
AIで業務効率化を目指す! 導入を検討したいAIツールの種類と活用法
近年急速に進化しているAIは、従来の業務に変革をもたらす技術としてさまざまな領域での活用が進んでいます。
情報システム部門(以下、情シス)や管理部門の担当者のなかには「社内業務の効率化に向けてどのようなAIツールを活用できるのか」「運用上の問題点はないのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、AI技術の進展や業務効率化に役立つAIツールの種類、懸念される問題点、情シスに求められる対応について解説します。
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AI技術の進化がもたらす業務変革
人間の知的活動を再現するAI技術は、1950年代に登場してから現代にいたるまで進化を続けており、ビジネスの分野にも浸透しつつあります。
登場当初は探索・推論をベースとしたAI活用が主流でしたが、音声認識やディープラーニング(深層学習)の技術が登場したことで、作業の自動化やデータ分析などの業務領域での活用が広がっています。
さらに2022年ごろからは、人間にしかできなかった創造的なタスクを自律的に遂行する“生成AI”が登場しており、従来の業務のあり方を変える革新的な技術として注目されています。
業務にAI・生成AIを取り入れることで、定型的または負荷の大きい作業を自動化したり、従業員のアシスタント役として協業でタスクを遂行したりできます。これにより、企業へのさまざまな効果が期待されます。
▼AI・生成AIを業務に取り入れる効果
- 作業の自動化による業務効率化や人手不足の解消
- 従業員が付加価値の高い業務にシフトすることによる生産性の向上
- 分析を通じたデータ利活用の促進
- 新たなアイデア・イノベーションの創出 など
なお、情シス業務におけるAIの活用についてはこちらの記事をご確認ください。
業務の効率化に役立つAIツールの種類と活用法
AIツールにはさまざまな種類があり、それぞれ得意とする分野が異なります。業務の特徴や用途に合わせて選定することが必要です。
①AI-OCR×RPAツール
AI-OCRとRPAを組み合わせたAIツールは、これまで手作業で行ってきた紙書類の処理業務を自動化することが可能です。
▼AI-OCRとRPAが持つ機能
機能 | |
AI-OCR | 紙に記載された文字をAIが読み取りデータ化する |
RPA | PCへのデータ入力・処理の手順を設定して操作を自動化する |
OCRは、紙に記載された文字をスキャンして、画像データに含まれる文字情報をデータに変換する技術です。そこにAI技術を活用したAI-OCRは、従来よりも高精度な読み取りが行えるため、手書き文字の認識や異なるフォーマットからの文字抽出が可能になります。
AI-OCRとRPAを組み合わせたAIツールを導入することで、書類の処理に関する一連のフローを自動化でき、バックオフィス業務の効率化につながります。
▼AI-OCR×RPAツールの活用法
- 取引先ごとに異なる請求書の情報を会計システムに登録する
- 従業員が提出した領収書やレシートの情報を経理システムに登録する
- 手書きの受注伝票をデータ化して受注管理システムへの登録と一括処理を行う など
②データ分析・予測AIツール
データ分析・予測に特化したAIツールは、さまざまなデータの中からパターンや相関関係を導き出したり、未来の動向や可能性を予測したりすることが可能です。
膨大なデータを手作業で分析する場合、データの統合やスクリーニングなどに多くの労力・時間を要するほか、精度のばらつきが生じやすくなります。
データ分析・予測AIツールを活用することで、機械学習やディープラーニングによるデータに基づいた統計的・理論的な分析を短時間で行えるようになります。
▼データ分析・予測AIツールの活用法
- 過去の売上データから製品の需要を予測して生産計画を立てる
- Web上のユーザー行動や属性の傾向を分析して広告戦略を立てる
- 生産設備の稼働データから故障の傾向を分析してメンテナンス計画を作成する など
③生成AIツール
生成AIツールは、ユーザーが指示を入力することで文章・画像・音声・動画などのコンテンツを自動で生成するツールです。
自然な言葉・文脈を理解する“大規模言語モデル(LLM)”や、多様なデータ形式を組み合わせて複雑な処理を行える“マルチモーダル”などの技術が用いられています。
