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VPN機器の脆弱性を確認するには?利用中の製品が影響を受けるか見極める方法

テレワークの普及により、社外から社内ネットワークへ安全にアクセスするためのVPN(Virtual Private Network)は、多くの企業で欠かせないインフラとなりました。しかし、それに伴いVPN機器を狙ったサイバー攻撃が急増しており、「自社のVPN機器に脆弱性がないか不安だ」「脆弱性情報が出たが、自社に影響があるのか分からない」とお悩みの情報システム部門や管理部門の方も多いのではないでしょうか。

VPN機器は社内ネットワークの出入り口に位置するため、脆弱性を突かれると社内システムへの侵入やランサムウェアの感染など、深刻な被害につながる恐れがあります。

この記事では、VPN機器の脆弱性がなぜ大きな問題になるのか、利用中の製品が影響を受けるかを確認する手順、近年の主要な脆弱性の傾向、そして脆弱性が該当した場合に優先して行うべき対策について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.VPN機器の脆弱性とは
    1. 1.1.VPN機器の脆弱性が注目される理由
    2. 1.2.「CVEがある」と「自社が影響を受ける」は同じではない
    3. 1.3.まず確認すべき情報は何か
  2. 2.利用中のVPN製品が影響を受けるか確認する手順
    1. 2.1.①製品名・型番・OS/ファームウェアの版数を確認する
    2. 2.2.②ベンダーの公式アドバイザリで対象バージョンを見る
    3. 2.3.③JVN iPedia・CISA KEV・JPCERT/IPAで補足確認する
    4. 2.4.④サポート終了製品かどうかも確認する
  3. 3.年ごとに押さえたい主要VPN脆弱性の傾向
    1. 3.1.2024年に注目された脆弱性の傾向
    2. 3.2.2025年に注目された脆弱性の傾向
    3. 3.3.2026年に注目された脆弱性の傾向
    4. 3.4.主要ベンダーは継続監視が前提
  4. 4.該当していた場合に優先して行うこと
    1. 4.1.パッチ適用または回避策を最優先で確認する
    2. 4.2.公開設定や管理画面を見直す
    3. 4.3.侵害有無の確認も並行して進める
    4. 4.4.更改が必要なケースを見極める
  5. 5.まとめ

VPN機器の脆弱性とは

VPN機器の脆弱性には、システムの欠陥やバグなどが挙げられ、発見されると大きなニュースになりやすい傾向があります。まずは、なぜVPN機器の脆弱性がこれほどまでに注目され、深刻な問題になりやすいのかを整理しましょう。

VPN機器の脆弱性が注目される理由

VPN機器は、インターネット(外部)と社内ネットワーク(内部)の境界に設置される「境界機器」です。インターネットに直接公開されている性質上、攻撃者からすれば社内ネットワークへ侵入するための最初の扉となります。

この扉の鍵(脆弱性)が開いてしまうと、攻撃者は社内に容易に侵入し、機密情報の窃取やランサムウェアの展開、あるいはほかの企業を攻撃するための「踏み台」として悪用することができてしまいます。被害の影響範囲が非常に大きいため、VPN機器の脆弱性は特に警戒されます。

「CVEがある」と「自社が影響を受ける」は同じではない

脆弱性情報が公開されると、共通脆弱性識別子であるCVE(Common Vulnerabilities and Exposures)が割り当てられます。「CVE-〇〇〇〇-〇〇〇〇」といった情報を見かけると焦ってしまいがちですが、CVEが割り当てられた脆弱性情報が公開されたからといって、必ずしも自社の機器がすぐに危険にさらされているとは限りません。

影響を受けるかどうかは、利用している製品名、特定の機能の有効・無効、動作しているOSやファームウェアのバージョン、そしてネットワークの設定状況によって大きく変わります。冷静に状況を見極めることが重要です。

まず確認すべき情報は何か

脆弱性の影響を確認するためには、自社のVPN機器に関する正確な情報が必要です。最低限、以下の5つのポイントを先に把握しておきましょう。

  • メーカー名と製品名

  • シリーズ名や型番

  • 稼働しているOSやファームウェアの版数(バージョン)

  • インターネットへの公開状態(どのポートが開いているかなど)

