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生成AIを活用できる人材の育成方法|情シス・人事が進める教育と定着のポイント

近年、業務効率化の手段として生成AIを導入する企業が増えています。しかし、「ライセンスを配布したものの現場でほとんど活用されていない」「一部のITに詳しい社員しか使いこなせていない」といった課題を抱える情報システム部門(以下、情シス)や人事部門の担当者も多いのではないでしょうか。

生成AIの導入効果を高め、組織全体の生産性向上につなげるためには、ツールを導入するだけでなく、従業員が業務で生成AIを適切に活用できるよう育成することが重要です。

この記事では、情シス・人事・経営層に向けて、生成AIを活用できる人材の育成が求められる理由や必要なスキル、社内への定着を促すための教育方法や体制づくりの進め方について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.生成AIを活用できる人材の育成が求められる理由
    1. 1.1.人手不足のなかで生産性向上が求められている
    2. 1.2.導入するだけでは成果につながりにくい
    3. 1.3.生成AIを活用できる人材が不足している
  2. 2.生成AIを活用できる人材に求められる主なスキル
    1. 2.1.業務課題を見つける力
    2. 2.2.プロンプトを作成・改善する力
    3. 2.3.出力内容を確認・修正する力
    4. 2.4.情報管理とリスクを理解する力
  3. 3.生成AIを活用できる人材を社内で育成する進め方
    1. 3.1.対象部門と活用業務を決める
    2. 3.2.基本ルールとガイドラインを整える
    3. 3.3.実務に即したレクチャーを行う
    4. 3.4.小さな成功事例を共有する
  4. 4.情シス・人事・経営層が担う役割
    1. 4.1.情シス|安全な利用環境と運用ルールを整える
    2. 4.2.人事|教育設計とリスキリングを進める
    3. 4.3.経営層|活用方針と優先順位を示す
    4. 4.4.現場|活用テーマを持ち寄る
  5. 5.生成AIを活用できる人材の育成でつまずきやすいポイント
    1. 5.1.研修だけで終わってしまう
    2. 5.2.ルールが曖昧で現場が使いにくい
    3. 5.3.一部の担当者に依存してしまう
    4. 5.4.効果測定ができていない
  6. 6.自社だけで育成・定着が難しい場合の考え方
    1. 6.1.社内だけでは教育設計と運用定着まで手が回りにくい
    2. 6.2.外部支援を活用すると進めやすい領域がある
    3. 6.3.大切なのは“AIに詳しい人”を増やすことだけではない
  7. 7.まとめ

生成AIを活用できる人材の育成が求められる理由

まずは、なぜ今、多くの企業で生成AIを活用できる人材の育成が求められているのか、その背景を整理します。

人手不足のなかで生産性向上が求められている

少子高齢化による慢性的な人手不足を背景に、企業は限られた人数でこれまで以上の成果を生み出すことが求められています。

会議の議事録作成やデータ集計、顧客からの定型的な問い合わせ対応、社内資料の作成・整理など、日々の業務には多くの時間を要する作業が少なくありません。

こうした定型業務を生成AIで効率化し、従業員がより付加価値の高い業務へ注力できる環境を整えることが、企業の競争力を維持・向上するうえで重要になっています。

導入するだけでは成果につながりにくい

生成AIは、ライセンスを付与するだけで業務改善につながるツールではありません。特に生成AIは活用できる業務の幅が広いため、具体的な使い方を理解していない従業員は、「何に使えばよいか分からない」「検索エンジンの代わりに使ってみたものの期待した結果が得られない」といった状況に陥ることがあります。

生成AIを活用する環境を整えるだけでなく、業務フローのどこで活用するのか、どのようなプロンプトを入力すればよいのかといった実践的な教育を行うことが重要です。

生成AIを活用できる人材が不足している

「AI人材」と聞くと、データサイエンティストやAIエンジニアなど、高度な専門人材を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、多くの企業で求められているのは、自社でAIシステムを開発する人材ではなく、既存の生成AIサービスを業務で安全かつ効果的に活用できる人材です。

