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標的型攻撃メール対策とは?今すぐできる教育・設定・ツール導入の進め方

企業のIT環境がクラウド化し、多様な働き方が定着する一方で、特定の企業や組織を狙い撃ちにする「標的型攻撃メール」の被害が後を絶ちません。情報システム部門や管理部門の担当者のなかには、「自社のメールセキュリティは今のままで十分なのか」「従業員の意識をどのように高めればよいのか」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

標的型攻撃メールは、取引先や社内の人間を巧妙に装って送られてくるため、システムによる検知をすり抜けてしまうことも少なくありません。そのため、ツールによる防御だけでなく、従業員の教育や運用ルールの整備を組み合わせた多角的な対策が求められます。

この記事では、標的型攻撃メールが大きな脅威となる理由や、今すぐ始められる具体的な対策方法、そして教育やツール導入を進めるうえでのポイントについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.標的型攻撃メール対策が重要な理由
    1. 1.1.標的型攻撃メールで起こりやすい被害
    2. 1.2.システム対策だけでは防ぎ切れない理由
    3. 1.3.対策は「防ぐ」だけでなく「気づいて報告する」まで必要
  2. 2.自社・自組織が今すぐできる標的型攻撃メール対策
    1. 2.1.メールを見分ける基本ポイントを周知する
    2. 2.2.不審メールを報告しやすいルールを整える
    3. 2.3.メール設定や認証機能を見直す
    4. 2.4.端末やアカウントの保護をあわせて進める
  3. 3.教育・訓練で対策を定着させる
    1. 3.1.座学だけで終わらせない
    2. 3.2.標的型攻撃メール訓練を活用する
    3. 3.3.開封率だけでなく報告率も見る
    4. 3.4.少人数情シスでも無理なく続ける工夫
  4. 4.システム設定やツール導入で押さえたいこと
    1. 4.1.メールセキュリティ製品で入口対策を強化する
    2. 4.2.端末対策やログ確認の仕組みを整える
    3. 4.3.自社の端末・アカウント運用に合うかで選ぶ
    4. 4.4.対策導入後の保守運用まで考える
  5. 5.標的型攻撃メール対策を進めるうえでの考え方
    1. 5.1.情シスだけで抱え込まない
    2. 5.2.保守管理や運用支援も含めて見直す
    3. 5.3.少人数体制では外部支援も選択肢になる
  6. 6.まとめ

標的型攻撃メール対策が重要な理由

数あるサイバー攻撃のなかでも、なぜ標的型攻撃メールに対する警戒が必要なのでしょうか。まずは、標的型攻撃メールが今も有効な攻撃手段として悪用され続けている理由と、その脅威の性質について整理します。

標的型攻撃メールで起こりやすい被害

標的型攻撃メールの典型的な手口は、業務に関連するような件名や本文で受信者を信用させ、悪意のある添付ファイルを開かせたり、本文内のURLをクリックさせたりするものです。

これらを起点として、端末がマルウェア(悪意のあるソフトウェア)に感染すると、社内ネットワークへの侵入や被害拡大につながる恐れがあります。

結果として、顧客データや機密情報の窃取、あるいは重要なデータを暗号化して身代金を要求する「ランサムウェア」の被害につながる恐れがあります。

システム対策だけでは防ぎ切れない理由

企業では、スパムメールフィルタやアンチウイルスソフトなど、さまざまなセキュリティ対策を講じているはずです。しかし、標的型攻撃メールは、実在する取引先の担当者名や過去のメールのやり取りを引用するなど、巧妙に偽装されています。

システムで完全に弾くことが難しく、最終的にメールを開封するかどうかは「人」の判断に委ねられます。技術的な対策が整っていても、人の心理的な隙を突かれることで被害が生じてしまうのが、この攻撃の厄介な点です。

対策は「防ぐ」だけでなく「気づいて報告する」まで必要

巧妙なメールを100%見抜いて防ぐことは、専門家であっても困難です。そのため、「絶対に開かない」ための対策だけでなく、「誤って開いてしまった」「怪しいメールを受け取った」際に、いかに早く気づいて報告できるかが重要です。

初動対応が遅れれば遅れるほど、マルウェアの感染が社内に広がるリスクが高まります。防ぐことと並行して、スムーズに報告できる運用フローを設計することが、被害を最小限に食い止める鍵となります。

自社・自組織が今すぐできる標的型攻撃メール対策

大掛かりなシステムを導入する前に、まずは自社でできる基本的な対策から始めることが大切です。人・設定・運用の観点から、すぐに着手しやすい標的型攻撃メール対策を整理します。

