
社内ヘルプデスクを外注するメリット・デメリットと失敗しないためのポイント
社内ヘルプデスク業務とは、PCのキッティング、アカウント管理、トラブルシューティングなど、情シス・管理部門が日常的に担っている「守りのIT実務」全般を指します。
少人数体制の情報システム部や、総務・管理部門との兼務でITを担当されている方にとって、日々のヘルプデスク業務は大きな負担となることがあります。
この記事では、少人数体制の管理部門が直面する課題を解決するための「社内ヘルプデスクの外注」について、メリット・デメリット、失敗しないための導入ポイントを解説します。
目次[非表示]
社内ヘルプデスクの外注が求められる理由
近年、SaaSの普及やテレワークの定着により、社内IT環境は複雑化しています。それに伴い、「Zoomがつながらない」「自宅のVPNが切れる」「ツールの使い方が分からない」といった問い合わせの件数・種類ともに増加傾向にあります。
少人数や兼務体制の組織において、突発的な問い合わせ対応は、業務を中断させる大きな要因です。結果として、セキュリティ対策やDX推進といった本来集中すべき「攻めの業務」に手が回らなくなるという悪循環が生まれています。
こうした状況を打破するために、定型的な問い合わせ業務を外部へ切り出す動きが加速しているのです。
社内ヘルプデスクを外注するメリット・デメリット
ヘルプデスクの外注は業務負荷の軽減や対応品質の安定といった大きな効果が期待できます。一方で、コストや運用面での制約など、事前に理解しておくべき点もあります。
メリット
社内ヘルプデスクを外注することで、電話やチャットによる問い合わせ対応で業務が中断される機会を減らすことができます。その結果、システムの企画・導入やセキュリティ強化など、企業の成長に関わるコア業務に取り組みやすくなります。
また、社内担当者のみで対応している場合に起こりがちな属人化の抑制にもつながります。マニュアルに基づいた標準化された対応が可能となり、担当者の不在や退職に左右されにくい運用体制を整備できます。
デメリット
外注すると委託費用が発生するため、「業務負荷が軽減されるか」だけでなく、「創出された時間をどのような業務に充てるのか」という視点でコスト対効果を検討する必要があります。
また、外部のオペレーターは自社の社内文化や独自の業務フローを最初から十分に理解しているわけではありません。マニュアルにない特殊な問い合わせに対して回答に時間がかかったり、意図と異なる対応が行われたりする可能性もあるため、事前のすり合わせや継続的な情報共有が重要になります。
社内ヘルプデスク外注の主な形態とサービス内容
社内ヘルプデスクの外注には、オンサイト型、オフサイト型、ハイブリッド型など、対応場所や関わり方に応じた形態があります。それぞれ対応範囲や特徴が異なるため、自社の体制や課題に合わせて最適な形態を選ぶことが重要です。
オンサイト型
オンサイト型は、外部のヘルプデスク担当者が自社内に常駐し、従業員からの問い合わせ対応や機器管理を行う形態です。
対面でのサポートが可能なため、PCのトラブル対応やキッティング、ネットワーク機器の確認など、物理的な作業を伴う対応にも迅速に対応できます。また、社内の業務環境や利用システムを直接把握できるため、より実態に即したサポートが可能になる点もメリットです。
情シス担当者が少ない企業や、IT機器の利用頻度が高く現場対応が多い企業に適しており、社内のITサポート体制を強化しながら、安定した運用を実現できます。
オフサイト型
オフサイト型は、外部ベンダーの拠点から電話、メール、チャット、リモート操作などを通じて問い合わせ対応を行う形態です。
物理的に常駐する必要がないため、オンサイト型に比べてコストを抑えやすく、柔軟な運用が可能です。パスワードリセットやソフトウェアの操作方法、設定確認など、リモートで解決できる問い合わせの多くを効率的に処理できます。また、対応時間を拡張したり、複数拠点の問い合わせを一括して対応したりすることも可能です。
日常的な問い合わせ対応の負担を軽減し、社内の情報システム担当者がより重要な業務に集中できる環境を整えることができます。
ハイブリッド型
ハイブリッド型は、オンサイト型とオフサイト型を組み合わせた形態です。日常的な問い合わせはリモートで対応し、機器トラブルやキッティングなど現地対応が必要な場合のみ常駐または訪問対応を行います。
これにより、コストを抑えながらも、必要な場面では迅速な現場対応を実現できます。また、問い合わせ内容や対応状況に応じて柔軟に対応方法を切り替えられるため、運用効率と対応品質の両立が可能です。
