
Copilotのプランと価格を比較。企業に適した選び方のポイントとは
2022年ごろから急速に普及した生成AIは、人間が行ってきた創造的かつ複雑なタスクをこなす革新的な技術として業務の在り方を変えることが期待されています。
代表的な生成AIサービスとして、“ChatGPT(チャットジーピーティー)”や“Copilot(コパイロット)”が挙げられます。なかでも、Microsoftが開発・提供するCopilotには複数のプランがあり、用途や使い方に応じて選択する必要があります。
この記事では、Copilotの基本情報やプランと価格、企業に適したプランを選ぶためのポイントについて解説します。
同じくMicrosoftが提供するMicrosoft Azure・Microsoft 365の導入・運用支援サービスについては、こちらの資料をご確認ください。
※2025年6月13日時点の情報を基に作成しています。
目次[非表示]
生成AIの技術を備えたCopilotの基本情報
Copilotは、Microsoftが開発・提供する生成AIを取り入れたAIアシスタントです。
大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)と呼ばれる人間の言語を理解する技術が組み込まれており、ユーザーの質問への回答や指示に基づいたコンテンツの生成が可能となります。
▼Copilotの特徴
項目 |
概要 |
Microsoft 365との連携(※)
|
Microsoft 365のアプリケーションと統合して、タスクや業務プロセスのなかで生成AIアシスタントの機能を活用する |
高度な自然言語処理 |
日常的な言葉を理解して、ユーザーが与えた指示に基づいてタスクの処理を行う |
マルチモーダル |
テキスト・画像・映像・音声などの異なる形式のデータソースを統合して、高度かつ複雑な処理を実現する |
定型的なデータの集計・処理を自動化したり、文書やプレゼンテーション資料を効率的に作成したりできるため、生産性向上のツールとして活用されています。
※プランによってMicrosoft 365との連携可否は異なります。
Copilotのプランと価格
企業の業務に活用されるCopilotのアシスタントツールは大きく3つの利用形態に分けられます。それぞれ選べるプランや価格が異なります。
➀Microsoft Copilot
Microsoft Copilotは、独立したツールとしてCopilotの機能を利用することが可能です。個人のユーザーや小規模なビジネスでの活用が想定されています。
Microsoft Copilotのプランは、以下の2つがあります。
▼Microsoft Copilotのプラン
プラン名 |
価格 |
利用対象 |
想定される用途 |
Microsoft Copilot |
無料 |
個人ユーザー |
プライベートでの利用 |
Microsoft Copilot Pro |
1ユーザー3,200円/月 |
個人ユーザーや小規模な組織向け |
ビジネスでの利用 |
Microsoft Copilot(無料版)
Microsoft Copilotは、チャットや文章の作成などの基本的な生成AIの機能を無料で利用できるプランです。個人ユーザーによる活用が想定されています。
▼Copilotの基本機能
- チャット(データ保護なし)による質疑応答
- 文章の生成・要約
- Web検索 など
無料版を利用すると、生成AIを活用した簡単な質疑応答やアイデアの創出に活用できます。一方、Microsoft 365アプリケーションとの統合には対応しておらず、ピーク時間帯のアクセスが制限されたり、高度なAI機能を利用できなかったりする注意点があります。また、プロンプトの内容が生成AIの学習に使われることを阻害する“データ保護”の機能は備わっていません。
Microsoft Copilot Pro(有料版)
Microsoft Copilot Proは、無料版のCopilotと比べてより高度なAI機能を利用できる有料版のプランとなり、ビジネスでの活用が想定されています。ユーザー数に応じて定額の月額料金が発生するサブスクリプションでの料金形態で、1ユーザー当たり月額3,200円で利用できます。
▼Microsoft Copilot Proの基本機能
- 文章の作成・書き換え・編集
- メールの作成や長いスレッドの要約
- 数式の生成、データの分析・要約
- 詳細な質問に対する包括的なレポートの取得
- 最新のAIモデルの早期利用
- ピーク時間帯での優先アクセス
- Office製品でのAI機能の利用
- 一部のMicrosoft 365アプリケーションでのCopilotの利用 など
Microsoft Copilot Proでは、高速かつ高精度な応答を得られるチャット機能のほか、クリエイティブな作業や複雑なタスクにも対応できる能力が備わっています。
②Microsoft 365 Copilot
Microsoft 365 Copilotは、Microsoft 365製品に組み込まれているツールです。
Microsoft 365と統合されているため、Word(※1)やExcel(※2)といったOffice系アプリケーションやグループウェアなどで生成AIの機能を活用できます。
Microsoft Copilotのプランは、以下の2つがあります。
▼Microsoft 365 Copilotのプラン
プラン名 |
価格 |
利用対象 |
想定される用途 |
Microsoft 365 Copilot Chat |
無料(利用条件あり) |
法人 |
ビジネスでの利用 |
Microsoft 365 Copilot |
1ユーザー4,497円/月 |
法人 |
部署やチームでの利用 |
利用にあたっては、Microsoft 365 の対象ライセンスが必要です。Microsoft 365 Business Basic・Business Standard・Business PremiumやE3・E5などのライセンスが挙げられます。
なお、Microsoft Azure・Microsoft 365の導入・運用支援サービスについては、こちらの資料をご確認ください。
