ITアウトソーシング(業務代行)とは? サービス形態の種類と活用のメリット
人材不足が起きている、または従業員数が少ない企業では、社内システムの構築や運用などを担う情報システム部門(以下、情シス)の人員を十分に確保できないことがあります。そこで注目されているのが“ITアウトソーシング(業務代行)”です。
企業の情シスや管理部門においては「ITアウトソーシングにはどのような形態があるのか」「活用することでどのようなメリットがあるのか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ITアウトソーシングにおけるサービス形態の種類と活用によるメリット・デメリット、委託先の企業を選ぶポイントについて解説します。
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ITアウトソーシングとは
ITアウトソーシングとは、IT分野に関わる社内業務を外部に委託することを指します。
近年、IoTやAI、クラウドサービスの普及、DXの推進などを背景に、企業におけるデジタル技術の活用が進められています。社内におけるITインフラの運用保守、システム構築などに対応する情シスや管理部門は、デジタル技術の活用に向けて重要な役割を担います。
しかし、デジタル技術に関する知識やスキルを持つ人材が量・質ともに不足している企業も多く、一人または少人数で情シスを運用しているケースも見られます。このようなリソースに関する課題を解消するために、ITアウトソーシングの活用が有効といえます。
なお、ひとり情シスの抱える課題についてはこちらの記事をご覧ください。
ITアウトソーシングにおけるサービス形態の種類
ITアウトソーシングには、さまざまなサービス形態があります。主に提供方式・対象業務・運用詳細の3つの項目に分類されます。
①提供方式
ITアウトソーシングにおけるサービスの提供方式には、リモート(遠隔)とオンサイト(常駐)の2つの種類があります。
▼サービスの提供方式
提供方式 |
内容 |
リモート(遠隔) |
社内システムの運用保守や管理などを遠隔地からネットワークを介して対応する |
オンサイト(常駐) |
技術者を自社に派遣してもらい、自社に常駐しながらシステム開発やトラブル解決などに対応する |
リモートでの提供方式では、社内から離れた環境からネットワークを介して保守運用のサポートをするため、現場での作業が不要な業務を依頼できます。技術者を派遣する人件費を抑えられることも特徴です。
オンサイトでは、社内に技術者が常駐してサポートを行います。現場での作業が必要なインフラ構築やシステム開発、障害への復旧作業など、デジタル技術に関する高度な知識・スキルを持つ人材が必要な場合に活用できます。
②対象業務
ITアウトソーシングで依頼できる対象業務は、主に開発と運用保守に分けられます。
▼対象業務の内容
対象業務 |
内容 |
開発 |
システム開発をはじめとするプロジェクトの企画から要件定義、実装、運用までをすべて一括で対応する |
運用保守 |
社内のサーバやOSなどのITインフラの運用保守に対応する |
開発業務では、社内システムの開発や社内アプリケーションの開発などを委託することが可能です。自社で技術者を確保するのが難しく、内製化ができない場合に活用できます。
運用保守の業務では、システム全般のメンテナンスやセキュリティ対策などを行い、安定に稼働できるように管理します。情シス・管理部門での負担が大きい場合や、運用保守の効率化、精度向上を図りたい場合などに活用することが可能です。
③運用内容
具体的な運用内容については、社内ヘルプデスクとインフラ管理に分けられます。
▼運用内容の種類
種類 |
内容 |
社内ヘルプデスク |
社内の業務部門から寄せられるツールの使用方法やシステムの不具合などに関する問い合わせに対応する |
インフラ管理 |
サーバ・OS・通信機器・ストレージサービスなどの監視や障害対応、メンテナンス、IT資産管理などを行う |
社内ヘルプデスクは、業務を円滑に遂行するために重要な役割を担いますが、問い合わせの範囲が広く対応に追われることも少なくありません。ITアウトソーシングを活用すれば、問い合わせ窓口を外部に一本化することが可能です。なかには夜間や休日のみ依頼できるサービスもあります。
インフラ管理の運用形態には、さらにホスティング/クラウドサービスとオンプレミスに分けられます。
