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ビジネスに役立つAIツールとは。情シス業務の改革を推進する活用法

AI(人工知能)の技術は目まぐるしく進化し続けており、産業社会や企業活動において幅広い分野で活用されています。

なかでも近年急速に普及した“生成AI”は、人間にしかできなかった創造的なタスクを自律的にこなす革新的な技術として注目が高まっており、ビジネスに役立つさまざまなツールが登場しています。

企業のITインフラや情報資産を管理する情報システム(以下、情シス)部門では、AIツールを活用して「ノンコア業務を自動化・省人化できないか」「業務の効率や品質を高められないか」とお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ビジネスに使えるAIツールの種類や情シスでの活用法について解説します。

なお、生成AIについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

  生成AIで何ができる? ビジネスでの活用方法と運用の注意点 生成AIは従来のAIと比べて、より人間が得意とする創造的なアウトプットを得意としていることから、企業価値の向上が期待できる技術としてビジネスの分野での活用が期待されています。この記事では、生成AIの基礎知識やビジネスでの活用方法、運用の注意点について解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ


目次[非表示]

  1. 1.機能別に見るビジネス向けAIツールの種類
    1. 1.1.テキストの生成
    2. 1.2.画像・動画の制作
    3. 1.3.チャットでの自動応答
    4. 1.4.音声からの文字起こし・翻訳
    5. 1.5.ビッグデータの解析
  2. 2.情シス業務を効率化するAIツールの活用法
    1. 2.1.➀社内ヘルプデスクの運用
    2. 2.2.②システム・IT機器のマニュアル作成
    3. 2.3.③プログラミングコードの生成
    4. 2.4.④セキュリティ分析
  3. 3.まとめ


機能別に見るビジネス向けAIツールの種類

AIツールには、人間の知的活動を再現する機械学習とディープラーニング(深層学習)の技術によって、タスクの自動化やクリエイティブな作業を支援する機能が備わっています。


▼機械学習とディープラーニングの仕組み

機械学習
ディープラーニング
大量なデータから規則性や類似性を導き出して分類・予測を行う
大量のデータから分析に必要な特徴や分類基準を自ら見つけ出して、より精度の高い処理を行う


ディープラーニングは機械学習の技術を進化させた技術です。脳の神経回路が持つ“ニュートラルネットワーク”と呼ばれる仕組みを取り入れることで、複雑かつ高精度なデータ処理が可能になります。


テキストの生成

作成したいレポートやドキュメントの要件を入力して指示することで、テキストを自動で生成するAIツールです。人間が日常的に使用する“書き言葉”の意味や文脈を解析して、自然な文章としてアウトプットする機能が備わっています。


▼テキストの生成に関する機能

  • 与えられた情報・データに沿ったテキストの生成
  • テキストデータの要約
  • テキストデータの多言語翻訳 など


画像・動画の制作

コンテンツのイメージやコンセプト、配色などを言語化してAIツールに入力することで、オリジナルの画像・動画を生成できるAIツールです。

クリエイティブな業務において、自分では思いつかなかった新しいアイデアを得られたり、制作時間・コストを削減したりすることが可能です。


▼画像・動画の制作に関する機能

  • イラストやデザイン素材の生成
  • 画像の一部編集や自動彩色
  • 画像・写真データの線画抽出
  • 動画の生成・加工
  • 動画コンテンツの字幕や音声の生成 など


チャットでの自動応答

チャットに入力した質問に対して自動で回答を表示する機能を持つAIツールです。

事前に設定したキーワードやシナリオに沿って回答を表示する従来のチャットボットとは異なり、“書き言葉”を解析する技術によって膨大なデータから導き出した回答を自然な言語でアウトプットします。


▼自動応答に関する機能

  • テキストや音声による質問の入力
  • 質疑応答や対話 など


音声からの文字起こし・翻訳

人間の音声を認識してAIが言語に変換する技術を用いて、文字起こし・翻訳を行えるAIツールです。膨大なデータベースから発音・単語・文節などを認識して、発声した言葉を適切な文章にすることが可能です。