一方で、生成AIを業務へ適切に取り入れるための知識やスキルを持つ従業員は、まだ十分とはいえません。現場の業務を理解したうえで、生成AIを業務改善に生かせる人材を育成することが、生産性向上やDX推進を進めるうえで重要になります。

生成AIを活用できる人材に求められる主なスキル

現場で生成AIを活用できる人材を育成するためには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。ここでは、業務活用・管理・推進の観点から主なスキルを紹介します。

業務課題を見つける力

生成AIを効果的に活用するための第一歩は、「どの業務に生成AIを活用すれば効率化できるか」を見極める力です。

日々の業務で、時間を要する定型作業や、アイデア出し・文章作成などに時間がかかっている業務を整理し、「要約機能を活用できる」「アイデア出しの壁打ち相手として活用できる」といった活用方法を考える力が求められます。業務課題を正しく把握できなければ、生成AIの能力を十分に生かすことはできません。

プロンプトを作成・改善する力

生成AIから期待する回答を得るためには、適切な指示を与える「プロンプト」の作成スキルも重要です。

例えば、「議事録を書いて」と依頼するだけではなく、「以下の会議メモから決定事項と担当者ごとのTo Doを抽出し、表形式で整理してください」のように、目的や条件、出力形式を具体的に伝えることで、より実務で活用しやすい回答を得られます。

また、一度の指示で終わらせるのではなく、生成AIとの対話を通じてプロンプトを改善し、出力内容を調整する力も求められます。

出力内容を確認・修正する力

生成AIは、事実と異なる情報をあたかも正しいように生成する「ハルシネーション」を起こすことがあります。また、計算ミスや文脈の誤解が含まれる場合もあるため、生成AIの出力結果をそのまま利用することは適切ではありません。

内容が事実と一致しているか、論理に矛盾がないか、自社の表現ルールに沿っているかなどを確認し、必要に応じて修正する判断力が求められます。最終的な成果物の品質に責任を持つのは人間であるという意識が重要です。

情報管理とリスクを理解する力

生成AIを業務で利用するためには、情報セキュリティやコンプライアンスに関する知識も欠かせません。

例えば、生成AIに機密情報や個人情報、未公開の社内情報を入力すると、情報漏えいや意図しない情報利用につながるおそれがあります。また、生成された文章や画像についても、著作権などの権利関係に配慮する必要があります。

社内の利用ガイドラインを理解し、入力してよい情報と入力してはいけない情報を適切に判断しながら、安全に活用するリテラシーが求められます。

生成AIを活用できる人材を社内で育成する進め方

生成AIを活用できる人材は、外部採用だけに頼るのではなく、自社の業務を理解している既存社員をリスキリングによって育成することも有効です。

ここでは、社内で生成AIを活用できる人材を育成するための進め方を紹介します。

対象部門と活用業務を決める

全社一斉に育成を始めると、研修内容が抽象的になりやすく、現場への定着につながりにくくなります。

まずは、情シスや企画、総務など、生成AIの活用効果を実感しやすい部門からスモールスタートで取り組むことがおすすめです。そのうえで、「議事録の要約」「マニュアルのたたき台作成」「FAQの作成・整理」など、生成AIを活用しやすい業務を選定し、実際の業務で活用を進めます。

基本ルールとガイドラインを整える

現場が安心して生成AIを活用できるよう、導入前に利用ルールを整備することが重要です。

例えば、「機密情報や個人情報は入力しない」「利用を認める生成AIサービスを定める」「社外へ成果物を公開する際の承認フローを明確にする」といった内容を盛り込んだ社内ガイドラインを策定します。

ルールが曖昧なままでは、従業員が利用に不安を感じ、生成AIの活用が広がりにくくなる可能性があります。

実務に即したレクチャーを行う

ルールを整備したあとは、対象となる従業員に向けてレクチャーや勉強会を実施します。このとき、生成AIの仕組みを説明するだけではなく、自社の業務に即した活用方法を伝えることが重要です。

