
サーバの運用管理における業務課題と効率化を図る方法
※2025年9月3日更新
業務に使用するシステムやアプリケーションを安定かつ継続的に稼働させるには、社内インフラの一部となるサーバの運用管理が欠かせません。
サーバの運用管理には、日常的にさまざまな業務が発生するほか、障害が発生した際には迅速な調査と復旧作業を実施する必要があります。
企業の情報システム部門(以下、情シス)や管理部門の担当者のなかには、「サーバの運用管理を行う負担が大きく、ほかの業務に支障が出ている」「何か効率化できる方法はないのか探している」という方もいるのではないでしょうか。
この記事では、サーバの運用管理について、概要や重要性、業務領域、必要な知識・スキル、業務課題、効率化の方法を解説します。
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サーバの運用管理とは
サーバの運用管理とは、社内に構築されたサーバを正常に稼働させるために行う監視や保守、メンテナンスなどの業務全般のことです。
社内で利用するサーバにはさまざまな種類があり、それぞれについて運用管理が求められます。
▼管理するサーバの種類
- Webサーバ
- メールサーバ
- DNSサーバ
- データベースサーバ
- ファイルサーバ
- アプリケーションサーバ
- ユーザ認証サーバ(ADサーバ、RADIUSサーバ など)
サーバの運用管理を行う重要性
サーバの運用管理は、業務に利用するITシステムの可用性を確保して、安全で安定した稼働を実現するために重要な業務です。
▼サーバの運用管理による効果
- ITシステムが安定して稼働できるようになる
- 情報セキュリティを向上させられる
サーバに不具合が生じると、システムトラブルの原因となる可能性があります。サーバの運用管理を行うことでシステムトラブルを未然に防止できるようになり、ビジネスにおける信頼性や業務効率の向上にもつながります。
サーバの運用管理で対応する業務の領域
サーバの運用管理は、主に運用監視・サービス管理・ネットワーク管理・利用者管理・保守といった5つの業務領域に分類されます。
運用監視
運用監視では、サーバの稼働状況を監視し、異常が発生した際には速やかな検知と対応を行います。
加えて、システムに負荷がかかる状況でも安定して稼働できるように、負荷の分散やリソースの確保なども実施する必要があります。
サービス管理
サービス管理は、サーバ上で動作するシステムやデータベース、プログラムなどが正常に稼働しているかを確認する業務です。
サービス管理においては、ユーザーが不具合なく利用できる状態になっているかを、サーバの内側と外側の双方から監視することが求められます。
また、不具合やエラーが生じている場合は、修正と機能の改善も行います。
ネットワーク管理
ネットワーク管理においては、通信回線やネットワーク機器の稼働状況を監視して、サーバへのアクセスが正常にできているかを確認します。通信遅延や接続障害の予兆があれば、検知して対処することも欠かせません。
また、サイバー攻撃や不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策の実施も、ネットワーク管理に含まれます。
利用者管理
利用者管理とは、従業員の入退社に伴う各種アカウントの作成・削除・変更とアクセス権限の管理を行う業務です。
従業員の退社に伴うアカウントの削除や部署の変更によるアクセス権限の更新などが適切に行われていない場合、情報セキュリティ上のリスクにつながります。
アカウントを最新の状態に保って担当業務に合わせたアクセス権限を設定することで、不正アクセスや情報漏えいの防止が期待できます。
保守
保守業務においては、サーバやネットワーク、システムなどの障害を防ぐための日常的なメンテナンスを実施します。
OSやプログラムのアップデート、データのバックアップを行うほか、使用しているハードウェア・ソフトウェアの虚弱性情報を迅速に把握することも欠かせません。公開されている虚弱性を知らずに放置してしまうと、サイバー攻撃の被害を受けやすくなるリスクが生じます。
サーバの運用管理に必要な知識・スキル
サーバの運用管理においては、ITの知識を始めとするさまざまな知識・スキルが求められます。
▼サーバの運用管理に必要な知識・スキル
- OS・システムに関する知識
- ネットワークに関する知識
- 情報セキュリティに関する知識
- 障害対応スキル
- コミュニケーションスキル など
サーバの運用管理を的確に行うには、OS・システムやネットワーク、情報セキュリティなど、ITに関する多様な分野の知識が欠かせません。
加えて、障害の発生時においては、原因の特定と復旧を迅速に行えるスキルや、社内の各部署と円滑に連携を行うためのコミュニケーションスキルなども必要です。
サーバの運用管理に関する業務課題
サーバの運用管理は、事業活動を継続するために欠かせない業務です。しかし、情シスまたは管理部門においては、次のような課題が生じやすくなります。
▼課題
- 人手が不足しており、業務の負担が大きい
- 人の手による作業でミスが発生している
- 専門的な知識や技術が十分でない
