
Microsoft 365のビジネス向けプランを比較。特徴や料金、企業に適した選び方のポイント
マイクロソフト社が提供するMicrosoft 365(※)は、クラウド環境でOffice製品やストレージ、グループウェアなどの多彩なアプリケーションを利用できるサブスクリプションサービスです。
業務の効率化や社内のコラボレーション促進に役立つITシステム基盤として、さまざまな企業に活用されています。Microsoft 365には複数のプランがあるため、企業の規模や現場のニーズに合わせて選択することが重要です。
この記事では、Microsoft 365で提供されるプランの特徴や料金、自社に適したプランを選択するポイントについて解説します。
なお、FGLテクノソリューションズでは、Microsoft 365の導入・運用を支援しています。詳しいサービス内容はこちらの資料をご確認ください。
※2025年8月6日時点の情報を基に作成しております。
※Microsoft 365 は、マイクロソフトグループの企業の商標です。
目次[非表示]
Microsoft 365で提供されるプランの構成
Microsoft 365では、個人ユーザー向けとビジネス向けのプランが提供されています。企業に導入されるビジネス向けのプランは、大きく2種類に分けられます。
▼Microsoft 365のビジネス向けプラン
種別 | プラン内容 |
一般法人向け | Microsoft 365 Business Basic |
大企業向け | Microsoft 365 E3 |
社内業務やチームの共同作業などへの活用が想定されているビジネス向けのプランでは、企業の規模や必要なアプリケーション・サービスに応じてプランを選択できるように構成されています。
なお、Microsoft 365のメリット・デメリットやほかのグループウェアとの比較は、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
一般法人向けプランの特徴と料金
Microsoft 365の一般法人向けプラン(Business系プラン)は、Business Basic/Business Standard/Business Premiumの合計ライセンス数が最大300までの中小規模企業を対象としています。なお、Microsoft 365 Apps for Businessはこの300ライセンスの上限には含まれません。
Officeアプリとクラウドサービスを中心として、4つのプランが提供されています。
- Microsoft 365 Business Basic
- Microsoft 365 Business Standard
- Microsoft 365 Business Premium
- Microsoft 365 Apps for business
それぞれのプランは月契約と年契約(月払い・年払い)を選択できる仕組みになっており、契約形態によって料金が変わります。また、3月・9月に料金の見直しが行われる可能性があります。
Microsoft 365 Business Basic
Microsoft 365 Business Basicは、一般法人向けプランのなかでもっともシンプルな設計となっており、ビジネスに求められる基本的なアプリケーションとクラウドサービスを利用できます。
▼特徴
- Web版・モバイル版のOfficeアプリ
- カスタム可能なビジネスメール
- ユーザー1人当たり1TBのクラウドストレージ
- Microsoft Teamsによるチャット・オンライン通話・ビデオ会議
- 標準的なセキュリティ
- アドオンによる生成AI機能(Microsoft 365 Copilot)の利用 など
チームでのコミュニケーションを円滑化できるMicrosoft Teams(以下、Teams)が含まれないプランもあり、低コストで必要最小限のサービスのみを利用することが可能です。Officeアプリについてはデスクトップ版の利用はできません。
▼Business Basicの料金(税別)
ライセンスの内容 | 1ユーザー当たりの月額料金(年契約/一括払い) |
Teamsあり | 899円 |
Teamsなし | 712円 |
Microsoft 365 Business Standard
Microsoft 365 Business Standardは、Basicプランの機能に加えて、デスクトップ版のOfficeアプリとチームでの共同作業を効率化するコラボレーションツールが備わったプランです。
一般法人向けのプランのなかでも価格と機能のバランスがよいことから、多くの企業に選ばれています。
▼特徴
- Basicプランに含まれるすべての内容を搭載
- デスクトップ版・Web版・モバイル版のOfficeアプリ
- Loopによる共同作業用のワークスペース
- Clipchampによる動画編集
- Teamsによるウェビナーでの出席者登録・レポート作成 など
Standardプランでは、Basicプランには含まれないデスクトップ版のOfficeアプリを利用できます。また、Teamsが含まれないプランも提供されています。
▼Business Standardの料金(税別)
ライセンスの内容 | 1ユーザー当たりの月額料金(年契約/一括払い) |
Teamsあり | 1,874円 |
Teamsなし | 1,536円 |
Microsoft 365 Business Premium
Microsoft 365 Business Premiumは、一般向けのMicrosoft 365のうち最上位に当たるプランです。
Standardプランの機能に加えて、高度なセキュリティとデバイス管理の機能が統合されています。
▼特徴
- Standardプランに含まれるすべての内容を搭載
- Entra IDを利用したID・アクセス管理
- Azure Virtual Desktopを利用した安全なリモートデスクトップ
- Intuneを利用した複数デバイス間でのエンドポイント管理
- Defenderによるサイバー攻撃の防御
- Purviewによる機密データの保護 など
Premiumプランを選ぶことで、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境での利用や、従業員の私物端末を業務に使用する場合などにおいて、安全なアクセスと情報資産の保護が可能になります。
▼Business Premiumの料金(税別)
ライセンスの内容 | 1ユーザー当たりの月額料金(年契約/一括払い) |
Teamsあり | 3,298円 |
