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中小企業がIT導入に使える補助金とは。2025年度に向けて準備しよう

ITの進展に伴い、企業活動においてもIT導入によるデジタル化が重要となっています。IT投資に積極的に取り組むことで、生産性の向上やDXの推進につながります。

しかし、日本の中小企業では、大企業と比較してデジタル化が進んでいません。


▼日本におけるデジタル化の実施状況(企業規模別)

日本におけるデジタル化の実施状況(企業規模別)

画像引用元:総務省『情報通信白書令和5年版 データ集


IT導入によるデジタル化が中小企業で進まない理由の一つに、コストの問題があります。コストを抑えてIT導入を行うには、補助金を活用することが有効です。

この記事では中小企業のIT導入を後押しする補助金制度について、最新情報と来年度の申請に向けた準備のポイントを解説します。

なお、IT導入に活用できる、FGLテクノソリューションズが提供するITアウトソーシングサービスについてはこちらの資料をご覧ください。

また、ITアウトソーシングの業者を選ぶ際のポイントはこちらの資料にまとめています。

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出典:総務省『情報通信白書令和5年版 データ集


目次[非表示]

  1. 1.IT導入に利用できる補助金
    1. 1.1.IT導入補助金
    2. 1.2.大規模成長投資補助金
    3. 1.3.事業再構築補助金
    4. 1.4.小規模事業者持続化補助金
    5. 1.5.ものづくり補助金
  2. 2.補助金利用時に把握しておくポイント
    1. 2.1.承認前の購入品は対象外になる場合がある
    2. 2.2.一般的に後払いとなる
    3. 2.3.受給できない場合がある
    4. 2.4.事務処理に時間と労力がかかる
  3. 3.まとめ


IT導入に利用できる補助金

IT導入に利用できる補助金は複数あるため、自社の導入目的にあった補助金を選定することが重要です。


IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のITツール導入を支援する補助金です。会計ソフトや受発注システム、勤怠管理ツールなどのITツール導入費用が補助対象となっています。特に、インボイス対応に向けたツールの導入には手厚い補助が設けられています。


▼IT導入補助金(2024年度補正予算)

IT導入補助金(2024年度補正予算)

画像引用元:中小企業庁『IT導入補助金


申請にあたっては、“IT導入支援事業者”との連携が必要となります。IT導入支援事業者は、ITツールの選定から導入支援、補助金申請のサポートまでをワンストップで提供してくれます。自社に最適なツールを見極めるためにも、早めに相談することが重要です。

また、申請前にはgBizIDプライムの取得やSECURITY ACTIONの実施など、いくつかの準備が必要となります。


出典:中小企業庁『IT導入補助金』『サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2024』の概要


大規模成長投資補助金

大規模成長投資補助金は、中堅・中小企業の大規模な設備投資を支援する補助金制度です。

工場の新設や生産設備の導入などによって事業拡大・生産性向上を図ることで、従業員の持続的な賃上げにつなげることを目的とします。


▼大規模成長投資補助金(2023年度補正予算)

補助対象者
中堅・中小企業
補助上限額
50億円
補助率
1/3以内
事業の要件
  1. 投資額10億円以上
  2. 補助事業終了後3年間の賃上げ率が、直近5年間の最低賃金の伸び率以上

経済産業省『令和5年度補正「中堅・中小企業の賃上げに向けた省⼒化等の⼤規模成⻑投資補助⾦(中堅・中小成長投資補助金)」の2次公募について』を基に作成


申請には詳細な事業計画の策定が必要で、プレゼンテーション審査も行われます。準備には相応の時間を要するため、早めに専門家への相談を始めることが有効です。


出典:経済産業省『令和5年度補正「中堅・中小企業の賃上げに向けた省⼒化等の⼤規模成⻑投資補助⾦(中堅・中小成長投資補助金)」の2次公募について』『令和6年度補正「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」補助事業者募集要領


事業再構築補助金

事業再構築補助金は、今なお新型コロナウイルスの影響を受けている事業者や、ポストコロナに対応するための取り組みを実施する事業者に向けて、事業再構築を支援する補助金制度です。


▼事業再構築補助金(第13回公募)

事業再構築補助金(第13回公募)

画像引用元:経済産業省『事業再構築補助金第13回公募の概要


申請にあたっては、事業再構築の定義に合致する計画であることが必要です。具体的には、新市場進出や事業転換、業種転換、事業再編などが対象となります。

また、補助事業終了後3〜5年で、付加価値額の年率平均もしくは従業員一人当たりの付加価値額の年率平均について、3〜5%以上の増加を達成することが求められます。

審査では、金融機関や支援機関など外部からの確認が行われるため、計画の実現性や継続性についても客観的な評価が重要となります。

なお、補助事業実施期間の終了後もフォローアップが行われます。補助事業終了後5年間は事業化状況報告が必要です。


※事業類型によって異なります。


出典:経済産業省『事業再構築補助金第13回公募の概要


小規模事業者持続化補助金

小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する補助金制度です。

店舗の改装、チラシやカタログの作成、展示会への出展など、小規模事業者が取り組む販路開拓や生産性向上の取り組みに活用できます。


▼小規模事業者持続化補助金(2023年度補正予算)