▼ホスティング/クラウドサービス
外部ベンダーのサーバやストレージを利用して、運用・保守を同じベンダーに委託する形態です。自社でサーバの構築やストレージの購入が必要ないため、運用・保守にかかる労力を削減できます。
▼オンプレミス
自社で運用するサーバや通信機器などの運用・保守を、に委託する形態です。外部ベンダーのサーバを借り受けるホスティングに対して、オンプレミスは自社がサーバや通信機器を用意したうえで運用・保守のみをベンダーに預ける仕組みとなります。
なお、社内ヘルプデスクの課題と解決方法については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
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ITアウトソーシングを活用するメリット
ITアウトソーシングを活用することによって、以下のメリットが期待できます。
▼期待できるメリット
- コア業務に集中できる
- システムのガバナンス強化を図れる
- 知識やノウハウを補填できる
- コストを抑えられる可能性がある
ITアウトソーシングを活用すると、情シスや管理部門の担当者がコア業務に時間を充てられるようになり、生産性の向上が期待できます。技術的かつ専門性が高い業務を外部に任せることによって、ガバナンスの強化にもつながります。
また、IT業界はテクノロジーの移り変わりが早いため、常にスキルや知識をアップデートしていくことが必要です。ITに関わる業務をプロに任せることで、知識・ノウハウを補填して新しい技術や仕組みを自社の事業に活かせるようになります。
そのほか、外部のリソースを有効活用すると、新たな人員を採用・教育する場合と比べてコストを抑えられるケースもあります。
ITアウトソーシングのデメリット
ITアウトソーシングサービスを活用する際は、以下のような注意点もあります。
▼注意しておきたいデメリット
- 自社でノウハウが蓄積されにくい
- セキュリティリスクがある
ITアウトソーシングを利用すると、社内にノウハウが構築されにくいという課題があります。委託した業務内容を履歴に残して自社のナレッジとして蓄積したり、フェーズごとに委託範囲を調整したりすることが重要です。
また、システム開発や運用保守などを依頼するにあたって、社内の情報を外部に渡すことになるため、セキュリティリスクが伴います。委託先のセキュリティ対策を確認したうえで、情報の取り扱いについて定めておく必要があります。
ITアウトソーシングで委託先の企業を選ぶ際のポイント
ITアウトソーシングによってIT分野に関する課題を解決するには、委託先の企業を見極めることが重要です。委託先の企業を選ぶ際のポイントには、以下が挙げられます。
▼委託先の企業を選ぶときのポイント
- セキュリティ対策ガイダンス表示を確認する
- 過去の実績を確認する
セキュリティ対策の体制やレベルについて把握するために、“ISO/IEC 27001”の認証を受けているかどうかを確認します。ISO/IEC 27001は、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格となり、この表記がある企業は規則に則ったセキュリティ対策を行っていると判断できます。
また、過去の実績を確認して、その企業の評価や自社がアウトソーシングしたい業務を請け負ったことがあるかどうかを確認することも重要です。
まとめ
この記事では、ITアウトソーシングについて以下の内容を解説しました。
- ITアウトソーシングにおけるサービス形態の種類
- ITアウトソーシングを活用するメリット・デメリット
- 委託先の企業を選ぶ際のポイント
ITアウトソーシングを利用することで、コア業務へのリソースを確保できるほか、ガバナンスの強化、知識・ノウハウの補填、コストの削減などのメリットが期待できます。
ただし、企業によってサービスの提供方式・対象業務・運用内容などが異なるため、依頼したい業務と範囲に応じて選ぶ必要があります。その際は、セキュリティ対策のガイダンス表示や過去の実績などを確認することがポイントです。
『FGLテクノソリューションズ』では、約20年にわたって蓄積した経験とノウハウを基に、ITインフラ構築や管理、ヘルプデスク、キッティングなどの幅広い業務の代行を承っております。また、ISO27001(ISMS)認証を取得しており、情報セキュリティ対策についても万全の体制を整えております。