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サーバをリプレイスする方法。そのタイミングや注意点とは

※2025年1月20日更新

社内に構築したサーバを長期間にわたって使用している場合、老朽化が進んで不具合やセキュリティ上の事故などのトラブルにつながるリスクがあります。サーバのリプレイスを行うことで、このようなリスクを防ぎやすくなります。

サーバのリプレイスとは、老朽化したサーバを新しいものに交換して、これまでと同様の環境でシステムを運用できるようにすることです。

情報システム部門や管理部門の担当者のなかには、「サーバのリプレイスはどのタイミングで行えばよいのか」「老朽化したサーバをリプレイスする方法が知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、サーバのリプレイスを行う必要性やタイミング、具体的な方法、注意点について解説します。

なお、サーバの運用管理についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

  サーバの運用管理における業務課題と効率化を図る方法 企業の情報システム部門(以下、情シス)や管理部門の担当者のなかには、「サーバの運用管理を行う負担が大きく、ほかの業務に支障が出ている」「何か効率化できる方法はないのか探している」という方もいるのではないでしょうか。この記事では、サーバの運用管理における業務課題と効率化を図る方法について解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ



目次[非表示]

  1. 1.サーバのリプレイスを行う必要性
  2. 2.サーバのリプレイスを行うタイミング
    1. 2.1.サポート終了までの期間が短い
    2. 2.2.処理スピードが低下している
    3. 2.3.不具合が頻繁に発生している
    4. 2.4.導入から5年以上経過している
  3. 3.老朽化したサーバをリプレイスする方法
    1. 3.1.①要件を定義する
    2. 3.2.②予算を設定する
    3. 3.3.③スケジュールを確定させる
    4. 3.4.④新しいサーバを構築する
    5. 3.5.⑤テストと検証を行い新サーバへと移行する
  4. 4.サーバのリプレイスを行うときの注意点
    1. 4.1.データのバックアップを取る
    2. 4.2.業務中のサーバ停止時間を最小限に抑える
  5. 5.サーバを持たずにクラウドへ移行する方法もある
  6. 6.まとめ


サーバのリプレイスを行う必要性

サーバのリプレイスを行うことで、サーバの老朽化に伴う以下の問題を防げます。


▼老朽化したサーバの利用によって生じる可能性がある問題

  • サーバの処理能力が落ちて、OSやソフトウェアの性能が低下する
  • ハードウェアが故障して、データの損失や業務停止が起こる
  • メーカーによる保守やOSのサポート期間が終了して、セキュリティ上の脆弱性が高まる
  • 最新のセキュリティ脅威に対応できなくなる
  • 自社の事業環境の変化や業務の変革に伴いセキュリティポリシーが変化しており、現状では対応できなくなっている
  • 法改正をはじめとする外部の変化に対応できない など


自社のサーバが老朽化している場合、まだ問題が生じていなかったとしても、予防のためにリプレイスを検討することが重要です。



サーバのリプレイスを行うタイミング

サーバのリプレイスを行うタイミングは、OS・ハードウェアのサポート期限や、システムの動作状況、導入から経過した期間などを基準として判断することが有効です。


サポート終了までの期間が短い

サーバのリプレイスを検討する際の重要な判断基準の1つが、OSやハードウェアのサポート期限です。

OSのサポート終了後はセキュリティパッチの提供が停止するため、継続して使用すると深刻なセキュリティリスクが生じます。また、ハードウェアの保守サポートが終了した場合、故障時の部品調達や修理が困難になることで、業務の継続性に大きな影響を及ぼす可能性があります。

サーバのリプレイスは、一般的に計画から完了まで1年以上かかるとされます。そのため、サポート終了までに余裕を持ってリプレイスを行うことが重要です。


処理スピードが低下している

日常的な業務で「以前より動作が遅くなった」と感じる場合、リプレイスを検討するタイミングといえます。

サーバは使用を続けるうちに、部品の劣化や蓄積していくデータなどによって処理負荷が高まっていきます。処理スピードの低下は、サーバの老朽化が進んだことを示すサインです。