補助上限
補助率
通常枠
50万円
2/3
特別枠
200万円
2/3

中小企業庁『令和5年度補正予算「小規模事業者持続化補助金」』を基に作成


通常枠のほか、賃金引上げや事業規模の拡大、後継者支援、創業者支援など、政策的観点から優先度の高い事業に取り組む事業者に向けた特別枠が設けられています。

申請の際は、商工会・商工会議所の助言・指導を受けながら経営計画を作成することが求められます。また、GビズIDを取得した上で電子申請を行う必要があります。

※事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+50円以上とした事業者のうち、赤字となっている事業者については補助率が3/4となります。


出典:中小企業庁『令和5年度補正予算「小規模事業者持続化補助金」


ものづくり補助金

中小企業・小規模事業者に対して、革新的な製品・サービス開発による高付加価値化や、海外事業の実施による国内の生産性工場などを支援する補助金制度です。

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費などの経費が対象となります。


▼ものづくり補助金(2024年度補正予算)


補助上限
補助率
製品・サービス高付加価値化枠
750万~2,500万円
中小企業:1/2
小規模・再生:2/3
グローバル枠
3,000万円
中小企業:1/2
小規模:2/3

中小企業庁『令和6年度補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』を基に作成


大幅な賃上げを行う事業者には補助上限額が100〜1,000万円上乗せされるほか、最低賃金の引き上げに取り組む事業者であれば補助率が2/3に引き上げられます。

申請にあたっては以下の基本要件をすべて満たす3〜5年の事業計画書の策定および実行が必要となります。


▼ものづくり補助金の基本要件

  1. 付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
  2. 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
  3. 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
  4. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)


また、事業化状況や収益状況の報告が事業計画の年数分だけ必要となります。

※最低賃金引上げ特例適用事業者の場合、基本要件は1・2・4のみとなります。


出典:中小企業庁『令和6年度補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』『令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要




補助金利用時に把握しておくポイント

補助金を活用する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。特に中小企業・小規模事業者向けの補助金では、申請から実績報告までさまざまな要件や手続きがあり、これらを正しく理解し対応することが採択への近道となります。


承認前の購入品は対象外になる場合がある

補助金の承認を受ける前に購入した製品やサービスについては、補助対象にならない場合が多くあります。

補助金を活用して対象の製品やサービスを購入する際は、承認までの期間を踏まえてスケジュールを調整しておくことが必要です。


一般的に後払いとなる

補助金は基本的に後払い制度となっています。事業者がまず事業にかかる全額を支払い、その後で補助金が交付される仕組みです。

例えば、200万円の設備投資を行う場合、補助率が2/3だとしても200万円の全額を一度自社で用意することが求められます。補助金の交付は事業完了後の実績報告を経てからとなるため、資金繰りの計画を立てる際には考慮しておく必要があります。


受給できない場合がある

補助金は採択件数が限られているため、申請したすべての企業が受給できるわけではありません。補助金の活用を事業計画に組み込む場合は、受給できない可能性も認識しておく必要があります。

採択を決める審査では、事業計画の内容や実現可能性、費用対効果などが総合的に評価されます。申請段階で事業計画をしっかりと策定しておくことが重要です。


事務処理に時間と労力がかかる

補助金の申請から交付までには、書類の作成をはじめ、さまざまな事務処理が必要となることから時間や労力がかかりやすいといえます。


▼補助金の申請から交付までの流れ

手順
概要
1.事前準備
GビズIDの取得や電子申請システムへの登録を行います。
2.事業計画の作成
補助事業の具体的な内容、期待される効果、資金計画などを記載した事業計画書を作成します。
3.申請書類の提出
必要書類を揃えて期限内に提出します。電子申請が一般的です。
4.審査・採択
外部有識者による審査を経て、採択の可否が決定されます。
5.交付申請
採択後、改めて交付申請を行います。
6.事業実施
交付決定を受けた後、計画に沿って事業を実施します。
7.実績報告
事業完了後、実績報告書を提出します。
8.確定検査
事業の実施内容や支出内容の確認が行われます。
9.補助金交付
検査後、補助金が交付されます。


また、補助金の種類によっては交付後にも事業状況の報告を求められる場合があります。

補助金申請の事務処理は従業員の負担となりやすいため、申請期間には余裕を持ったうえで、社内に十分な人員を確保して臨むことがポイントです。



まとめ

この記事では、中小企業がIT導入に使える補助金について以下の内容を解説しました。


  • IT導入に利用できる補助金
  • 補助金利用時に把握しておくポイント


補助金は、中小企業・小規模事業者が成長を図るうえで有効な手段です。IT導入に補助金を活用することで、生産性の向上やDXの推進につながります

しかし、補助金を利用する際には、後払い制度による資金面での準備や、厳格な要件・手続きへの対応が必要となります。事務処理には時間と労力がかかるため、人員の確保が重要です。

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山根 佐利
山根 佐利
1998年に入社し、インフラエンジニアとしてシステム導入から運用を担当しました。 2000年には社内情シス業務のアウトソーシングサービスを立ち上げ、現在はマーケティング兼プリセールスを担当し、サービス事業部と共に自社の社内情シス担当も兼務してノウハウを習得しています。

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