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IT人材育成の進め方とは?社内教育とITアウトソーシングの活用方法

企業のデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が急務となるなか、多くの企業で「IT人材の不足」が深刻な課題となっています。

情報システム部門(以下、情シス)や人事部門、あるいは経営層のなかには、人材不足によって社内システムの安定運用やインシデント対応、さらにはデジタルマーケティングや生成AIといった新しいITの利活用に遅れが出るのではないかと懸念している方も多いのではないでしょうか。

この記事では、今なぜIT人材の育成が強く求められているのか、企業が育てるべきスキルや具体的な育成施策について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.IT人材育成が求められる理由
    1. 1.1.社内システムの運用負荷が増え、属人化しやすい
    2. 1.2.インシデント対応やセキュリティ対策が遅れる
    3. 1.3.デジタルマーケティングや生成AI活用が進まない
  2. 2.IT人材に求められる主なスキル
    1. 2.1.社内システムを安定運用するスキル
    2. 2.2.トラブルやインシデントに対応するスキル
    3. 2.3.業務部門のIT活用を支援するスキル
    4. 2.4.経営層や現場と円滑にコミュニケーションを取るスキル
  3. 3.IT人材を社内で育成するための進め方
    1. 3.1.必要な役割とスキルを棚卸する
    2. 3.2.OJTと手順書整備をセットで進める
    3. 3.3.部門別にITリテラシー教育を行う
    4. 3.4.資格取得や研修を育成計画に組み込む
  4. 4.IT人材育成でつまずきやすいポイント
    1. 4.1.忙しくて育成に時間を割けない
    2. 4.2.担当者任せで属人化してしまう
    3. 4.3.育成すべきスキルが明確になっていない
    4. 4.4.育成しても実務に活かせない
  5. 5.育成と外部支援を組み合わせる考え方
    1. 5.1.自社で担うべき領域を明確にする
    2. 5.2.運用業務は外部支援で補う
    3. 5.3.外部支援を活用すると育成に時間を確保しやすい
    4. 5.4.外部パートナー選定で見るべきポイント
  6. 6.まとめ

IT人材育成が求められる理由

まずは、なぜ今多くの企業でIT人材の育成が急務となっているのか、その背景を整理します。

社内システムの運用負荷が増え、属人化しやすい

企業活動を支えるITインフラは年々複雑化していますが、それを管理するIT人材が不足すると、社内システムの運用に大きな影響を及ぼします。

例えば、PCやスマートフォンの端末管理、入退社に伴うアカウントの付与・削除、社内ネットワークに関する問い合わせ対応などの業務が少数の担当者に集中し、属人化が進みやすくなります。

特定の担当者が不在になると業務が停滞したり、トラブル対応が遅れたりするおそれがあるため、基礎的な運用スキルを持つ人材を計画的に育成し、安定した運用体制を構築することが重要です。

インシデント対応やセキュリティ対策が遅れる

IT人材の不足は、サイバー攻撃やシステム障害などが発生した際のインシデント対応にも影響します。

専門知識を持つ人材が限られていると、マルウェア感染や不正アクセスが疑われる際の初動判断や原因の切り分けに時間がかかり、被害が拡大する可能性があります。

また、日々の問い合わせ対応などに追われることで、OSやソフトウェアの更新、セキュリティポリシーの見直しといった平時の運用改善が後回しになり、結果として重大なセキュリティインシデントにつながるリスクも高まります。

デジタルマーケティングや生成AI活用が進まない

IT人材不足の影響は、情シスの保守・運用業務にとどまりません。営業やマーケティング、管理部門など、事業部門におけるデジタル活用にも影響を及ぼします。

例えば、顧客データを活用したデジタルマーケティングや、生成AIの導入・定着を進めたくても、全社的な活用を推進できる人材が不足していると、導入後の活用が一部にとどまり、期待した効果を得にくくなることがあります。