サーバの処理が遅くなると、業務効率の低下やユーザー満足度の低下にもつながるため、リプレイスによって予防する必要があります。


不具合が頻繁に発生している

サーバで不具合や障害が頻発するようになった場合は、リプレイスの検討が必要です。同じような症状が繰り返し発生する場合、ハードウェアの経年劣化が原因の可能性も考えられます。

不具合が頻発している状況を放置すると、予期せぬシステムダウンによって業務が停止したり、重要なデータが失われたりするリスクにつながるため、早急な対応が求められます。


導入から5年以上経過している

一般的に、サーバの標準的な使用期間は5年程度とされています。

減価償却資産としての法定耐用年数についても、かつては6年に設定されていましたが、現在では5年となっています。

ただし、5年という基準は絶対的なものではありません。24時間365日稼働する重要なシステムでは、より短いサイクルでのリプレイスが推奨されます。


出典:国税庁『主な減価償却資産の耐用年数表』『LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答



老朽化したサーバをリプレイスする方法

オンプレミスサーバのリプレイスを行う際は、現在構成されているサーバの環境を踏まえて、新しいサーバに必要な要件とスケジュールを定める必要があります。


①要件を定義する

現在のサーバと構成されている環境を可視化したうえで、リプレイスの対象と新しいサーバに必要な要件を定義します。

サーバの要件を定義する際は、情報システム部門や管理部門の視点だけで決めずに、現場の従業員にヒアリングをして課題・ニーズを把握することが重要です。


▼要件を定義する項目

  • 拡張性(CPU、メモリ、ストレージの増設最大要件)
  • 利用するOS、アプリケーション
  • 新しいサーバに必要な容量やデータ保全性(RAID構成の検討)
  • バックアップ要件 など


②予算を設定する

定義した要件を踏まえて、サーバのリプレイスに必要な予算を算出します。

予算を算出する際は、サーバ単体の機器だけでなく、環境構築や運用・保守などにかかるトータルコストを見積もっておく必要があります。


▼サーバのリプレイスにかかるコストの例

  • ハードウェアの導入コスト
  • ソフトウェアの導入コスト
  • OSにおけるライセンスの利用コスト
  • 構築作業コスト
  • データ移行コスト
  • リプレイス後の運用・保守にかかるコスト など


③スケジュールを確定させる

サーバの要件と予算を設定したあとは、スケジュールを確定させます。

サーバの切り替えには、多くの時間を要します。業務に支障が出ないようにするには、新しいサーバを導入する日付のほか、サーバの切り替えに関する細かなスケジュールを立てておくことが重要です。


▼策定しておくスケジュール

  • 新サーバの導入日
  • 新旧サーバを並行して運用する期間
  • 旧サーバから新サーバへ完全に切り替える日
  • 旧サーバの撤去日 など


④新しいサーバを構築する

定義したサーバの要件と策定したスケジュールに沿ってシステム設計を行い、新しいサーバを構築します。

新しいサーバを構築する際に、ホスト名やIPアドレスについて旧サーバの設定を引き継ぐことで、接続する端末側での再設定が不要になります。ただし、システムによっては引き継ぎができない場合もあるため、事前に確認・検証が必要です。


▼サーバの構築に必要な作業

  • OSのインストール・設定
  • ミドルウェアのインストール・設定
  • ハードウェアのラッキング・設置
  • セキュリティの設定 など


⑤テストと検証を行い新サーバへと移行する

新しいサーバを構築できたら、テスト稼働と検証を実施して段階的に旧サーバからの移行を進めます。

サーバの運用は業務の稼働と密接に関わるため、不具合が発生すると業務を停止せざるを得なくなるリスクがあります。新サーバへ移行を進める前に、確実に動作することを確認しておくことが重要です。


▼段階的に新サーバへ移行する手順

  1. 新サーバが問題なく稼働するかテストと検証を行う
  2. 旧サーバからデータを移行する
  3. 新旧サーバを並行運用して、問題がないか最終確認を行う
  4. 新サーバのみに運用を切り替える