サーバの運用管理を一人や少人数、あるいはほかの業務との兼任で対応している場合には、業務の負担が増加しやすくなります。日頃のメンテナンスや監視などの業務で手一杯になると、障害が発生した際に迅速に対応できなくなる可能性も考えられます。
また、目視での点検・監視や人の手による設定を行っている場合には、業務効率の低下を招くだけでなく、不具合の兆候を見逃したり、操作ミスが発生したりして障害につながることがあります。
さらに、サーバの運用管理に必要な専門的な知識・技術が十分でない場合には、自社での障害復旧や原因解明による再発防止策の実施、高度なセキュリティ対策などを行えないことも考えられます。
このような業務課題を解決するには、サーバの運用管理に関する対応方法・体制を見直したり、外部のリソースを活用したりして効率化を図ることが重要です。
なお、情シスが抱える課題と対応策についてはこちらの記事をご確認ください。
サーバの運用管理を効率化する方法
サーバの運用管理を効率化させるには、クラウドサーバやツールを導入したり、業務委託を活用したりする方法が有効です。
①クラウドサーバを導入する
クラウドサーバを導入して、サーバの運用管理にかかる労力とリソースを削減する方法があります。
クラウドサーバとは、インターネット上に構築された仮想サーバのことです。社内に構築した物理的なサーバをクラウドサーバへ移行することで、インターネットを経由してシステムやアプリケーションを利用できる仕組みとなっています。
クラウドサーバの運用や保守管理はクラウド事業者が行うため、情シス・管理部門への業務負担を削減することが可能です。
ただし、クラウドサービスによって利用者側の責任が生じることもあります。利用前には、責任の範囲について確認しておくことが重要です。
▼オンプレミスとクラウドサービスの一般的な責任範囲
②監視ツールを活用する
社内にあるサーバやシステム、ネットワークなどを効率的に監視するには、監視ツールの活用が有効です。
サーバの監視を有人で行う場合には、定期的に稼働状況を確認して記録・報告を行う必要があり、時間と労力がかかります。
監視ツールを導入すれば、24時間365日の監視をはじめ、不具合や障害の検知、管理者への通知などを自動で行えるようになります。これにより、人手不足による監視業務の負担が削減されて、コア業務に時間を充てられるようになります。
監視ツールのなかには、サーバ監視のみを対象とした製品のほか、ネットワークやシステム、アプリケーションなどを一元的に監視できる統合型の製品もあります。
▼一般的な監視ツールの機能
監視対象 | 機能 |
死活監視 | Ping(※)を利用してネットワーク機器やソフトウェアの稼働状況を監視する |
トラフィック監視 | ネットワーク回線上で送受信されるデータ量を監視して、障害やセキュリティ上の問題を発見する |
ログ監視・管理 | サーバやネットワーク機器、システムの動作履歴を収集・管理して、不審な挙動がないかを監視する |
パフォーマンス監視 | CPU・メモリ・ディスク空き容量などの使用状況を監視して、パフォーマンスの低下やシステム停止のリスクを判断する |
なお、システム監視についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
※ネットワーク回線の応答速度のこと
③ITアウトソーシング(業務代行)を活用する
人手不足や知識・ノウハウ面の問題によって、社内でのサーバの運用管理が難しい場合には、ITアウトソーシング(業務代行)を活用することも有効です。
監視やメンテナンス、障害復旧作業などの業務を外部の専門事業者に委託することによって、情シス・管理部門の業務負担が削減されるほか、専門的なサポートが受けられるようになります。
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ITアウトソーシングの方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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まとめ
この記事では、サーバの運用管理について以下の内容を解説しました。
サーバの運用管理に関する概要
サーバの運用管理を行う重要性
サーバの運用管理で対応する業務の領域
サーバの運用管理に必要な知識・スキル
サーバの運用管理に関する業務課題
サーバの運用管理を効率化する方法
社内に構築されたサーバを正常に稼働させるには、監視や保守、メンテナンスなどを継続的に実施する必要があります。一方で、サーバの運用管理には、ITに関する広範な知識やトラブル対応のスキルが必要です。そのため、情シス・管理部門の人手が不足していたり、手動で監視・管理したりしている現場では、十分な運用管理が行えない可能性があります。
サーバの運用管理にかかる業務負担を削減して、迅速な復旧対応や高度なセキュリティ対策などを行うには、運用管理の方法・体制を見直す、また外部リソースの活用を検討することが重要です。
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