Teamsなし | 2,961円 |
Microsoft 365 Apps for business
Microsoft 365 Apps for businessは、デスクトップ版のOfficeアプリがメインとなったプランです。
ユーザー1人当たり最大5台の端末にアプリケーションをインストールして利用できます。
▼特徴
- デスクトップ版のOfficeアプリ
- ユーザー1人当たり1TBのクラウドストレージ
- アドオンによる生成AI機能(Microsoft 365 Copilot)の利用 など
Web版・モバイル版のOfficeアプリに対応していないほか、Teamsやビジネスメールなどは含まれていません。
▼Microsoft 365 Apps for businessの料金(税別)
ライセンスの内容 | 1ユーザー当たりの月額料金(年契約/一括払い) |
Teamsなし | 1,236円 |
大企業向けプランの特徴と料金
Microsoft 365の大企業向けプランは、従業員数が301人以上となる企業が対象となっています。
ユーザー数の上限がなく、大企業の業務基盤として求められるセキュリティやコンプライアンスの管理に対応したプランが提供されています。
各プランの契約形態は年契約(月払い・年払い)のみとなっており、3月・9月に料金の見直しが行われる可能性があります。
Microsoft 365 E3
Microsoft 365 E3は、生産性の向上に寄与するクラウドサービスに加えて、基本的なセキュリティとコンプライアンスに関する機能が備わった標準的なプランです。
▼特徴
- デスクトップ版・モバイル版のMicrosoft 365アプリ
- AIチャットによる文章作成やデータ分析
- Entra IDによるID・アクセス管理
- Defenderによるウイルス対策
- Purviewによるメールやファイルの保護
- 更新パッチの自動適用 など
Microsoft 365アプリには、基本のOfficeアプリ・グループウェア・クラウドストレージに加えて、ワークフローの自動化やアプリケーションの構築、共同作業でのタスク管理などの多様なサービスが含まれています。ただし、Teamsは含まれておらず、別途ライセンスの購入が必要です。
▼Microsoft 365 E3の料金(税別)
ライセンスの内容 | 1ユーザー当たりの月額料金(年契約/一括払い) |
Teamsなし | 5,059円 |
Microsoft 365 E5
Microsoft 365 E5は、高度なセキュリティとコンプライアンスに関する機能が備わった大企業向けの最上位プランです。機密情報の保護やコンプライアンスの強化が求められる企業に導入されています。
▼特徴
- Microsoft 365 E3に含まれるすべての内容を搭載
- Power BIを活用したビジネス分析
- セキュリティの統合管理・自動化 など
E5のプランでは、E3よりも高度なセキュリティ機能が備わっており、エンドポイントの保護やアクセスの制御、機密情報の保護などを強化できます。Teamsの利用についてはE3と同じく別途ライセンスが必要です。
▼Microsoft 365 E5の料金(税別)
ライセンスの内容 | 1ユーザー当たりの月額料金(年契約/一括払い) |
Teamsなし | 8,208円 |
Microsoft 365 F3
Microsoft 365 F3は、オフィスワーカーではなく工場や店舗、医療現場などで働く従業員を対象としたプランです。
▼特徴
- Web版とモバイル版のOfficeアプリ
- デスクトップ版のMicrosoft Teams
- Power AutomateやPower Appsを活用したタスク・ワークフローの管理
- Vivaによる従業員同士のつながりの促進
- Defenderによるウイルス対策とアプリケーションの保護
- BitLockerを利用した端末の紛失・盗難時の対処 など
持ち運び可能なモバイル端末(※)や複数人の共用端末での活用を想定したアプリケーションとセキュリティ機能が備わっているため、安全かつ円滑なワークフローの構築が可能です。
▼Microsoft 365 F3の料金(税別)
ライセンスの内容 | 1ユーザー当たりの月額料金(年契約/一括払い) |
Teamsあり | 1,199円 |
※アプリを利用できるモバイルには定義があり、本体画面の対角線長が10.9インチ以下の端末に限定されます。
企業に適したMicrosoft 365のプランを選ぶポイント
Microsoft 365のプランを選ぶ際は、以下の内容を確認することがポイントです。
▼確認すること
- 利用する従業員数
- Officeアプリの利用形態(Web版・モバイル版・デスクトップ版)
- 企業が求めるセキュリティ要件との適合性
- 既存ツールをMicrosoft 365に統合するメリット など
一般法人向けのプランは、従業員数が300人以下の中小企業が対象とされており、これを超える場合には大企業向けのプランが適しています。
また、プランによってOfficeアプリの利用形態が異なります。Business BasicとMicrosoft 365 F3には、デスクトップ版は提供されていません。
自社のセキュリティ要件を満たすために高度な対策が必要な場合には、Business PremiumやMicrosoft 365 E5を検討することがポイントです。
そのほか、現在導入している既存ツールをMicrosoft 365に統合することで、ワークフローを効率化できる可能性があります。ウイルス対策ツールやチャットツール、Web会議ツールなどを統合するメリットを確認しておくことが必要です。
なお、Microsoft 365のセキュリティについてはこちらの記事をご確認ください。
まとめ
この記事では、Microsoft 365について以下の内容を解説しました。
- Microsoft 365で提供されるプランの構成
- 一般法人向け・大企業向けプランの特徴と料金
- 企業に適したMicrosoft 365のプランを選ぶポイント
Microsoft 365のビジネス向けのプランは、企業の規模に応じて一般法人向けと大企業向けの2種類から構成されています。
プランによって想定される従業員数や利用できるアプリケーション・サービスなどが異なるため、企業規模と現場のニーズに合わせて選ぶことが重要です。
『FGLテクノソリューションズ』では、Microsoft 365のプラン選定から環境構築、初期設定、導入後の教育・操作支援までトータルサポートしております。「自社に適したプランが分からない」とお悩みの方もお任せください。