メールを見分ける基本ポイントを周知する

まずは、すべての従業員に対して「不審なメールを見分けるための基本ポイント」を周知しましょう。

▼確認すべき基本ポイント

  • 送信元のメールアドレスが、表示されている差出人名(ドメイン)と一致しているか

  • 件名や本文に、不自然な日本語や急かすような表現(「至急」「重要」など)が含まれていないか

  • 心当たりのない添付ファイル(特に「.exe」などの実行ファイルやマクロ付きファイル)がないか

  • 本文のURLリンク先が、正規のサイトのURLと異なっていないか

これらのチェックポイントを定期的に発信し、全社的なリテラシーを高めることが第一歩です。

不審メールを報告しやすいルールを整える

「怪しいメールを見つけたら、誰に、どうやって報告するのか」というルールを明確に定めます。

重要なのは、従業員が「少しでも迷った時点で相談できる」雰囲気を作ることです。「もし間違って添付ファイルを開いてしまったら怒られるかもしれない」という心理から報告が遅れると、事態は悪化します。

情シスやセキュリティ担当者への専用連絡窓口(メールアドレスやチャットツールなど)を設け、速やかな報告を促す仕組みを整えることが大切です。

メール設定や認証機能を見直す

利用しているメールソフトやグループウェアの設定を見直すことも有効です。

例えば、迷惑メールのフィルタリングレベルを上げる、特定の拡張子を持つ添付ファイルの受信を制限する、といった設定面での対策が考えられます。

また、送信元ドメインのなりすまし対策として、送信ドメイン認証(SPF、DKIM、DMARC)の設定状況を確認し、適切に運用することも欠かせません。ただし、正規アカウントの侵害や類似ドメインを使った攻撃まですべて防げるわけではないため、教育や報告ルールと組み合わせて運用することが重要です。 

端末やアカウントの保護をあわせて進める

万が一、従業員が不正なリンクをクリックしたり、悪意のあるファイルをダウンロードしたりしてしまった場合に備え、端末自体の保護も並行して進めます。

OSやアプリケーション、ブラウザを常に最新の状態に保つ(アップデートの適用)とともに、エンドポイントを保護するアンチウイルスソフトを適切に運用し、マルウェアの実行を防ぐ環境を構築しましょう。

教育・訓練で対策を定着させる

周知やルール作りを行っても、それが現場で実践されなければ意味がありません。いざというときに適切な行動がとれるよう、教育と訓練を継続的に実施することが重要です。

座学だけで終わらせない

セキュリティに関する研修やマニュアルの配布は知識の習得に役立ちますが、それだけでは「自分ごと」として捉えられにくい側面があります。

日常業務のなかで巧妙な偽装メールを受け取ったとき、座学の知識だけで冷静に判断し、適切な対応をとるのは困難です。知識を実際の行動に結びつけるための工夫が求められます。

標的型攻撃メール訓練を活用する

実践的な対策として有効なのが、標的型攻撃を模した「訓練メール」を従業員に送信する取り組みです。

疑似的な攻撃メールを定期的に送信し、従業員が添付ファイルを開封してしまうか、本文のURLをクリックしてしまうかをテストします。仮に騙されてしまった場合でも、その場ですぐに注意喚起のページを表示させることで、強い印象と学びを与えることができます。

なお、訓練メールの具体的な進め方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

開封率だけでなく報告率も見る

訓練を実施する際、ついつい「開封率(何人がメールを開いてしまったか)」に目が行きがちですが、より重視すべきは「報告率」です。

先述のとおり、攻撃を100%見抜くことは難しいため、「怪しいと気づいて、速やかに所定の窓口へ報告できたか」という行動を評価する指標を持つことが、実際のインシデント発生時の被害拡大防止につながります。

少人数情シスでも無理なく続ける工夫

訓練の企画からメールの作成、結果の集計を情報システム部門のみで行うのは、特に少人数体制の企業にとっては大きな負担です。

運用を複雑にしすぎず、既存のテンプレートを活用したり、外部の訓練サービスを利用したりすることで、無理なく継続できる仕組みを作りましょう。

システム設定やツール導入で押さえたいこと

人の注意喚起と並行して、技術的な防御の仕組みを整えることも不可欠です。システムやツールをどのように組み合わせていくべきか、押さえておきたいポイントを解説します。

メールセキュリティ製品で入口対策を強化する

社内ネットワークへの侵入を防ぐ「入口対策」として、高度なメールセキュリティ製品の導入が有効です。

従来のスパムフィルタに加えて、未知のマルウェアを安全な仮想環境で動かして検証するサンドボックス機能や、メール本文内のURLが危険なサイトにリンクしていないかをリアルタイムで検査する機能などを備えた製品を活用することで、危険なメールが従業員に届く前に遮断する確率を高められます。