拠点数が多い企業や、少人数の情シス体制で効率的にサポート体制を整備したい企業に適しており、バランスの取れた外注形態として多くの企業で採用されています。
情シスが外注を検討すべきタイミング
では、どのような状況になったら外注を検討すべきなのでしょうか。ここでは、体制の見直しを行うタイミングを解説します。
本来業務に手が回らなくなっている
「サーバーのOSサポート終了期限が迫っているのに検証が進まない」「セキュリティポリシーの改定が半年以上止まっている」など、中長期的な施策に着手できていない場合、外注を検討すべきタイミングの一つです。
本来計画的に進めるべきシステム更新やセキュリティ強化が後回しになることで、将来的な障害やセキュリティ事故のリスクが高まります。こうした状況は、日々の問い合わせやトラブル対応に時間を取られ、本来注力すべき業務に十分なリソースを割けていない状態といえます。
突発的な対応によって業務の優先順位が常に変動し、IT統制が不安定になっている場合は、ヘルプデスク業務の外注によって負担を軽減し、体制を整えることが重要です。
問い合わせ対応が属人化している
「このシステムのエラーは、〇〇さんしか直し方を知らない」といった状況も、外注を検討すべき重要なサインの一つです。
対応方法が担当者の経験などに依存しており、正式なマニュアルとして整備されていないと、業務の継続性に影響する可能性があります。このような環境では、担当者の病欠や異動、退職が発生した際に、問い合わせ対応が滞ったり、復旧までに長い時間を要したりする可能性があります。
ヘルプデスク業務を外注する際には、業務内容の棚卸しや対応手順の文書化が求められるため、結果として業務の標準化が進みます。属人化を解消し、誰でも一定水準で対応できる体制を構築するためにも、外注は有効な選択肢となります。
ヘルプデスクの外注を失敗しないためのポイント
ヘルプデスクの外注を成功させるためには、事前の準備と運用設計が重要です。業務範囲の整理や社内への周知を適切に行うことで、安定した運用体制を構築できます。
業務範囲・ルールを明確にする
「どこまでを外注し、どこからを社内で対応するか」の線引きを明確にしておくことが有効です。
例えば、「PC操作は外注、基幹システムのデータ修正は社内」といった役割分担を具体的に定義します。また「外注先で解決しない場合、誰にどのような手段でエスカレーションするか」といった対応フローも事前に整理しておく必要があります。
これらのルールが曖昧なままだと、問い合わせがたらい回しになったり、対応の遅れが発生したりする原因となり、結果として社員の満足度や業務効率の低下につながります。導入前に対応範囲と責任分担を明確にし、スムーズな運用体制を構築することが成功のポイントです。
社内への周知と運用設計
意外と見落とされがちなのが、社員への十分な周知と運用設計です。
これまで「困ったら内線〇〇番に連絡する」といった既存の問い合わせ方法が定着している場合、新しいヘルプデスク窓口を導入しても、従来の方法が使われ続けてしまうことがあります。そのため、「〇月〇日から問い合わせ窓口が変更されます」といった具体的な利用方法を案内することが重要です。
また、問い合わせ方法を分かりやすくまとめたマニュアルやFAQを用意することで、社員が迷わず新しい窓口を利用できるようになります。こうした準備を行うことで、導入初期の混乱を防ぎ、外注の効果を最大限に引き出すことができます。
まとめ
この記事では、社内ヘルプデスクの外注について以下の内容を解説しました。
社内ヘルプデスクの外注が求められる理由
社内ヘルプデスクを外注するメリット・デメリット
社内ヘルプデスク外注の主な形態とサービス内容
情シスが外注を検討すべきタイミング
ヘルプデスクの外注を失敗しないためのポイント
社内ヘルプデスクの外注は、少人数体制の情シス・管理部門が「攻めのIT」へシフトするための有効な手段です。コストはかかりますが、それによって得られる「担当者の時間」と「組織としての安定性」は、企業の成長にとって代えがたい資産となります。
まずは、現在抱えている問い合わせ業務をリストアップし、「自社でなければできないこと」と「外注できること」を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。
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