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Microsoft Defenderとは? 基本機能から企業向け製品まで解説

近年、サイバー攻撃の手法は高度化・巧妙化しており、企業規模を問わず、セキュリティ対策の強化は経営課題となっています。そのような状況下で、多くの企業が注目しているのが「Microsoft Defender」です。

この記事では、Microsoft Defenderの基本的な定義から、個人向けと法人向けの違い、企業が導入すべき有料版のメリットを解説します。

※Microsoft Defender は、マイクロソフト グループの企業の商標です。

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目次[非表示]

  1. 1.Microsoft Defenderとは
    1. 1.1.Microsoft Defenderの種類とターゲット
    2. 1.2.Windows Defenderとの違い
  2. 2.Microsoft Defenderの主要な機能
    1. 2.1.ウイルス対策
    2. 2.2.ファイアウォールとネットワーク保護
  3. 3.Microsoft Defenderを導入するメリット・デメリット
    1. 3.1.メリット
    2. 3.2.デメリット
  4. 4.有料版を選ぶべき企業
  5. 5.Microsoft Defenderの導入方法
    1. 5.1.導入ステップ
    2. 5.2.脅威検知時の確認・対応
  6. 6.まとめ

Microsoft Defenderとは

Microsoft Defenderは、マイクロソフト社が提供するセキュリティ機能の総称です。以前は「Windows Defender」と呼ばれていましたが、現在はWindowsだけでなく他のOSでも使えるようになったため、名称が変わりました。

かつてはWindows OSを守るための単体機能でしたが、現在ではクラウド、ID、メール、アプリケーションなどを統合的に守る法人向け製品群まで幅広く展開されています。

Microsoft Defenderの種類とターゲット

Microsoft Defenderは、大きく個人向けと法人向けの製品群に分類されます。個人向けは、Microsoft 365 Personalなどのサブスクリプションに含まれ、家族のデバイスやID情報を守るシンプルな機能が中心です。

一方、法人向けはさらに細分化されており、中小企業(従業員300人以下)向けに低コストで導入可能な「Microsoft Defender for Business」などが提供されています。

さらに、大企業や高度なセキュリティを必要とする組織向けには「Microsoft Defender XDR」があります。これは、エンドポイント保護の Defender for Endpoint、Office 365環境を守る Defender for Office 365、ID保護の Defender for Identity などを統合して、脅威の検出・対応を一元管理できるソリューションです。

Windows Defenderとの違い

かつて「Windows Defender」と呼ばれたウイルス対策機能は、現在ではMicrosoft Defender Antivirusへ名称が変更され、Windows 10や11に標準搭載される基本的なマルウェア対策として提供されています。

これは主に、デバイス単体を守るための機能であり、個人利用や小規模な環境であれば一定の安全性を確保できる場合があります。

一方、企業向けのMicrosoft Defender製品群は、標準機能とは目的が異なります。標準機能が「1台のPCを保護する」ことに特化しているのに対し、企業向け製品は、組織全体のデバイスを一元管理し、侵入を前提とした検知・対応を行える EDR 機能を備えています。

例えば、どこからマルウェアが侵入し、どの端末へ拡散しようとしているのかを可視化し、遠隔操作で隔離するといった対応が可能です。

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Microsoft Defenderの主要な機能

Microsoft Defenderは、侵入を防ぐ機能から、侵入後の被害を最小限に抑える機能まで、幅広いセキュリティ機能を提供しています。

ウイルス対策

Microsoft Defenderの中核となるのが、ウイルスやランサムウェアなどの悪意あるマルウェアからシステムを保護する機能です。この保護機能は、「リアルタイム保護」と「スキャン」の2つを中心に構成されています。

リアルタイム保護は、ファイルの作成、開封、ダウンロード、実行などの動作を常時監視します。既知の脅威だけでなく、ヒューリスティック検知や未知のマルウェアもブロックします。

スキャン機能は、利用シーンに応じて複数のモードを使い分けられます。短時間で主要領域を確認する「クイックスキャン」、全ファイルを検査する「フルスキャン」、Windowsの起動前に隠れたマルウェアを除去する「オフラインスキャン」があります。

これらを組み合わせることで、日常利用からトラブルシューティングまで幅広く対応できます。

ファイアウォールとネットワーク保護

デバイスへの不正アクセスを防ぐためには、ネットワークの出入り口を監視するファイアウォール機能が重要です。この機能は、ネットワークの種類に応じて自動的に適切なセキュリティ設定を適用します。

例えば、カフェのフリーWi-Fiなどに接続した際は、より厳しい制限をかけて外部からの侵入を防ぎます。

さらに、Microsoft Defender SmartScreenを使えば、フィッシングサイトやマルウェア配布サイトへのアクセス、悪意のあるアプリのダウンロードを警告・ブロックできます。

これらを併用することで、ネットワークやWebからの脅威を幅広く防ぐことができます。

Microsoft Defenderを導入するメリット・デメリット

企業がセキュリティ製品を選定する際、コストや機能、運用負荷など様々な観点から比較検討を行う必要があります。

メリット

Microsoft Defender の大きなメリットは、Windows OSを利用している企業であれば、追加費用をかけることなく標準機能を利用開始できる点です。