例えば、社内マニュアルの作成やメール文面の作成、議事録の要約などを題材にしながら、すぐに利用できるプロンプトのテンプレートを共有することで、業務への活用をイメージしやすくなります。

小さな成功事例を共有する

一部門での取り組みを通じて、「議事録の作成時間を短縮できた」「顧客向けメールの作成・推敲にかかる時間を削減できた」といった小さな成功事例を積み重ねます。その成果を社内報やポータルサイトなどで共有することで、他部門でも「自分たちの業務にも活用できそうだ」という意識が生まれ、生成AIの活用や人材育成を全社へ広げやすくなります。

情シス・人事・経営層が担う役割

生成AIを活用できる人材の育成と定着は、一つの部門だけで進められるものではありません。情シス、人事、経営層、そして現場がそれぞれの役割を担いながら連携して進めることが重要です。

情シス|安全な利用環境と運用ルールを整える

情シスは、全社で安心して生成AIを活用できる環境づくりを担います。例えば、入力データの取り扱いやデータ保護の条件を確認したうえで企業向けサービスを選定し、アカウント・権限の管理、セキュリティガイドラインの策定などを行います。

また、「この情報は入力してよいか」「期待した回答が得られない」といった現場からの相談に対応できる問い合わせ窓口を整備し、継続的な活用を支援することも重要な役割です。

人事|教育設計とリスキリングを進める

人事は、全社的な人材育成の観点から教育プログラムを設計・運営します。新入社員向けの基礎研修や管理職向けのリスクマネジメント研修、一般社員向けの実践的な生成AI活用研修など、対象者に応じたリスキリングの機会を提供します。

また、生成AIを活用した業務改善の取り組みを人材育成や評価制度と連携させることで、継続的な学習や活用を後押しできます。

経営層|活用方針と優先順位を示す

経営層は、生成AIをどのような目的で活用するのかを全社へ明確に示す役割を担います。

例えば、「定型業務を効率化して企画業務に時間を充てる」「顧客対応の品質向上につなげる」など、生成AIの活用目的や優先順位を共有することで、現場は取り組みの方向性を理解しやすくなります。

経営層が継続的に方針を発信することは、全社での活用を進めるうえでも重要です。

現場|活用テーマを持ち寄る

実際に生成AIを業務へ取り入れるのは現場です。日々の業務のなかから、時間がかかる定型作業やミスが発生しやすい業務などを洗い出し、生成AIを活用できるテーマを検討します。

情シスが整備した環境やガイドラインを活用しながら効果を検証し、その結果やプロンプトの改善例を社内で共有することで、組織全体の活用ノウハウを蓄積できます。

生成AIを活用できる人材の育成でつまずきやすいポイント

育成を円滑に進めるためには、導入時によくある課題をあらかじめ把握し、対策を講じることが大切です。ここでは、多くの企業で見られる代表的な課題を紹介します。

研修だけで終わってしまう

生成AIの研修を実施しても、受講者が知識を得ただけで終わってしまい、実際の業務で活用されないケースがあります。研修後に実践する機会がなければ、学んだ内容は定着しにくくなります。

そのため、研修とあわせて「次回の会議では生成AIで議事録を作成する」「メールのたたき台作成に生成AIを活用する」など、実務で生成AIを利用する機会を設けることが重要です。

ルールが曖昧で現場が使いにくい

「機密情報は入力しない」といった大まかなルールだけでは、現場は何を入力してよいのか判断できず、利用をためらうことがあります。

入力可能な情報の範囲や利用できる生成AIサービス、成果物の取り扱いなどを具体的に定めたガイドラインを整備することで、従業員が安心して生成AIを活用しやすくなります。

一部の担当者に依存してしまう

生成AIを使いこなせる担当者だけにノウハウが集まり、組織全体へ活用が広がらないケースも少なくありません。

活用方法やプロンプトのテンプレート、成功事例などを共有し、誰もが活用できる環境を整えることで、特定の担当者への依存を防ぎやすくなります。また、情シスや人事が中心となってナレッジを蓄積・展開する仕組みを整えることも有効です。

