント管理などで、日々の業務が終わることも珍しくありません。この状態でGeminiのセキュリティ検証や利用対象者の選定、ガイドラインの作成、全従業員向けのリテラシー教育やワークショップなどを単独で行うと、通常業務の停滞や担当者のリソース不足を招きます。
運用整理やレクチャー支援を外部と進める方法もある
自社のリソースやノウハウが不足している場合は、導入設計やガイドラインの策定、現場へのレクチャー研修といった定着させるためのプロセスを、外部のITアウトソーシングサービスと連携して進める方法が有効な選択肢です。
ITインフラやセキュリティ対策の専門知識と導入支援実績を持つ外部ベンダーをパートナーに選ぶことで、自社の環境や業務特性に合わせた運用ルールを迅速に構築し、社内教育の工数を削減できます。例えば、FGLテクノソリューションズの「ITアドバイザリーサービス」や「社内システム運用管理サービス」では、企業のDX推進やITツールの安全な導入、日々の定着運用にいたるまで、情シス部門に寄り添ったサポートを提供しています。
大切なのは導入より“使いこなせること”
ライセンスを契約し、従業員にアカウントを割り当てること自体は難しくありません。重要なのは「導入した機能が現場で適切に使われ、業務効率化や生産性向上に貢献し続けること」です。リスクを理由に利用を禁止するのではなく、ハルシネーションのリスクなどを制御しながら「安全に使いこなせる状態」を組織として構築します。自社だけで抱え込まず外部の知見やITアウトソーシングを活用することが、限られた人員でITガバナンスの維持とビジネスの変革を両立させる手段となります。
まとめ
この記事では、Geminiのスライド作成機能について解説しました。
Geminiでスライド作成は何ができるのか
Geminiのスライド作成を全社展開するメリット
Geminiのスライド作成を活かしやすい業務
全社展開の前に決めたいこと
Geminiを“使える状態”にするための進め方
Geminiの活用を自社だけで進めにくい場合の考え方
生成AIの活用は、資料作成という日常的な業務負担を減らし、企業の生産性を高める可能性を秘めています。そのためには技術的な設定だけでなく、「現場が迷わず、安全に使い続けられる仕組み」の構築が鍵となります。自社の状況に合わせてステップを踏み、必要に応じて外部のサポートも取り入れながら、持続可能な活用基盤を整えてください。
『FGLテクノソリューションズ』では、生成AIを安全に活用するための各種支援サービスを提供しています。ITアドバイザリーサービスや社内システム運用管理サービスを通じて、AI利用ルールの整備、アクセス権限の見直し、ヘルプデスク対応、社内定着に向けた運用設計まで幅広くサポートします。安全なAIツールの導入から社内のIT環境整備まで、約30年にわたり培ってきた当社のノウハウをぜひご活用ください。







