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ITアウトソーシング(業務代行)とは? サービス形態と運用時のチェックポイント

※2025年8月6日更新

人材不足が起きている、または従業員数が少ない企業では、社内システムの構築や運用などを担う情報システム部門(以下、情シス)の人員を十分に確保できないことがあります。そこで注目されているのが“ITアウトソーシング(業務代行)”です。

企業の情シスや管理部門においては「ITアウトソーシングにはどのような形態があるのか」「活用することでどのようなメリットがあるのか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ITアウトソーシングにおけるサービス形態の種類と活用によるメリット・デメリット、委託先の企業を選ぶポイントについて解説します。

ITアウトソーシングによる社内システム運用管理についてはこちらの資料をご確認ください。


目次[非表示]

  1. 1.ITアウトソーシングとは
  2. 2.ITアウトソーシングのサービス形態
    1. 2.1.①提供方式
    2. 2.2.②対象業務
    3. 2.3.③運用内容
  3. 3.ITアウトソーシングを活用するメリット
  4. 4.ITアウトソーシングを運用する際のチェックポイント
    1. 4.1.①サービス事業者のセキュリティ意識は十分か
    2. 4.2.②サービス品質に問題はないか
    3. 4.3.③自社にノウハウを蓄積できる体制になっているか
    4. 4.4.④新しい技術や世の中の動向を取り入れているか
  5. 5.まとめ


ITアウトソーシングとは

ITアウトソーシングとは、IT分野に関わる社内業務を外部に委託することです。

近年、IoTやAI、クラウドサービスの普及、DXの推進などを背景に、企業におけるデジタル技術の活用が進められています。社内におけるITインフラの運用保守、システム構築などに対応する情シスや管理部門は、デジタル技術の活用に向けて重要な役割を担います。

しかし、デジタル技術に関する知識やスキルを持つ人材が量・質ともに不足している企業も多く、一人または少人数で情シスを運用しているケースも見られます。このようなリソースに関する課題を解消するために、ITアウトソーシングの活用が有効といえます。


なお、ひとり情シスの抱える課題についてはこちらの記事をご覧ください。

  ひとり情シスの抱える課題と対策を背景とともに解説 企業のIT戦略やシステム企画、セキュリティ管理などを担う情報システム部門は、安定した事業活動に欠かせません。しかし、企業の利益に直結する部門ではなく、人材が不足していることを理由に、情シス部門のリソース確保にコストを割かない企業もあります。この記事では、ひとり情シスの課題や対策方法について解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ



ITアウトソーシングのサービス形態

ITアウトソーシングには、さまざまなサービス形態があり、主に提供方式・対象業務・運用内容の3つの項目において分類が行えます。


①提供方式

ITアウトソーシングにおけるサービスの提供方式には、リモート(遠隔)とオンサイト(常駐)の2つの種類があります。


▼サービスの提供方式

提供方式

内容

リモート(遠隔)

社内システムの運用保守や管理などを遠隔地からネットワークを介して対応する

オンサイト(常駐)

技術者を自社に派遣してもらい、自社に常駐しながらシステム開発やトラブル解決などに対応する


リモートでの提供方式では、社内から離れた環境からネットワークを介して保守運用のサポートをするため、現場での作業が不要な業務を依頼できます。技術者を派遣する人件費を抑えられることも特徴です。

オンサイトでは、社内に技術者が常駐してサポートを行います。現場での作業が必要なインフラ構築やシステム開発、障害への復旧作業など、デジタル技術に関する高度な知識・スキルを持つ人材が必要な場合に活用できます。


②対象業務

ITアウトソーシングで依頼できる対象業務は、主に開発と運用保守に分けられます。また、ほぼすべての工程を外部委託するフルアウトソーシングもあります。


▼対象業務の内容

対象業務

内容

開発

プロジェクトの企画・要件定義・実装を委託する

運用保守

サーバやOSなどのITインフラの運用保守を委託する

フルアウトソーシング

IT部門におけるほぼすべての工程を一貫して委託する


開発業務では、社内システムの開発や社内アプリケーションの開発などを委託できます。自社で技術者を確保するのが難しく、内製化が困難な場合に活用することが有効です。

運用保守の業務では、システム全般のメンテナンスやセキュリティ対策などを行い、安定に稼働できるように管理します。情シス・管理部門での負担が大きい場合や、運用保守の効率化・精度向上を図りたい場合などに活用できます。