  • 保守・サポートの契約状況

これらの情報が整理できていれば、ベンダーからの公式情報と照らし合わせる際に、自社が影響を受ける対象かどうかをスムーズに判断できます。

利用中のVPN製品が影響を受けるか確認する手順

脆弱性情報が発表された際、情報システム部門は迅速かつ正確に影響の有無を確認する必要があります。ここでは、実際に利用中のVPN製品が影響を受けるかを見極めるための手順を順番に解説します。

①製品名・型番・OS/ファームウェアの版数を確認する

まずは、自社で稼働しているVPN機器の「製品名」「型番」「OSやファームウェアの版数」を正確に洗い出します。

管理画面にログインしてシステム情報を確認するか、最新のIT資産管理台帳を参照します。複数拠点で異なる機器やバージョンを使用している場合は、漏れがないようにすべての拠点の状況を把握することが不可欠です。

②ベンダーの公式アドバイザリで対象バージョンを見る

自社の機器情報が確認できたら、機器の製造元(ベンダー)が公開している公式のセキュリティアドバイザリ(脆弱性情報)を確認します。

アドバイザリには、影響を受ける製品とバージョン、脆弱性の詳細、そして対策(修正パッチのバージョンや回避策)が記載されています。自社のOS・ファームウェア版数が「影響を受けるバージョン」に含まれているか、すでに「修正済みのバージョン」を利用しているかを照合します。

③JVN iPedia・CISA KEV・JPCERT/IPAで補足確認する

ベンダーの公式情報に加えて、公的なセキュリティ機関が提供するデータベースや注意喚起も併せて確認することをおすすめします。

日本の「JVN iPedia」や「JPCERT/CC」「IPA(情報処理推進機構)」の注意喚起、米国の「CISA KEV(Known Exploited Vulnerabilities Catalog:悪用が確認された脆弱性カタログ)」などをチェックすることで、その脆弱性がすでに実際に悪用されているか(危険度がどの程度高いか)や、追加で求められる対策などの有益な情報を得ることができます。

④サポート終了製品かどうかも確認する

確認作業の際には、利用中の機器やファームウェアがベンダーのサポート期間内であるかどうかも重要なポイントです。

すでにサポートが終了(End of Life:EOL)している機器の場合、新たな脆弱性が発見されても修正パッチが提供されないことがほとんどです。この場合は、パッチの適用を待つのではなく、直ちにネットワークからの切り離しや、新しい機器への更改判断が必要となります。

年ごとに押さえたい主要VPN脆弱性の傾向

VPN機器の脆弱性は毎年発見されていますが、狙われやすい製品や攻撃のトレンドには傾向があります。近年の代表的な脆弱性の傾向を把握し、自社の監視体制を見直す参考にしてください。

2024年に注目された脆弱性の傾向

2024年は、境界機器における深刻な脆弱性が相次いで報告された年でした。Ivanti Connect Secure、Palo Alto NetworksのPAN-OSやGlobalProtectなどで、認証回避やリモートからのコード実行(RCE)を可能にする脆弱性が発見され、実際に多くの攻撃キャンペーンで悪用されました。

これらの事象は、VPN機器が攻撃者の主要なターゲットになっていることを強く印象付けました。

2025年に注目された脆弱性の傾向

2025年も引き続き、境界に設置される機器の脆弱性が標的となりました。前年から続くIvantiやCisco製品に加え、NetScaler(旧Citrix ADC)などでも新たな脆弱性が確認されています。

この状況を受け、IPAなどの公的機関からは「特定の製品に限らず、VPN機器全般に対する継続的なパッチ管理と監視が必要である」という強い注意喚起が出されました。

2026年に注目された脆弱性の傾向

2026年に入っても、NetScaler GatewayやF5 BIG-IP APMといった、エンタープライズで広く利用されているリモートアクセス・VPNソリューションにおいて、深刻な脆弱性の注意喚起が続いています。

攻撃者は、パッチが公開されてから組織が適用を終えるまでの「隙間の時間」を狙ってスキャンや攻撃を仕掛けてくるため、対応のスピードがこれまで以上に求められるようになっています。