多くのウイルス対策ソフトは、更新料やライセンス費用などが発生しますが、基本機能であれば無償で利用でき、コストを削減できます。

また、開発元であるマイクロソフトが提供しているため互換性が高く、Windows Updateに合わせて自動的に最新の保護が適用されることもメリットの1つです。OSアップデート時に不具合が起きるといったトラブルが少なく、システムの安定稼働にも寄与します。

さらに、操作がWindowsの設定画面に統合されており、シンプルで直感的である点もメリットです。ITリテラシーの高くない従業員でも、特別な教育コストなしで基本的なセキュリティ運用を行えます。

デメリット

一方で、標準機能のMicrosoft Defender(無料版)を企業のメインセキュリティとして運用する場合は注意が必要です。

専用のサポート窓口がないことで、誤検知による業務停止やマルウェア感染が発生しても、ベンダーのサポートを受けられず、社内のIT担当者が自力で解決する必要があります。これは、ITリソースが限られている企業にとって大きなリスクとなり得ます。

また、機能面でも制約があります。標準機能はあくまで既知の脅威への対策が中心であり、標的型攻撃や侵入後の検知・対応、詳細なWebフィルタリングなどは含まれていません。

PCを一元管理するコンソールも標準では提供されないため、各端末の更新状況や検知状況を管理者が把握しづらく、ガバナンスを維持するには不十分となるケースがあります。

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有料版を選ぶべき企業

多くの企業にとって、Windows標準のDefenderで十分なのか、有料版(Defender for BusinessやDefender for Endpointなど)を導入すべきなのかは悩ましいポイントです。

顧客情報や機密情報を扱っており、専任のセキュリティ担当者がいない企業ほど、有料版の利用が推奨されます。標準機能は「個人のPCを守る」ことが中心で、「会社全体を守る」機能が不足しています。

有料版は、次のような課題を抱える企業に特に適しています。

  • セキュリティ状況を可視化したい企業
    PCごとのリスクや脆弱性を一つの管理画面で把握できます。

  • 高度な脅威への対策(EDR・サンドボックス)を強化したい企業
    侵入後の検知、封じ込め、未知の脅威への対応が可能です。

  • IT管理者の負担を減らしたい企業
    自動調査・修復機能で夜間や休日でも対応可能です。

  • Windows以外のデバイスも守りたい企業
    Mac、iOS、Androidなども一元管理・保護できるため、BYODや多様なデバイス環境に対応可能です。

Microsoft Defenderの導入方法

法人向けMicrosoft Defenderの導入は、以前のような複雑なサーバー構築を必要とせず、クラウドベースで比較的スムーズに行うことができます。

導入ステップ

STEP1:ライセンスを確認する

法人向け Microsoft Defender は単体契約も可能ですが、多くの場合は、Microsoft 365 Business Premiumに標準で含まれています。このライセンスを持っていれば、追加費用なしで導入を始められます。

STEP2:Defender ポータルにアクセスして初期設定を行う

Microsoft 365 Defender ポータルにアクセスし、基本設定やセキュリティポリシー、アラートの通知条件などを設定します。Windows 10/11 には必要なエージェントが標準で入っているため、新しいソフトのインストールは不要です。

STEP3:ユーザー端末へ展開する

初期設定が完了したら、ユーザーPCへ保護機能を展開します。

STEP4:Intune(MDMなど)で全社一括管理する

Intune などのMDMツールを使えば、ウイルス対策やアクセス制限などのセキュリティ設定(ポリシー)を一度に全社PCへ配布・適用できます。これにより、各端末を個別に設定する必要がありません。

脅威検知時の確認・対応

導入後、脅威が検知されると、管理コンソール上に通知が表示され、管理者は「どの端末で何が実行されたか」をポータル上で可視的に確認できます。

さらに、有料版でAIによる自動調査や修復機能が有効になっていれば、関連ファイルの調査や隔離・削除などを自動または提案ベースで実施できます。

管理者は結果を確認・承認するだけで対応が完了する場合も多く、専門知識がなくても迅速な対応が可能になります。

まとめ

この記事では、Microsoft Defenderについて以下の内容を解説しました。

  • Microsoft Defenderとは

  • Microsoft Defenderの主要な機能

  • Microsoft Defenderを導入するメリット・デメリット

  • Microsoft Defenderの導入方法

企業においては、サイバー攻撃のリスクが高まる中、Microsoft Defenderの標準機能だけでは守り切れない領域が増えています。有料版を導入することで、専任担当者がいなくても、自動対処や高度な可視化により高度なセキュリティを手に入れることが可能です。

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霜島 裕也
霜島 裕也
2022年にFTSへ入社。社内情シス業務アウトソーシングサービスのマーケティング兼プリセールスを担当している。最近は法務関連の事務局にも従事。IT関連資格としてPMP、ITコーディネータを保有し、現在も維持している。 入社前の1991年~2015年は総合電機メーカーにて、総務、販売企画、営業、SE、プロジェクトマネジメントなど幅広い業務を経験。

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