効果測定ができていない

生成AIを導入しても、活用によってどのような成果が得られたのかを把握できなければ、改善につなげることが難しくなります。

例えば、「議事録作成時間の短縮」「問い合わせ対応時間の削減」「資料作成時間の短縮」といった指標(KPI)を設定し、定期的に効果を確認することで、育成施策や生成AI活用の改善につなげやすくなります。

自社だけで育成・定着が難しい場合の考え方

生成AIを全社へ展開する際は、社内のリソースだけですべてを進めることが難しい場合もあります。自社で対応すべき領域と外部の支援を活用する領域を整理することで、無理のない体制を構築しやすくなります。

社内だけでは教育設計と運用定着まで手が回りにくい

生成AIを全社へ定着させるには、セキュリティガイドラインの策定や利用ルールの整備に加え、部門ごとの活用方法の検討、従業員向けの研修、問い合わせ対応など、さまざまな取り組みが必要です。

特に、情シスや人事の担当者が限られている場合は、日常業務と並行してこれらの対応を進めることが難しく、生成AIの活用が十分に定着しないケースもあります。

外部支援を活用すると進めやすい領域がある

自社だけで教育設計や定着支援を進めることが難しい場合は、外部の支援サービスを活用する方法もあります。

例えば、利用ルールやガイドラインの整備、部門別の研修、プロンプトやFAQの作成、導入後の問い合わせ対応などを外部と分担することで、情シスや人事の負担を軽減しながら、生成AIの活用を進めやすくなります。

大切なのは“AIに詳しい人”を増やすことだけではない

生成AIの人材育成で重要なのは、生成AIに詳しい人を育成することだけではありません。全社で共通のルールや運用体制を整え、従業員が日々の業務で安全かつ効果的に生成AIを活用できる環境を構築することが大切です。

FGLテクノソリューションズ』では、Microsoft 365の導入から運用支援までをサポートしています。Microsoft 365 Copilotをはじめとする生成AIの導入・活用においても、利用ルールの整備や従業員向けのレクチャー、ヘルプデスクによる問い合わせ対応など、運用定着までを支援しています。

まとめ

この記事では、生成AI人材育成について以下の内容を解説しました。

  • 生成AIを活用できる人材の育成が求められる理由

  • 生成AIを活用できる人材に求められる主なスキル

  • 生成AIを活用できる人材を社内で育成する進め方

  • 情シス・人事・経営層が担う役割

  • 生成AIを活用できる人材の育成でつまずきやすいポイント

  • 自社だけで育成・定着が難しい場合の考え方

生成AIを活用できる人材の育成では、高度なAIシステムを開発できる専門人材だけでなく、既存の生成AIサービスを業務で安全かつ効果的に活用できる人材を育成することが重要です。

育成を進める際は、対象業務を絞ってスモールスタートで取り組み、利用ルールの整備や実務に即したレクチャー、成功事例の共有を通じて、現場への定着を図ることが大切です。また、情シス、人事、経営層、現場が連携し、それぞれの役割を担いながら推進することも欠かせません。自社だけで教育設計や運用定着まで対応することが難しい場合は、外部の支援サービスも活用しながら、無理のない体制で進めることも有効な選択肢です。

生成AIは、人手不足への対応や業務効率化、生産性向上を支援する有力なツールです。自社の課題や業務に適した領域から活用を始め、継続的に活用できる体制づくりを進めていきましょう。

霜島 裕也
霜島 裕也
2022年にFTSへ入社。社内情シス業務アウトソーシングサービスのマーケティング兼プリセールスを担当している。最近は法務関連の事務局にも従事。IT関連資格としてPMP、ITコーディネータを保有し、現在も維持している。 入社前の1991年~2015年は総合電機メーカーにて、総務、販売企画、営業、SE、プロジェクトマネジメントなど幅広い業務を経験。

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