主要ベンダーは継続監視が前提

これらの傾向から分かるのは、「一度導入して安全な設定にすれば終わり」ではないということです。

FortinetのPSIRT、Palo Alto NetworksのSecurity Advisories、CiscoのSecurity Advisoriesなど、自社で利用しているベンダーの公式情報発信ページは、継続して監視することが大前提となります。脆弱性管理のプロセスを日常の運用に組み込むことが不可欠です。

該当していた場合に優先して行うこと

確認の結果、自社のVPN機器が脆弱性の影響を受ける対象であった場合、被害を防ぐために迅速な対応が求められます。ここでは、該当した場合に優先して行うべき初動対応のステップを整理します。

パッチ適用または回避策を最優先で確認する

特に優先すべきは、ベンダーが提供している修正版(パッチ)を適用することです。業務への影響を考慮しつつも、深刻な脆弱性の場合は速やかな適用を計画する必要があります。

もし、パッチのリリースが間に合っていない場合や、システム上の理由ですぐにパッチを当てられない場合は、ベンダーが提示している「一時回避策(ワークアラウンド)」や「緩和策(ミティゲーション)」を直ちに実施します。

公開設定や管理画面を見直す

脆弱性の影響を少しでも小さくするために、機器の露出面(アタックサーフェス)を減らす対応も重要です。

例えば、VPN機器の管理画面がインターネット側からアクセス可能になっていないかを確認し、社内ネットワークからのみアクセスできるように設定を変更します。

また、不要なポートや機能が有効になっている場合は、それらを停止することでリスクを低減できます。

侵害有無の確認も並行して進める

パッチを当てて脆弱性を塞いだとしても、「パッチを当てる前にすでに侵入されていなかったか」を確認することが重要です。

VPN機器のアクセスログやシステムの監査ログを確認し、不審なIPアドレスからのログイン成功履歴や、見覚えのない管理者アカウントの追加、不審な通信(バックドアの設置など)の痕跡がないかを確認します。これを怠ると、脆弱性自体は修正されても、すでに内部にいる攻撃者によって被害が拡大する恐れがあります。

更改が必要なケースを見極める

古い機器や、すでにメーカーのサポートが終了している機器を利用している場合は、一時的な対処ではなく、機器の更改(リプレイス)を決断する必要があります。

パッチが提供されない状態での運用は極めて危険であり、事業継続に大きなリスクをもたらします。IT予算を見直し、より安全で最新のセキュリティ機能を備えた機器や、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)など新しいアーキテクチャへの移行を検討しましょう。

まとめ

この記事では、VPN機器について解説しました。

  • VPN機器の脆弱性とは

  • 利用中のVPN製品が影響を受けるか確認する手順

  • 年ごとに押さえたい主要VPN脆弱性の傾向

  • 該当していた場合に優先して行うこと

VPN機器の脆弱性が発表された際は、一般論として受け止めるのではなく「自社の製品・バージョンが確実に対象となるのか」を正確に見極める視点が重要です。製品名やファームウェアの版数を把握し、ベンダーの公式アドバイザリと公的な注意喚起を組み合わせて情報を精査しましょう。

また、セキュリティ対策は単発のパッチ適用で終わらせるのではなく、日々のIT資産の把握と継続的な監視運用につなげることが重要です。社内リソースだけで対応が難しい場合は、外部事業者によるインフラ構築や運用支援サービスのアウトソーシングを検討し、安全なネットワーク環境の維持を目指してみてはいかがでしょうか。

FGLテクノソリューションズ』では、社内システム運用管理やITアドバイザリーを通じて、平時の運用整備やセキュリティ課題への対応を支援しています。情シス運用やインフラ管理まで含めて備えを整えたい場合は、自社に合った運用体制づくりをご相談ください。

霜島 裕也
霜島 裕也
2022年にFTSへ入社。社内情シス業務アウトソーシングサービスのマーケティング兼プリセールスを担当している。最近は法務関連の事務局にも従事。IT関連資格としてPMP、ITコーディネータを保有し、現在も維持している。 入社前の1991年~2015年は総合電機メーカーにて、総務、販売企画、営業、SE、プロジェクトマネジメントなど幅広い業務を経験。

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