フルアウトソーシングの場合、IT部門で必要となる業務を開発や運用保守を含めて委託することが可能です。なお、プロジェクトの企画部分のみを自社で行って残りを委託するケースもあります。


③運用内容

具体的な運用内容については、社内ヘルプデスクとインフラ管理に分けられます。


▼運用内容の種類

種類

内容

社内ヘルプデスク

社内の業務部門から寄せられるツールの使用方法やシステムの不具合などに関する問い合わせに対応する

インフラ管理

サーバ・OS・通信機器・ストレージサービスなどの監視や障害対応、メンテナンス、IT資産管理などを行う


社内ヘルプデスクは、業務を円滑に遂行するために重要な役割を担いますが、問い合わせの範囲が広く対応に追われることも少なくありません。ITアウトソーシングを活用すれば、問い合わせ窓口を外部に一本化することが可能です。なかには夜間や休日のみ依頼できるサービスもあります。

インフラ管理の運用形態は、さらにホスティング/クラウドサービスとオンプレミスに分けられます。


▼ホスティング/クラウドサービス

外部ベンダーのサーバやストレージを利用して、運用・保守を同じベンダーに委託する形態です。自社でサーバの構築やストレージの購入が必要ないため、運用・保守にかかる労力を削減できます。


▼オンプレミス

自社で運用するサーバや通信機器などの運用・保守を委託する形態です。外部ベンダーのサーバを借り受けるホスティングに対して、オンプレミスは自社がサーバや通信機器を用意したうえで運用・保守のみをベンダーに預ける仕組みとなります。


なお、社内ヘルプデスクの課題と解決方法については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

  社内ヘルプデスクの基礎知識! よくある課題と4つの解決方法 情報システム(以下、情シス)部門は、ITシステムを安定的に稼働させるために欠かせません。情シス担当者が行う社内ヘルプデスク業務も、業務を円滑に進められる環境を整備するために必要な業務のひとつです。 しかし、従業員からの問い合わせやトラブル対応など幅広い業務に対応する必要があるため、1人または少人数の体制で運用している場合には、さまざまな業務課題につながりやすくなります。 社内ヘルプデスクを効率的に対応するには、現状課題を踏まえつつ、改善につなげることが重要です。そのためには、運用体制の見直しやシステム・ツール・ITアウトソーシングサービスの導入などを図る必要があります。 株式会社FGLテクノソリューションズ


>>社内システム運用管理業務トータルサポートサービスに関する資料ダウンロードはこちら



ITアウトソーシングを活用するメリット

ITアウトソーシングを活用することによって、以下のメリットが期待できます。


▼期待できるメリット

  • コア業務に集中できる
  • システムのガバナンス強化を図れる
  • 知識やノウハウを補填できる
  • コストを抑えられる可能性がある


ITアウトソーシングを活用すると、情シスや管理部門の担当者がコア業務に時間を充てられるようになり、生産性の向上が期待できます。技術的かつ専門性が高い業務を外部に任せることによって、ガバナンスの強化にもつながります。

また、IT業界はテクノロジーの移り変わりが早いため、常にスキルや知識をアップデートしていくことが必要です。ITに関わる業務をプロに任せることで、知識・ノウハウを補填して新しい技術や仕組みを自社の事業に活かせるようになります。

そのほか、外部リソースの有効活用によって、新たな人員を採用・教育する場合よりもコストを抑えられる可能性もあります。



ITアウトソーシングを運用する際のチェックポイント

ITアウトソーシングを運用する際は、いくつかのチェックポイントを押さえておくことが重要です。


▼ITアウトソーシングを運用する際のチェックポイント

  • サービス事業者のセキュリティ意識は十分か
  • サービス品質に問題はないか
  • 自社にノウハウを蓄積できる体制になっているか
  • 新しい技術や世の中の動向を取り入れているか