企業が競争力を維持・強化するためには、ITリテラシーを組織全体で底上げするとともに、デジタル活用を牽引する人材を育成することが求められます。

IT人材に求められる主なスキル

では、企業は具体的にどのような人材を育成すべきなのでしょうか。ここでは、業務領域ごとに求められる主なスキルを整理します。

社内システムを安定運用するスキル

システム基盤を支えるためには、社内システムを安定して運用するスキルが必要です。具体的には、PCやモバイル端末のキッティングや設定、社内LANやVPNなどのネットワークに関する基礎知識、Active Directory※1やMicrosoft Entra ID※2を用いたアカウント管理の知識などが挙げられます。

また、多くの企業で導入が進むクラウドサービスについて、管理コンソールを操作し、適切な権限設定やログの確認を行える実践的な運用能力も重要です。

※1・・・社内のユーザーや端末、アクセス権限を一元管理するMicrosoftのディレクトリサービス。

※2・・・Microsoft 365などのクラウドサービスの認証やアクセス権限を一元管理するクラウド型ID管理サービス。

トラブルやインシデントに対応するスキル

システム障害やセキュリティインシデントが発生した際には、冷静かつ迅速に対応できる能力も重要です。ネットワークにつながらない、システムにログインできないといった現場からの問い合わせに対し、原因を論理的に特定する「障害の切り分け」のスキルが求められます。

また、自社だけで解決できない場合には、被害の拡大を防ぐための一次対応を行ったうえで、システム開発会社やクラウドベンダーなどの外部パートナーへ状況を正確に伝え、連携して復旧を進めるコミュニケーション能力も欠かせません。

業務部門のIT活用を支援するスキル

これからのIT人材には、情シスの業務にとどまらず、各部門の生産性向上を支援する能力も求められます。単にツールを導入するだけでなく、現場の業務フローを理解したうえで、SaaSやRPAを活用した業務改善を提案できる力が重要です。

社内に散在するデータを整理して活用しやすい環境を整えたり、生成AIを活用した議事録や資料作成のプロンプトの活用方法を現場へレクチャーしたりするなど、ユーザーのIT活用を伴走支援する役割も期待されます。

※RPA(Robotic Process Automation)とは、ソフトウェアロボットを用いて定型業務を自動化する仕組みのこと。

経営層や現場と円滑にコミュニケーションを取るスキル

高度な技術力と同じくらい重要なのが、経営層や現場と円滑にコミュニケーションを取る能力とビジネスへの理解です。現場が抱える業務課題や不満を丁寧にヒアリングし、「システムで解決できること」と「運用ルールで対応すべきこと」を整理する力が求められます。

経営層に対しては、IT投資の必要性やセキュリティリスクを専門用語に頼らず分かりやすく説明し、優先順位を整理しながら提案する能力も重要です。

IT人材を社内で育成するための進め方

IT人材を外部採用だけで確保することは、労働市場の競争激化により年々難しくなっています。そのため、自社の既存社員を計画的に育成することが重要です。

ここでは、社内でIT人材を育成するための具体的な進め方を紹介します。

必要な役割とスキルを棚卸する

育成を始める前に、まずは自社にどのようなIT人材が不足しているのかを可視化することが第一歩です。

情シスの日常運用、セキュリティ対策、クラウドインフラの管理、データ活用など、ITに関する業務領域を整理し、それぞれに必要なスキルと現在の社内リソースを棚卸します。

幅広い業務を一人で担える人材を育成することを目指すのではなく、「社内のヘルプデスク対応を担う人材」や「部門の業務効率化を推進する人材」など、自社に必要な役割を明確に定義し、育成のゴールを設定することが重要です。

OJTと手順書整備をセットで進める

座学だけでなく、実際の業務を通じて学ぶOJT(On-the-Job Training)は、IT人材の育成に効果的です。ただし、担当者の知識やノウハウを口頭で伝えるだけでは、教える側の負担が大きいうえ、知識も定着しにくくなります。

そのため、マニュアルやトラブル対応のFAQなどの手順書を整備し、OJTと並行して活用することが重要です。手順書を参照しながら実務を経験し、不明点や改善点があれば新任者自身が内容を更新することで、育成と同時に業務の標準化や属人化の解消にもつながります。

