
地方企業が抱える課題とは。持続的な成長のためにIT投資に取り組むポイント
日本では、人口減少や高齢化、都市部への人口集中などが見られており、地域経済の縮小が懸念されています。地域の社会経済を支える地方企業においても、さまざまな課題に直面しています。
地方企業が将来にわたって持続的な競争力を維持するためには、IT投資の拡大を通じて新たな成長につなげることがカギとなります。
この記事では、地方企業が抱える課題や持続的な成長に向けてIT投資に取り組むポイントについて解説します。
なお、情報システム部門のためのITアウトソーシングについてはこちらの資料で紹介しています。
目次[非表示]
- 1.地方企業が抱える課題とは
- 1.1.人材の確保
- 1.2.レガシーシステムへの対応
- 1.3.新しいデジタル技術の活用
- 2.地方企業が持続的な成長を目指すためのIT投資のポイント
- 3.まとめ
地方企業が抱える課題とは
地方企業が抱える主な課題として、人材の確保やデジタル化の推進があります。
人材の確保
地方企業では、都市部と比べて労働力人口が少なく、人材の確保が課題となっています。内閣府の『地域課題分析レポート』によると、都市部と比べて地方の労働力人口は減少傾向にあります。
▼【地域別】労働力人口の推移
画像引用元:内閣府『地域課題分析レポート(2024年秋号)第2章』
南関東や近畿以外の地域では、2019年ごろから労働力人口が横ばい、または減少しています。労働力人口が減少する背景には、総人口が減少するなかで地方の若年層が都市部へと流出していることが挙げられます。
また、内閣府の『地方創生2.0基本構想』によると、東京圏への転入超過数はコロナ禍後に増加しており、若年層がその大半を占めています。
▼【年齢階級別】東京圏への転入超過数の推移
画像引用元:内閣府『地方創生2.0基本構想』
2024年における10~20代の東京圏への転入超過数は13万人を超えており、進学や就職を機に東京圏へ転入する傾向があると考えられます。
地方企業が持続的な成長を目指すには、経営を支える基盤となる人材の確保に取り組むことが求められます。
出典:内閣府『地域課題分析レポート(2024年秋号)第2章』『地方創生2.0基本構想』
レガシーシステムへの対応
地方企業が生産性の向上や競争力の強化を目指すには、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むことが求められます。
しかし、社内に複雑化・ブラックボックス化した“レガシーシステム”が存在することにより、DX推進の妨げとなっているケースがあります。
レガシーシステムの対応が進まない原因には、以下が考えられます。
▼レガシーシステムの対応が進まない原因
- 既存システムの保守運用コストが負担となり、改修に予算を充てられない
- 独自の慣習や紙運用が根づいており、変化に対する現場の抵抗がある など
地方企業がレガシーシステムの刷新を進めるには、既存システムの保守運用にかかる労力・コストの削減や、業務プロセスの変革に一歩ずつ取り組むことが求められます。
新しいデジタル技術の活用
地方企業が成長を続けるには、新たなシステムの導入や全社的なデジタル化が求められます。AIやクラウドサービスなどのデジタル技術の活用は、業務の効率化や人手不足の解消などに貢献すると期待されます。
しかし、IT人材の不足によって新たなデジタル技術の活用が進まない地方企業も見られています。国内におけるIT人材は、情報通信業に76.4%が集中しているほか、東京圏・大阪・名古屋圏だけで全体の76.3%を占めています。
▼産業間・地域間におけるIT人材の分布
画像引用元:内閣府『地域の経済2022 第1章 第3節 第1-3-11図』
地方圏のIT人材は23.7%と全体の4分の1程度しか存在しておらず、地方企業ではデジタル技術に関する知識・技術を持つIT人材が不足していると考えられます。
なお、IT人材の不足についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
出典:内閣府『地域の経済2022 第1章 第3節 第1-3-11図』
地方企業が持続的な成長を目指すためのIT投資のポイント
地方企業が抱える課題を解決するために重要となるのが、戦略的なIT投資です。IT投資を進めるポイントには、以下が挙げられます。
➀ITによる職場環境の改善を図る
地方企業における労働力の不足に対応するには、ITを活用して職場環境の改善に取り組むことがポイントです。
ITを取り入れて働きやすい職場環境の整備や業務プロセスの改善につなげることで、人材採用の促進や労働生産性の向上につながります。
▼ITによる職場環境の改善策
- リモートワーク環境を整備して遠方に住む求職者の採用を促進する
- クラウドサービスを活用して業務や共同作業を効率化する
- チャットツールを導入して情報共有と意思決定を迅速化する
- Web会議ツールを導入して移動の時間・労力を削減する
- 社内FAQを設置して関連部門への問い合わせ数を削減する など
IT業界における働き方改革についてはこちらの記事で解説しています。
②システム刷新の優先度を決めて段階的に取り組む
限られた予算のなかでレガシーシステムの刷新を進めるには、一度に全社的な改革を行うのではなく、優先度を決めて段階的に取り組むことがポイントです。
▼システム刷新の取り組み方
プロセス |
取り組み |
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1.システム全体像の整理 |
各部門で使用しているシステムや業務プロセス、管理データなどを洗い出して全体像を把握する |
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2.既存システムの課題把握 |
既存システムで生じているレガシー化や属人化、アナログ業務の残存などの課題を調査する |
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3.システム刷新領域の決定 |
システムの領域を区分してビジネスの影響度に応じて刷新の優先順位を決める |
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4.システム刷新方法の決定 |
保守運用コストや利用頻度、機能の重複状況などを仕分けして、システムごとに廃止・統合・入替を検討する |
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5.システム刷新計画の作成 |
システムの改修・移行を実施する手順やスケジュールを作成して計画実施の体制を構築する |
また、経営層と情報システム部門、そのほかの関連部門でシステム刷新の目的や具体的なプロセスを共有することも必要です。これにより、予算投資の意思決定や現場の協力が進みやすくなると期待されます。
②ITアウトソーシング(業務代行)を活用する
システムの保守運用に負担がかかっている地方企業では、ITアウトソーシング(業務代行)を活用して社内リソースを確保することも一つの方法です。
情報システム部門や管理部門が対応していた負担の大きい業務を外部に委託することで、社内のIT人材が新たなデジタル技術の導入に取り組めるようになります。
また、専門知識・ノウハウを持つIT人材が社内に不足している地方企業では、システム刷新やデジタル技術の導入について外部のサポートを受ける方法もあります。
ITアウトソーシングを活用する方法についてはこちらの記事をご確認ください。
まとめ
この記事では、地方企業の課題について以下の内容を解説しました。
- 地方企業が抱える課題
- 地方企業が持続的な成長を目指すためのIT投資のポイント
都市部と比べて労働力やIT人材の不足が見られる地方企業では、人材の確保やレガシーシステムへの対応、新たなデジタル技術の活用などの課題が生まれています。
このような課題を解決するには、IT投資を通じた職場環境の改善やシステム刷新に取り組み、労働生産性の向上、業務プロセスの改革を図ることが求められます。
情報システム部門や管理部門にとって負担の大きい業務は、ITアウトソーシングを活用して社内リソースをIT投資のための業務に充てることもポイントの一つです。
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