これらのチェックポイントについて、委託先の選定時だけでなく、既に委託している場合にも確認が必要となります。現状の委託先に不安・不満がある場合には、サービス事業者のリプレイスを検討することも一つの方法です。


①サービス事業者のセキュリティ意識は十分か

ITアウトソーシングの運用においては、サービス事業者のセキュリティ意識を確認しておく必要があります。

Iシステム開発や運用保守などを委託するためには社内の情報を外部に渡す必要があることから、セキュリティリスクが伴います。

セキュリティ対策の体制やレベルについて把握するためには、“ISO/IEC 27001”の認証を受けているかの確認が有効です。ISO/IEC 27001は、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格となり、この表記がある企業は規則に則ったセキュリティ対策を行っていると判断できます。


②サービス品質に問題はないか

ITアウトソーシングを運用する場合、事業者の提供するサービス品質について確認が必要です。

サービス品質に問題があると、自社で行うよりも業務の質が落ちたり、自社でサポートに回る必要が生じて生産性の低下につながったりする可能性があります。

ITアウトソーシングを既に運用している場合、それによって余計な業務やコストが発生していないかを確認することが欠かせません。

また、事業者をこれから選定する場合には過去の実績を確認したり、責任範囲を明確にしたりすることが有効です。


③自社にノウハウを蓄積できる体制になっているか

ITアウトソーシングを利用する場合でも、自社にノウハウを蓄積できる体制を確保しておくことが重要です。外部の事業者に任せきりにすると社内のエンジニアが成長できず、将来的な内製化も難しくなります。

委託した業務内容を履歴に残して自社のナレッジとして蓄積したり、フェーズごとに委託範囲を調整したりすることが可能なサービス事業者を選定する必要があります。


④新しい技術や世の中の動向を取り入れているか

ITアウトソーシングを効率的に活用するには、新しい技術や世の中の動向を取り入れている事業者に委託することが欠かせません。

IT技術は日々進歩しており、ITを取り巻く世の中の動向も目まぐるしく変化しています。これらを反映できていないサービス事業者の場合、自社の現状に合った適切なサービスの提供を期待することが難しくなると考えられます。




まとめ

この記事では、ITアウトソーシングについて以下の内容を解説しました。


  • ITアウトソーシングにおけるサービス形態の種類
  • ITアウトソーシングを活用するメリット
  • ITアウトソーシングを運用する際のチェックポイント


ITアウトソーシングを利用することで、コア業務へのリソースを確保できるほか、ガバナンスの強化、知識・ノウハウの補填、コストの削減などのメリットが期待できます。

ただし、企業によってサービスの提供方式・対象業務・運用内容などが異なるため、依頼したい業務と範囲に応じて選ぶ必要があります。

ITアウトソーシングを既に運用している場合も、現状に不安・不満があればサービス事業者のリプレイスを検討することが有効です。

FGLテクノソリューションズ』では、約20年にわたって蓄積した経験とノウハウを基に、ITインフラ構築や管理、ヘルプデスク、キッティングなどの幅広い業務の代行を承っております。また、ISO27001(ISMS)認証を取得しており、情報セキュリティ対策についても万全の体制を整えております。

詳しくは、こちらからお問い合わせください。

  お問い合わせ|FGLテクノソリューションズ お問い合わせや、料金のご相談などは当ページより承ります。情シス業務が多忙、一人情シス・体制強化が進まない、などでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。 株式会社FGLテクノソリューションズ

ITアウトソーシングのリプレイスについてはこちらの資料をご確認ください。

  資料ダウンロード|アウトソーシングで失敗しない! リプレイスを成功に導く4つのポイント 本資料は情シス業務の外部事業者リプレイスを考えている担当者向けに、よくある悩みと成功のための4つのポイントを解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ


山根 佐利
山根 佐利
1998年に入社し、インフラエンジニアとしてシステム導入から運用を担当しました。 2000年には社内情シス業務のアウトソーシングサービスを立ち上げ、現在はマーケティング兼プリセールスを担当し、サービス事業部と共に自社の社内情シス担当も兼務してノウハウを習得しています。

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