部門別にITリテラシー教育を行う

IT人材の育成に加えて、営業や総務、人事などの各部門を対象としたITリテラシー教育も重要です。

不審なメールへの対処方法やパスワード管理といったセキュリティの基礎知識に加え、日常的に利用するクラウドツールの活用方法や、生成AIを安全に利用するためのルールなどを定期的な勉強会で共有します。現場のITリテラシーが向上すれば、情シスへの初歩的な問い合わせが減り、担当者がより高度な業務や技術習得に時間を充てやすくなります。

資格取得や研修を育成計画に組み込む

ITパスポートや基本情報技術者試験、クラウドベンダーが提供する認定資格の取得を推奨することは有効ですが、資格取得や外部研修の受講そのものを目的にしてはいけません。

学んだ知識が実際の業務でどのように活かされるのかが明確でなければ、社員のモチベーションは維持しにくくなります。

例えば、「この研修を受講したあとは、自部署のファイルサーバーの権限管理を担当する」「学んだ自動化ツールを活用して毎月の集計作業を改善する」といったように、学習内容を実際の業務改善や運用課題の解決につなげることが重要です。

IT人材育成でつまずきやすいポイント

育成をスムーズに進めるためには、多くの企業が陥りやすい課題を事前に把握しておくことが重要です。

忙しくて育成に時間を割けない

よくある課題の一つが、「育成の必要性は理解しているものの、日々の業務に追われて教える時間を確保できない」という状況です。

情シス担当者が、パスワード忘れへの対応やPCのキッティング、突発的なネットワークトラブルへの対応などの日常業務に追われていると、新人や他部門のメンバーの育成に十分な時間を割くことが難しくなります。その結果、「自分で対応したほうが早い」と判断してしまい、育成が後回しになる悪循環に陥ることがあります。

担当者任せで属人化してしまう

育成計画の策定やマニュアル整備を特定の担当者に任せきりにすると、かえって属人化を招くおそれがあります。その担当者独自の手順でシステムが構築・運用されることで、ほかの担当者へ引き継げないブラックボックス化が進む可能性があります。

万が一、その担当者が異動や退職、休職した場合には、システム構成や障害対応の手順が分からず、業務継続に支障をきたすおそれもあります。育成は個人任せにするのではなく、組織として仕組み化して進めることが重要です。

育成すべきスキルが明確になっていない

「IT」と一口に言っても、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、データベース、プログラミングなど、対象となる領域は多岐にわたります。

経営層が「DXを推進するIT人材を育成してほしい」と漠然とした方針だけを示すと、人事や現場は何から取り組めばよいのか判断できません。自社の課題や育成目的を整理しないまま、外部研修を手当たり次第に受講させても、知識が体系的に身につかず、実務で活かせる人材の育成にはつながりにくくなります。

育成しても実務に活かせない

研修やOJTを通じてITスキルを習得しても、その知識やスキルを発揮する機会がなければ、育成の成果は十分に活かされません。

例えば、クラウドの知識を習得しても、社内システムがオンプレミス環境のままで改善提案を実践できなかったり、業務効率化のアイデアを提案しても「今のやり方を変えたくない」と現場の理解が得られなかったりするケースがあります。

学習内容と業務課題の解決が結び付いていないと、育成の効果が見えにくくなり、せっかく育成した人材のモチベーション低下や離職につながる可能性もあります。

育成と外部支援を組み合わせる考え方

自社のリソースだけでIT人材の育成とシステム運用の両立を図ることは容易ではありません。すべてを内製化しようとするのではなく、社内で担う領域と外部の専門事業者に任せる領域を適切に切り分けることが重要です。

自社で担うべき領域を明確にする

外部委託を進める前に、まずは自社にノウハウとして蓄積すべきコア業務を明確にします。

例えば、自社のビジネスモデルに直結するIT戦略の企画・立案、業務プロセスの改善テーマの検討、各部門との要件整理や社内コンセンサスの形成など、「社内で判断すべき領域」は、自社のIT人材が担うべき重要な役割です。

