
社用PCのリプレイスにおける選定のポイント。自社に合った機種を導入するには
社用PCの運用においては、情報セキュリティを確保するために定期的なリプレイスが必要となります。
また、情報技術はAIをはじめとして進歩を続けているため、従来使用していた社用PCと同程度のスペックの機種にリプレイスすることが必ずしも有効とは限りません。
この記事では、社用PCについて、選定が必要となる背景や選定のポイント、注意点を解説します。
社用PCのライフサイクルマネジメントについてはこちらの資料をご確認ください。
※2025年8月時点の情報を基に執筆しています。
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社用PCの選定が必要となる背景
社用PCの選定が必要となる背景として、OSのサポート期間が挙げられます。
PC用のOSとして広く使用されているWindows(※)にはサポート期限が設けられており、期限を過ぎる前に新しいバージョンへとアップグレードすることが推奨されています。例えば、Windows10(※)のサポート期限は2025年10月14日です。それまでにWindows11(※)にアップグレードする必要があります。
一方で、社用PCのスペックが新しいバージョンの要件を満たしていない場合はアップグレードができないため、PC本体のリプレイスによる対応が欠かせません。
サポート期限が切れたOSはセキュリティパッチや不具合の修正などを受けられなくなるため、そのまま利用し続けると情報セキュリティ上のリスクにつながります。また、最新の周辺機器やソフトウェアを利用できない可能性も生じます。
アップグレードやリプレイスを行うことで、業務における安全性の確保が可能です。
社用PCのライフサイクルマネジメントについてはこちらの資料をご確認ください。
※Windows、Windows10、Windows11は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。また、Windowsの正式名称はMicrosoft Windows Operating Systemです。
社用PCを選定する際のポイント
社用PCのリプレイスにおいて機種を選定する際は、最新OSのシステム要件や自社の業務内容について考慮することがポイントです。また、社用PCの調達方法についても検討する必要があります。
①Windows11のシステム要件を踏まえる
2025年8月時点で最新のWindowsとなるWindows11は、従来のWindows10よりもシステムの要件が厳しくなっているため、それを踏まえた機種の選定が求められます。
▼Windows11とWindows10のシステム要件比較
項目 | Windows11 | Windows10 |
CPU | 1GHz以上で2コア以上の64ビット互換プロセッサまたは System on a Chip | 1Ghz以上のプロセッサ |
メモリ | 4GB | 1GB(32ビット版) |
ストレージ容量 | 64GB以上 | 16GB(32ビット版) |
TPM | 2.0 | 要件なし |
TPMとはマザーボード上のセキュリティチップのことです。Windows11はTPM2.0をシステム要件に含めることでセキュリティを向上させています。
なお、システム要件はあくまでWindowsをインストールするための最小要件です。業務内容に応じてより高スペックな社用PCが必要となる場合もあります。
例えば、一般的な社内業務(資料作成・表計算ソフトの利用など)であれば、Core i5 / メモリ16GB / SSD 256GB程度のスペックがあると快適に作業できます。
また、近年は性能あたりのコスト(価格性能比)が優れているAMD製CPUを搭載したPCも、コストパフォーマンスの観点から選ばれるケースが増えています。かつては一部ソフトウェアで互換性の問題がありましたが、現在はほとんどのアプリケーションで問題なく動作します。
②業務にAIを導入する可能性があるかを考慮する
自社業務においてAIを導入する可能性がある場合、社用PCとしてNPU搭載の機種を検討する必要があります。
NPUとは、“Neural network Processing Unit”の略で、AI処理を専門的に行うプロセッサです。
AIの活用においては、従来のCPUやGPUで処理した場合に負荷と消費電力がかかりやすい問題がありました。AI処理に特化したNPUを活用することで、より効率的にAIを運用できるようになります。
③業務に必要なグラフィック性能を確認する
社用PCを用いる業務内容によっては、高度なグラフィック性能を必要とするケースがあります。
▼高度なグラフィック性能が必要な業務の例
- CADによる設計・製図
- デザイン
- 映像編集 など
グラフィック性能を確保するには、グラフィック処理用のプロセッサとなるGPUが重要です。性能のよいGPUを搭載した機種を選定したり、USBで接続する外付けGPUを活用したりする方法が考えられます。
④購入とリース、レンタルを比較する
社用PCの調達方法について、購入・リース・レンタルのどの方法を選ぶのかを検討する必要があります。調達方法によって、選定できる社用PCのスペックにも違いが生じます。
▼社用PCにおける購入・リース・レンタルの比較
比較項目 | 購入 | リース | レンタル |
PCスペック | 自由に選べる | 自由に選べる | 限られる |
カスタマイズ | 自由に行える | ある程度可能 | 難しい |
初期コスト | かかりやすい | 抑えやすい | 抑えやすい |
管理工数 | かかりやすい | かかりやすい | 抑えやすい |
故障時の対応 | 修理や再調達が必要 | 修理や再調達が必要 | 代替機が利用できる |
レンタルは購入やリースと比べて機種の選択肢が限られるため、業務内容によっては対応しきれない可能性があります。一方で、管理工数を削減でき、故障時にもすぐに代替機が利用できることから、情報システム部門(以下、情シス)の負担を抑えるにはレンタルが向いています。
社用PCをリプレイスする際の注意点
社用PCのリプレイスは複雑で時間がかかります。思わぬトラブルが生じる場合もあり、自社だけで対応すると情シスの負担が膨らみやすいといえます。
社用PCのリプレイスを行う際は、信頼できる事業者へのITアウトソーシング(業務代行)が有効です。リプレイス業務を外部委託することで、自社の情シスの業務負担を軽減し、コア業務に注力しやすい体制を構築できます。
なお、ITアウトソーシングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、社用PCの選定について以下の内容を解説しました。
- 社用PCの選定が必要となる背景
- 社用PCを選定する際のポイント
- 社用PCをリプレイスする際の注意点
社用PCは、ハードウェア面での故障や不具合だけでなくOSのサポート期限も考慮したうえで定期的にリプレイスを行う必要があります。
社用PCのリプレイスを行う際は、最新OSへの対応や自社の業務内容を踏まえた機種の選定が欠かせません。また、購入・リース・レンタルなどの調達方法についても検討が求められます。
社用PCのリプレイスには時間や労力がかかりやすいため、ITアウトソーシングによって外部の事業者に委託することが有効です。
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