※1…Microsoft Word は、マイクロソフトグループの企業の商標です。
※2…Microsoft Excel は、マイクロソフトグループの企業の商標です。
Microsoft 365 Copilot Chat(無料版)
Microsoft 365 Copilot Chatは、無料で利用できる法人向けのプランです。チャットや文章の作成などの基本的な生成AIの機能が備わっており、ユーザーの業務をサポートします。
▼Microsoft 365 Copilot Chatの基本機能
- データ保護機能が備わったチャット
- Web検索による情報収集・要約
- 単純業務を自動化するAIエージェントの作成 など
Microsoft 365のアプリに組み込まれたチャット機能に加え、従量課金制でAIエージェント機能を追加できます。Microsoft 365アプリケーションとの統合には対応していませんが、チャットにはデータ保護が備わっていることから、プロンプトの内容が生成AIの学習に使われることなく利用できます。
Microsoft 365 Copilot(有料版)
有料版のMicrosoft 365 Copilotは、チャット機能だけでなくさまざまなタスクとワークフローにおいて高度なAI機能を活用できるため、クリエイティブな業務やチームでの共同作業を効率化することが期待されます。
▼Microsoft 365 Copilotの基本機能
- Wordでのドキュメントの作成・編集・要約
- Excelでのデータ分析
- PowerPointでのプレゼンテーション資料の生成
- データ保護機能が備わったチャット
- Outlookでのメールの要約とパーソナライズされた返信
- 機密情報や個人情報のデータを保護する企業向けセキュリティ など
Microsoft 365アプリ上でAIを使用でき、資料の要約や資料の作成といった実践的なアシストが可能です。チャットにはデータ保護が備わっており、プロンプトの内容が生成AIの学習に使われることはありません。
③Copilot in Windows(Windws 11標準搭載)
Copilot in Windowsは、Windows 11に標準搭載されているAIアシスタントです。Windws 11のユーザーであれば無料でCopilotのAI機能を利用できます。
チャットや画像の生成といった基本的な機能に加えて、OSの個人設定やWindowsアプリケーションとの連携などを行えるため、作業の効率化をサポートします。
▼Copilot in Windowsの基本機能
- チャット(データ保護なし)による質疑応答
- Webサイトの要約・翻訳
- 画像の生成
- Windowsアプリケーションと連動した操作支援
- トラブルシューティングの改善提案 など
企業に適したCopilotのプランを選ぶ際のポイント
Copilotのプランによって、異なる利用対象や用途が想定されています。利用する規模やニーズに合わせてプランを選ぶことが必要です。
➀用途やチームでの活用有無
生成AIの機能を活用したいシーンやチームでの共同作業の有無によって、適したCopilotのプランが異なります。
▼各プランにおける利用対象・用途の比較
プラン |
Copilot(無料版) |
Microsoft Copilot Pro |
Microsoft 365 Copilot |
利用対象 |
個人 |
個人・小規模な組織 |
法人 |
主な用途 |
プライベート |
ビジネス |
ビジネス(部署やチームでの利用) |
従業員が個人的なタスクの効率化やアイデアの創出を図りたい場合には、Copilot(無料版)と比べて高度なAI機能が備わったMicrosoft Copilot Proが適しています。
一方、部署やチームのワークフロー全体でMicrosoft 365アプリケーションを利用した共同作業を行う場合には、Microsoft 365 Copilotが適しています。
②Microsoft 365アプリケーションとの連携性
WordやExcel、Teamsなどのアプリケーションを利用するなかでAI機能を活用したい場合には、Microsoft 365と統合できるプランを選ぶ必要があります。
▼Microsoft 365との統合が可能なプラン
- Microsoft Copilot Pro(一部のアプリケーションのみ)
- Microsoft 365 Copilot
Microsoft 365アプリケーションと連携できると、資料の作成やメールの作成・返信、会議の要約などの業務を効率化できるほか、複数のメンバーでスムーズに情報共有と共同作業を行えるようになります。
無料版のCopilotについては、Microsoft 365との統合に対応していません。
なお、Microsoft 365 Copilotのセキュリティについてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
『FGLテクノソリューションズ』では、Microsoft 365のプラン選定や導入をサポートしています。Microsoft 365と併せてCopilotを活用したい方は、こちらの資料もご覧ください。
まとめ
この記事では、Copilotについて以下の内容を解説しました。
- Copilotの基本情報
- Copilotのプランと価格
- 企業に適したCopilotのプランを選ぶ際のポイント
生成AIの技術によってチャットでの質疑応答やコンテンツの生成を行えるCopilotは、ツールの利用形態によって複数のプランがあり、想定されているユーザーや用途は異なります。
タスクの効率化やアイデアの創出に活用したい場合には『Microsoft Copilot Pro』、Microsoft 365アプリケーションと連携して部署・チームで作業を行う場合には『Microsoft 365 Copilot』を選ぶのがよいと考えられます。
『FGLテクノソリューションズ』では、Microsoft 365のプラン選定から環境構築、導入後の教育・操作支援までトータルサポートしています。Microsoft 365と連携してCopilotを活用したい方も当社にお任せください。