端末対策やログ確認の仕組みを整える

どれだけ入口で対策をしても、すり抜けてくる脅威は存在します。そのため、メールを起点にして端末に侵入された後の「検知」と「影響把握」の仕組みも重要です。

不審な挙動を検知して通信を遮断するEDR(Endpoint Detection and Response)などの導入により、マルウェアが社内ネットワークで横展開する前に封じ込める体制を整えておくことが求められます。

自社の端末・アカウント運用に合うかで選ぶ

新たなセキュリティ製品を選ぶ際は、機能の多さや性能の高さだけでなく、「自社の運用体制にマッチしているか」を確認することが大切です。

導入しているクラウドサービス(Microsoft 365やGoogle Workspaceなど)との親和性が高いか、管理画面が見やすく運用負荷が高すぎないかなど、自社のIT環境と情シスのリソースを考慮して選定しましょう。

対策導入後の保守運用まで考える

セキュリティツールは「導入して終わり」ではありません。新たな攻撃手法に対応するための設定のチューニングや、システムから発せられるアラート(警告)の確認、インシデント発生時のログ調査など、日々の保守運用が不可欠です。

導入計画の段階で、これらの運用業務を誰がどのように担うのかを明確にしておく必要があります。

標的型攻撃メール対策を進めるうえでの考え方

標的型攻撃メールへの対策は、単発のプロジェクトではなく、企業のIT運用全体の中で継続的に回していくべき取り組みです。最後に、対策を進めるうえでの基本的な考え方をお伝えします。

情シスだけで抱え込まない

セキュリティ教育の実施やルールの策定、新たなツールの選定、そして日々の問い合わせ対応と、対策に必要な業務は多岐にわたります。これらを情報システム部門だけで抱え込んでしまうと、リソースが枯渇し、本来のコア業務に支障をきたす恐れがあります。

経営層の理解を得ながら、総務部や管理部門とも連携し、全社的な取り組みとして推進していく姿勢が重要です。

保守管理や運用支援も含めて見直す

標的型攻撃メール対策を特別なものとして切り離すのではなく、日常のITインフラ運用の一部として組み込むことが理想です。

端末のアップデート管理やID権限の見直し、退職者のアカウント削除といった基本的なIT資産管理や保守運用を徹底することが、結果的にセキュリティリスクの低減につながります。

少人数体制では外部支援も選択肢になる

自社にセキュリティの専門知識を持つ人材が不足していたり、日常のヘルプデスク業務で手一杯になったりしている場合は、外部の運用支援サービスを活用することも一つの有効な選択肢です。

FGLテクノソリューションズでは、安定したITインフラ運用を支えるため、セキュリティ対策や保守管理をはじめとしたIT分野の幅広いサポートを行っています。

Microsoft 365などのクラウドサービスの導入支援から、日々のヘルプデスク業務、PCのキッティングまで、情シス業務をトータルでご支援し、お客さまが本来の業務に集中できる環境づくりに貢献します。

まとめ

この記事では、標的型攻撃メールについて解説しました。

  • 標的型攻撃メール対策が重要な理由

  • 自社・自組織が今すぐできる標的型攻撃メール対策

  • 教育・訓練で対策を定着させる

  • システム設定やツール導入で押さえたいこと

  • 標的型攻撃メール対策を進めるうえでの考え方

標的型攻撃メールは巧妙に人の心理を突くため、システムによる防御だけでは完全に防ぐことは困難です。「メールの基本を周知する」「不審なメールをすぐに報告できるルールを整える」といった人の意識向上と、メールセキュリティ製品や端末保護ツールによる技術的な防御を組み合わせることが重要です。

また、対策は一度実施して終わりではなく、訓練を通じた定着や、日々の設定見直しといった継続的な運用が欠かせません。もし、社内のリソースだけで運用を回すのが難しい場合は、専門的な知見を持つ外部事業者の支援を活用しながら、自社に最適なセキュリティ体制を構築してみてはいかがでしょうか。

FGLテクノソリューションズ』では、社内システム運用管理やITアドバイザリーを通じて、平時の運用整備やセキュリティ課題への対応を支援しています。情シス運用やインフラ管理まで含めて備えを整えたい場合は、自社に合った運用体制づくりをご相談ください。

霜島 裕也
霜島 裕也
2022年にFTSへ入社。社内情シス業務アウトソーシングサービスのマーケティング兼プリセールスを担当している。最近は法務関連の事務局にも従事。IT関連資格としてPMP、ITコーディネータを保有し、現在も維持している。 入社前の1991年~2015年は総合電機メーカーにて、総務、販売企画、営業、SE、プロジェクトマネジメントなど幅広い業務を経験。

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