▼文字起こし・翻訳に関する機能

  • 音声や動画データのテキスト変換・出力
  • 多言語での文章翻訳 など


ビッグデータの解析

社内に蓄積されたビッグデータから必要な情報を抽出したり、傾向やパターンを分析したりするAIツールです。

人の手で処理できるデータ分析には限界がありますが、AIツールを用いることで膨大なデータを高速で処理できるようになります。


▼ビッグデータの解析の機能

  • 特定の出現パターンの抽出
  • 予測モデルの作成
  • 画像・音声・文字の認識と解析 など



情シス業務を効率化するAIツールの活用法

AIツールを活用すると、情シス業務の一部を自動化・省人化して効率化を図ることが可能です。


➀社内ヘルプデスクの運用

チャットによる自動応答が可能なAIツールを導入して、社内ヘルプデスクを運用する方法があります。情シスには、IT機器の操作方法やエラーの解消法などについて、社内から日々さまざまな問い合わせが寄せられます。

AIチャットで一次対応や自己解決を図れる仕組みを整備することで、情シス担当者の負担を軽減できるほか、スピーディな回答が可能になります。


▼AIチャットを用いた社内ヘルプデスクの運用例

  • Q&Aや過去の対応データを学習させて質疑応答を自動化する
  • 質問内容やエラー内容に応じて有人対応のエスカレーション先を提示する
  • 問い合わせ内容や対応ログを蓄積してFAQを自動生成する など


社内ヘルプデスクにAIを導入するメリットは、こちらの記事をご確認ください。

  AIはヘルプデスクの業務を変えるか? AI導入のメリットと限界を解説 ヘルプデスクは膨大な問い合わせへの対応が担当者の負担となりやすいほか、業務が属人化してしまうケースも見られます。このような課題を解決するために注目されている手段がAIの活用です。この記事では、AI活用の方法やメリット、注意点を解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ


②システム・IT機器のマニュアル作成

テキスト生成や画像制作を行えるAIツールを活用して、システム・IT機器のマニュアルを作成できます。主に2つの作業にAIツールが役立ちます。


▼AIツールを用いたマニュアル作成の例

  1. テーマや概要の指示に沿った草案の作成
  2. 作成した文章の校正や要点の抽出


情シス担当者が一からマニュアルを作成する場合と比べて作業時間が短縮されるほか、読みやすく・分かりやすい構成・文章に仕上げられます。


③プログラミングコードの生成

生成AIの技術を用いてプログラミングコードの生成を行えるAIツールがあります。入力した指示内容に基づいてコードが自動で生成されるため、技術者によるコーディング作業の工数削減や期間の短縮につながります。


▼AIツールを用いたプログラミングの例

  • 自然言語による指示に基づいたコード生成
  • 繰り返し記述するコードパターンの自動化
  • コードの補完機能を利用したプログラミング
  • バグや記述ミスのチェック・修正 など


複数人でプログラミングを行う場合にもコードスタイルを統一できるため、品質の均一化を図ることが可能です。


④セキュリティ分析

AIツールは、IT環境のセキュリティ分析にも役立ちます。過去の膨大なデータを学習して脅威のパターンや兆候を解析することで、セキュリティ上のリスクを把握できます。


▼AIツールを用いたセキュリティ分析の例

  • 社内ネットワークやシステムの脆弱性診断
  • 脅威データとユーザー行動に基づくリスク評価
  • 未知のサイバー攻撃の予測 など


なお、AIツール自体に不正アクセスが行われるリスクも存在します。不正な指示や学習データの改変が行われるとアウトプットに異常が生じる可能性があるほか、企業の機密情報が漏えいしてしまうケースが考えられます。

AIツールを情シス業務に活用する際は、アクセス制限や強固な認証の導入、ログの監視などによって対策を行うことが重要です。



まとめ

この記事では、ビジネスでのAI活用について以下の内容を解説しました。


  • 機能別にみるビジネス向けAIツールの種類
  • 情シス業務を効率化するAIツールの活用法


AIツールを活用すると、これまで人力で行ってきた情シス業務の一部を自動化・省人化でき、コア業務に充てるリソースを増やすことが可能です。

情シスでAIを活用する際には、ツールを選定・導入して運用管理を行うシステム環境を構築する必要があります。社内のIT人材に課題がある方は、ITアウトソーシング(業務代行)を依頼することも一つの方法です。 

FGLテクノソリューションズ』の社内システム運用管理サービスでは、専門的かつ幅広いIT関連業務のITアウトソーシングが可能です。新たなITシステム・サービスの導入やセキュリティ管理などのお悩みもご相談ください。


山根 佐利
山根 佐利
1998年に入社し、インフラエンジニアとしてシステム導入から運用を担当しました。 2000年には社内情シス業務のアウトソーシングサービスを立ち上げ、現在はマーケティング兼プリセールスを担当し、サービス事業部と共に自社の社内情シス担当も兼務してノウハウを習得しています。

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