こうした企画や調整を担える人材の育成に、社内のリソースを重点的に配分することが重要です。

運用業務は外部支援で補う

一方で、手順が定まっており、マニュアルに沿って対応できる定常的な運用業務は、ITアウトソーシングの活用も有効な選択肢です。

具体的には、従業員からの問い合わせ対応、新入社員用PCのキッティングやIT資産管理、アカウントの発行・削除、システムの死活監視や一次障害対応などが挙げられます。

業務範囲や対応手順、サービスレベルを明確にしたうえで専門事業者へ委託することで、安定した運用体制を構築しやすくなります。

外部支援を活用すると育成に時間を確保しやすい

問い合わせ対応やアカウント管理などの日常業務に追われ、育成に十分な時間を確保できない企業は少なくありません。こうした定常的な運用業務を外部へ委託する大きなメリットは、社内のIT担当者が育成や改善活動に取り組む時間を確保しやすくなることです。

日常運用の負荷を軽減することで、担当者は新しい技術の習得や他部門へのITリテラシー教育、全社的なDX推進の企画・検討など、より付加価値の高い業務に取り組みやすくなります。外部リソースを適切に活用することは、自社のIT人材育成を継続的に進めるための有効な手段といえます。

外部パートナー選定で見るべきポイント

外部のアウトソーシング事業者を選定する際は、単に依頼された業務を代行するだけではなく、自社の課題に寄り添い、継続的な改善を支援できるパートナーを選ぶことが重要です。

例えば、「現在の運用フローの課題を洗い出し、改善提案を行ってくれるか」「Microsoft 365などのクラウドサービスの活用方法について相談できるか」「将来的なIT戦略も見据えた提案や支援を受けられるか」といった観点で比較・検討するとよいでしょう。

FGLテクノソリューションズ』では、ヘルプデスクやキッティング、ITインフラの保守運用までを包括的にサポートする「社内システム運用管理サービス」を提供しています。また、「Microsoft Azure・Microsoft 365導入・運用支援」など、クラウド環境の最適化やDX推進を支援するサービスも提供しており、情シスの運用負荷の軽減と、IT人材がより付加価値の高い業務へ取り組める環境づくりをサポートしています。

まとめ

この記事では、IT人材育成について以下の内容を解説しました。

  • IT人材育成が求められる理由

  • IT人材に求められる主なスキル

  • IT人材を社内で育成するための進め方

  • IT人材育成でつまずきやすいポイント

  • 育成と外部支援を組み合わせる考え方

IT人材を育成するためには、外部採用だけに頼るのではなく、既存社員のスキル向上や手順書の整備などを組み合わせながら、継続的に取り組むことが重要です。また、自社に必要な役割や育成すべきスキルを明確にし、育成と実務を結び付けながら進めることで、学習内容を業務に活かしやすくなります。

一方で、日常の運用業務に追われて育成に十分な時間を確保できない企業も少なくありません。そのような場合は、ヘルプデスクやキッティング、アカウント管理などの定常業務をITアウトソーシングで補い、社内のIT担当者が企画や改善といった付加価値の高い業務に取り組める体制を整えることも有効です。

FGLテクノソリューションズ』では、ヘルプデスクやITインフラの保守・運用、Microsoft 365やMicrosoft Azureの導入・運用支援など、情シスの運用負荷を軽減する各種サービスを提供しています。IT人材育成と運用体制の両立をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

霜島 裕也
霜島 裕也
2022年にFTSへ入社。社内情シス業務アウトソーシングサービスのマーケティング兼プリセールスを担当している。最近は法務関連の事務局にも従事。IT関連資格としてPMP、ITコーディネータを保有し、現在も維持している。 入社前の1991年~2015年は総合電機メーカーにて、総務、販売企画、営業、SE、プロジェクトマネジメントなど幅広い業務を経験。

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