サーバのリプレイスを行うときの注意点

サーバのリプレイスを行うときは、データのバックアップを取ったうえで、サーバの停止時間を最小限に抑えることが重要です。


データのバックアップを取る

サーバリプレイスの際は、データの保護が必要となります。

事前にバックアップを取っておくことで、移行作業中に予期せぬトラブルが発生した場合でも、重要なデータの消失を防げます。


▼バックアップを確実に取るためのポイント

  • データが正しく保存されているか、リストア試験を実施しておく
  • バックアップの保管場所は、本番環境とは物理的に異なる場所を選ぶ
  • バックアップからの復旧手順を文書化し、関係者で共有しておく


業務中のサーバ停止時間を最小限に抑える

リプレイスに伴うサーバの停止は、業務に大きな影響を与える可能性があります。

移行手順や作業の時間帯を工夫して、業務中におけるサーバの停止時間を可能な限り短くすることが重要です。


▼業務中のサーバ停止時間を抑えるためのポイント

  • 事前に十分なテストを行い、移行手順を最適化する
  • 深夜や休日など、業務への影響が少ない時間帯を選んで実施する
  • 並行運用期間を設け、段階的に切り替えを行う



サーバを持たずにクラウドへ移行する方法もある

新たなオンプレミスサーバにリプレイスする代わりに、クラウドへ移行する方法もあります。クラウド環境のサーバへ移行すると、サーバの運用管理を自社で行う必要がなくなるため、情報システム部門や管理部門における業務負担の軽減につなげられます。


▼オンプレミスサーバとクラウドサーバの比較


メリット
デメリット
オンプレミスサーバ
  • カスタマイズ性が高い
  • 社内のネットワーク環境で構築・運用するため、セキュリティの安全性が高い
  • 既存システムと連携しやすい
  • 自社でハードウェアの保守管理や障害対応をする必要がある
  • 初期コストが高額になりやすく、定期的なリプレイスにもコストがかかる
  • リプレイスでの新サーバへの移行に時間がかかりやすい
クラウドサーバ
  • 初期コストがかからないケースがある
  • 自社の状況に合わせてリソースを増減することでコストを調整できる
  • 保守管理や障害対応をベンダー側で対応してもらえる
  • オンプレミスサーバへのリプレイスよりも、短期間で移行しやすい
  • 既存システムとの連携ができない場合がある
  • 独自のカスタマイズはできず、クラウド提供事業者のサービス範囲に限られる
  • 利用期間中はランニングコストがかかる
  • ソフトウェアライセンスでクラウド搭載が認められていない場合がある


サーバの保守運用に充てるリソースの状況や予算、業務の遂行のために必要とされる環境などを踏まえて、自社の要件を満たす方法で移行することがポイントです。


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まとめ

この記事では、サーバのリプレイスについて以下の内容を解説しました。


  • サーバのリプレイスを行う必要性
  • サーバのリプレイスを行うタイミング
  • 老朽化したサーバをリプレイスする方法
  • サーバのリプレイスを行うときの注意点
  • オンプレミスサーバとクラウドサーバの比較


サーバを構築してから月日がたつと老朽化が進み、処理性能の低下や故障、脆弱性の発生などのさまざまな問題につながる可能性があります。

老朽化による問題を防ぐには、サーバのリプレイスが必要です。オンプレミスサーバへリプレイスする際は、要件の定義や予算の設定、スケジュールの策定を行ったうえで、新しいサーバへと段階を踏んで移行します。この際、データのバックアップを確実に取ったうえで、業務への影響を抑えて作業を行うことが求められます。

また、オンプレミスサーバを持たずにクラウドサーバに移行する方法もあります。

クラウドサーバへ移行すれば、サーバの運用管理にかかる負担の削減や初期コストの削減、移行期間の短縮などにつながります。保守運用にかかるリソースや要件を踏まえて、移行方法を選択することが重要です。

FGLテクノソリューションズ』の社内システム運用管理サービスでは、貴社の業務内容と課題に応じて、サーバの要件定義や設計などのITインフラの構築をサポートしています。オンプレミスサーバへのリプレイスのほか、クラウドサーバへの移行についても対応しています。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

山根 佐利
山根 佐利
1998年に入社し、インフラエンジニアとしてシステム導入から運用を担当しました。 2000年には社内情シス業務のアウトソーシングサービスを立ち上げ、現在はマーケティング兼プリセールスを担当し、サービス事業部と共に自社の社内情シス担当も兼務してノウハウを習得しています。

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