IT資産管理の必要性について。 管理対象や効率化するための方法とは
IT資産管理とは、企業が保有するパソコンやソフトウェア、サーバなどのIT資産の状況を把握して管理することを指します。
ICT技術の進展によってクラウドサービスの活用やテレワークの導入が広がる今、企業が保有するIT資産の数・種類は増加しつつあります。安全な環境で円滑に業務を行うためには、「誰がどのような端末を使用しているのか」を適切に管理することが重要です。
企業の情報システム部門(以下、情シス)や管理部門では、「IT資産管理はなぜ必要なのか」「効率的に行うにはどうすればよいのか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、IT資産管理の必要性と管理対象、課題、効率化する方法などについて解説します。
目次[非表示]
- 1.IT資産管理の必要性
- 1.1.①コンプライアンスの遵守
- 1.2.②セキュリティ対策の強化
- 1.3.③コストの最適化
- 1.4.④シャドーITの排除
- 2.IT資産管理の対象
- 3.IT資産管理を行ううえでの課題
- 4.IT資産管理の効率化を図るには? 具体的な方法とメリット
- 4.1.①IT資産管理ツールの導入
- 4.2.②ITアウトソーシング(業務代行)の活用
- 5.まとめ
IT資産管理の必要性
安全な環境で端末やソフトウェアなどを使用するために、IT資産管理が必要です。IT資産管理を行う目的には、以下が挙げられます。
①コンプライアンスの遵守
1つ目は、コンプライアンスの遵守です。
業務に使用するソフトウェアは、1つのライセンスに対してインストールできる端末数が制限されています。ライセンスの規約や契約内容の範囲を超えてインストールすると、ライセンスの利用違反となり損害賠償が請求される可能性があります。
ソフトウェアライセンスのコンプライアンスに則って運用するには、ソフトウェアの保有ライセンス数とインストール数が合致しているかを管理することが必要です。
②セキュリティ対策の強化
2つ目は、セキュリティ対策の強化です。
社内に脆弱性のあるOSやソフトウェアが存在すると、サイバー攻撃の対象となり、マルウェア、ランサムウェアなどのウイルス感染してしまうおそれがあります。このようなリスクを防ぐには、脆弱性の修正に関する更新プログラムが提供された際に、速やかにアップデートすることが必要です。
更新プログラムの提供情報を把握して、必要な更新プログラムを配信したり、従業員へのアップデート指示をしたりするために、IT資産管理を行い適用状況を把握することが求められます。
また、業務に使用する端末やソフトウェア、アプリケーションなどの利用について管理・制限して、情報漏洩を防ぐことも重要です。
なお、Windowsクライアントによる更新管理については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
Windows Updateの管理が大変! 社内PCの更新管理を効率化する方法
③コストの最適化
3つ目は、コストの最適化です。
社内で利用しているIT資産の利用状況を把握していない場合、不要な端末を新たに購入したり、使用していないライセンスが残されたままになっていたりして、コストの浪費につながります。
IT資産を一元管理すると、稼働していない機器や余っているライセンスなどを把握して、不要なITコスト投資をなくすことが可能です。また、IT資産に関する予算を正確に把握できるようになり、ITコスト投資の最適化を図れます。
④シャドーITの排除
4つ目は、シャドーITの排除です。
シャドーITとは、会社の許可を得ていないパソコンやアプリケーションなどを従業員が自己判断で業務に使用することです。シャドーITが存在すると、セキュリティ管理が行き届かなくなり、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクにつながります。
IT資産管理を行い、従業員が使用している端末やソフトウェアを把握・管理することで、シャドーITによるセキュリティリスクを防止できます。
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IT資産管理の対象
IT資産管理では、主にハードウェア・ソフトウェア・ライセンスの3つの領域で管理を行います。
▼IT資産管理の領域と対象
領域 |
対象 |
ハードウェア |
|
ソフトウェア |
|
ライセンス |
ソフトウェアを使用する権利 |
ハードウェアの領域では、物理的に存在するIT機器のことを指します。「どの従業員が何のIT機器を使用しているのか」といった利用状況を管理します。
ソフトウェアの領域では、主にIT端末にインストールして使用するアプリケーションソフトウェアと、WindowsやMicrosoftなどのハードウェアの管理・制御などを行うOSを管理します。IT端末へのインストール管理やバージョン管理、アップデート管理などを行います。
ライセンスの領域では、ライセンスの購入数とインストール数を照合して余剰がないかを確認したり、使用許諾条件どおりに利用されているかをチェックしたりします。
IT資産管理を行ううえでの課題
近年、スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末の普及や、働き方改革、新型コロナウイルス感染症などの影響によるテレワークの増加によって、管理するIT資産の数・範囲は広がっています。
また、クラウドサービスの普及、従業員の私物端末の利用などによって、ライセンスやセキュリティ管理も複雑化しています。このような背景から、IT資産管理において以下のような課題が生じやすくなっています。
▼IT資産管理における課題
- IT資産の数や種類、使用状況を把握しておらず、コスト管理ができない
- レンタルやリースの期限、ライセンス規約を把握できていない
- 手作業での台帳管理や設定作業に労力・時間がかかっている
IT資産管理の課題を解決するには、IT資産を一元管理できる仕組みを整えたり、手作業で行っている業務を見直したりして効率化を図ることが重要です。
IT資産管理の効率化を図るには? 具体的な方法とメリット
IT資産管理を効率化する方法には、以下の2つが挙げられます。
①IT資産管理ツールの導入
1つ目は、社内にあるパソコンやソフトウェアなどのIT資産を一元管理するためのツールを導入する方法です。
IT資産管理ツールには、IT資産の管理台帳作成やライセンス管理、セキュリティ対策などに関するさまざまな機能が備わっています。
▼IT資産管理ツールの主な機能
- 資産管理・台帳管理
- インベントリ管理(ライセンスの超過、許可以外のソフトウェア使用検閲 など)
- デバイス制御(パソコン、USBメモリ など)
- 操作ログ取得(ファイルへのアクセス・持ち出し など)
ツールを活用することによって、以下のメリットが期待できます。
▼IT資産管理ツールのメリット
- IT資産の一元管理により、管理業務を効率化できる
- セキュリティ対策を強化できる
- コストの最適化を図れる
②ITアウトソーシング(業務代行)の活用
2つ目は、ITアウトソーシングを活用する方法です。
IT資産管理をアウトソーシングすることで、台帳管理や機能制限、セキュリティ対策などのさまざまな業務を外部に委託できます。社内で専門人材を確保する必要がなくなるほか、情シス・管理部門の担当者がコア業務に注力できる環境を整備できるようになります。
▼ITアウトソーシングのメリット
- 情シスや管理部門における業務負担を軽減できる
- IT資産の増減による台数管理を迅速に行える
- 故障・紛失時に代替機器を貸与してもらえるところもある
なお、ITアウトソーシングの種類やメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ITアウトソーシング(業務代行)とは? サービス形態の種類と活用のメリット
まとめ
この記事では、IT資産管理について以下の内容を解説しました。
- IT資産管理の必要性
- IT資産管理の対象
- IT資産管理を行ううえでの課題
- IT資産管理の効率化を図る方法
コンプライアンスの遵守やセキュリティ対策を行い、安全に業務を行える環境を整備するためにIT資産管理が欠かせません。
しかし、テレワークの浸透やクラウドサービスの普及などによってIT資産の数・範囲が広がるなか、管理の複雑さ・煩雑さは増しています。より効率的にIT資産管理を行うには、IT資産管理ツールの導入やITアウトソーシングの活用が有効です。
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