生成AIツールは、大きく2つのタイプに分けられます。
▼生成AIツールのタイプ
タイプ | 概要 |
チャットボット型 | ユーザーの質問や指示に対してチャット形式で回答する |
ユーザーアシスタント型 | ユーザーの指示に沿ってタスクを支援する |
生成AIツールを業務に活用することで、新しいコンテンツの作成やアイデアの創出などに役立ちます。
生成AIは、まず成果を実感しやすい業務から取り入れるのがおすすめです。例えば、次のような活用法があります。
▼生成AIツールの活用法
- 会議の音声データから議事録を作成する
- プレゼンテーション資料の企画・構成案を作成する
- 業務アプリケーションと連携してデータ分析やレポート作成を行う
- チャットボットで社内ヘルプデスクの質問への回答を行う など
特に、会議の議事録作成は、AI活用の初めの一歩として取り入れやすく、効果を感じやすい活用方法といえます。
なお、AIアシスタントとして活用できる代表的なツールについては、こちらの記事をご確認ください。
④AIエージェントツール
AIエージェントツールは、ユーザーが設定した目標を達成するために自律的にタスクを遂行するツールです。
生成AIツールの場合、ユーザーが明確な指示を入力する必要があります。これに対してAIエージェントでは、ユーザーが指示をしなくても、AI自身が目標達成に必要なタスクを作成して能動的にプロセスの選択や意思決定を行います。
機械学習や自然言語処理(NLP)、大規模言語モデル(LLM)などの複数のAI技術を組み合わせることで、業務フロー全体でのタスクの省人化・自動化が可能になります。
▼AIエージェントツールの活用法
- Web広告の効果検証を実施して自動でクリエイティブの生成と配信を行う
- 顧客の問い合わせに対する返信メールの作成やスケジュールの更新を行う
- 需要予測分析を実施して生産計画の作成や原材料の自動発注を行う など
AIの活用には問題点もある。情シスに求められる対応とは
AIツールは、定型作業の自動化をはじめ、膨大なデータの分析やクリエイティブな業務を効率化できるメリットがあります。一方で、運用にあたってはいくつか問題点もあります。
▼AIツールの活用における主な問題点
問題点 | 内容 |
ブラックボックス化 | AIモデルの出力結果に対して、推論プロセスや判断の根拠が不透明になる状態 |
ハルシネーションの発生 | 生成AIが誤情報・偽情報のコンテンツを事実かのようにもっともらしく生成する現象 |
情報漏えい | ユーザーがAIツールに入力した情報が他者への回答に使用されることで個人情報や機密情報が漏洩する |
AIモデルのブラックボックス化は、AIツールへの信頼性を担保できなくなるほか、バイアスが生じて公平性に欠ける結果が出力されるリスクがあります。
また、ハルシネーションによって生成された誤情報・偽情報を業務に使用すると、重大な意思決定に影響を及ぼすことも考えられます。さらにユーザーが入力した情報を学習データに使用するAIツールもあり、誤って企業の情報資産が流出してしまうインシデントも懸念されます。
企業のITインフラを支える情シスでは、以下のような取り組みが求められます。
- 学習に使用するデータソースの精査・管理
- ヒューマンインザループ(※)の考えに基づいたAIワークフローの構築
- 取り扱うデータの保護・アクセス制限
- AIツールの使い方に関する社内規定の策定
- 従業員向けの教育 など
生成AIの注意点と情シスによる対策は、こちらの記事をご確認ください。
※AIシステムの意思決定プロセスに人間を介入させること。
まとめ
この記事では、AIのよる業務効率化について以下の内容を解説しました。
- AI技術の進化がもたらす業務変革
- 業務の効率化に役立つAIツールの種類と活用法
- AI活用の問題点と情シスに求められる対応
生成AIの登場により、従来のAIが得意としていた定型業務の自動化やデータの分析に加えて、人間にしかできなかった創造的なタスクにもAI技術を活用できるようになりました。
AIツールの種類によって得意とする作業が異なるため、活用分野や用途に合わせて選択することがポイントです。
また、AIツールの活用にあたっては、出力結果に対する情報の信頼性や不公平性、情報漏えいなどの問題が懸念されるため、情シスによる対策が求められます。
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