情シス部門が抱える3つの課題。企業に求められる対応策とは
企業の情報システム(以下、情シス)部門では、社内システムの構築・保守運用やIT機器の管理、セキュリティ対策など幅広い業務を担当します。IT活用による業務のデジタル化が推進されている現在では、情シス部門が企業活動を支える欠かせない存在となっています。
そうしたなか、少子高齢化による慢性的な人手不足や社内システムの複雑化、働き方の多様化など、情シス部門を取り巻く環境は変化しています。それに伴い新たな課題に直面している企業もあるのではないでしょうか。
この記事では、情シス部門が抱える課題をはじめ、企業に求められる対応策について解説します。
目次[非表示]
- 1.情シス部門が抱える3つの課題
- 1.1.①IT人材の不足
- 1.2.②働き方の変化への対応
- 1.3.③既存システムのレガシー化
- 2.情シス部門における課題への対応策
- 2.1.①IT人材の育成
- 2.2.②業務の効率化
- 2.3.③既存システムの可視化
- 3.ITアウトソーシングを活用すれば業務効率化しやすい
- 4.まとめ
情シス部門が抱える3つの課題
情シス部門が抱える課題には、次の3つが挙げられます。
①IT人材の不足
1つ目は、情シス部門の担い手となるIT人材が不足していることです。
総務省が公表している『令和3年版 情報通信白書』によると、国内企業の約9割がIT人材の不足感があると回答していることが分かっています。先進技術を用いたDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)人材や既存システムの改善・運用人材まで、質と量の両面でIT人材が不足している状況です。
また、「専門性の高い人材がいない」「採用コストが限られている」などの理由から、1~3人程度の少人数で情シス部門を運用しているケースも見られます。これを“ひとり情シス”“ソロ情シス”と呼びます。
情シス部門の担い手が不足することで、1人の担当者にかかる業務負担が増加します。ほかにも、セキュリティ対策が脆弱になったり、トラブル対応が遅れたりして、安定したシステム稼働ができなくなる可能性があります。
なお、ひとり情シスの背景や課題については、こちらの記事で解説しています。
出典:内閣官房『デジタル人材の育成・確保に向けて』/厚生労働省『ITの力で活力ある地域社会の実現に向けて』/総務省『令和3年版 情報通信白書』
②働き方の変化への対応
2つ目は、働き方の変化への対応が求められていることです。
近年の働き方改革や新型コロナウイルス感染症の拡大などを起因として、リモートワークの実施率が急速に上昇しました。それに伴い、情シス部門が対応する業務範囲が広がっています。
▼企業のテレワーク実施率
画像引用元:総務省『令和3年版 情報通信白書』
情シス部門では、業務フローの変化や企業間取引の電子化、ペーパーレス化などに対応するために、ネットワーク環境の整備・情報セキュリティ対策を行うことが必要です。
また、IT戦略の策定やシステム企画の立案などの情シス業務を行うには、専門性の高い知識・スキルが求められるため、社内でのIT人材育成・確保が難しいといったことも課題です。
出典:総務省『令和3年版 情報通信白書』/厚生労働省『テレワークを巡る現状について』
③既存システムのレガシー化
3つ目は、既存システムのレガシー化です。
社内システムが部門ごとに構築されたり、過剰なカスタマイズがされたりすることで、システムの複雑化・ブラックボックス化が進んでいるケースがあります。
▼レガシーシステムを抱える企業の割合
画像引用元:経済産業省『DXレポート』
レガシーシステムがある場合、システムの維持管理費用が高額化するほか、保守運用のためのリソースを割く必要があり、IT人材の浪費につながります。
また、保守運用に対応できる担い手が不足することによって、セキュリティリスクが高まったり、システムトラブル・データ損失などにつながったりするリスクもあります。
このような既存システムの問題は、DX推進の障壁となります。実現できない場合には2025年以降に最大12兆円/年の経済損失が発生する可能性が指摘されています。
出典:経済産業省『DXレポート』
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情シス部門における課題への対応策
情シス部門が抱える課題を解決するには、IT人材の育成や業務の効率化、システムの見直しを図ることが重要です。
①IT人材の育成
ほかの部門に在籍している従業員を育成して、IT人材として活躍できるようにする方法があります。
IT人材が不足している現在、新たに人材を確保するのは困難な状況です。社内の人材を育成して、ITに関する知識・スキルを向上させることで、情シス部門の人手不足の解消につなげられます。
▼IT人材の育成方法の例
- 外部のIT研修に参加する
- 研修プログラムを作成する
- 講座認定制度の導入 など
②業務の効率化
情シス部門の人手不足やシステムのデジタル化による業務負担の増加に対応するには、業務の効率化を図ることが重要です。
業務内容・フローを可視化して、担当者の負担が大きい業務や、自動化できる業務がないかを整理することがポイントです。情シス業務を効率化する方法には、以下が挙げられます。
▼情シス業務を効率化する方法の例
- RPAツールを導入して、定型業務(障害検知、データ分析、システム設定など)を自動化する
- 社内マニュアル・FAQを整備して、ヘルプデスク対応を削減する
- クラウドサービスを活用して、サーバーの保守運用業務を削減する
情シス業務の効率化については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
③既存システムの可視化
レガシーシステムの課題を解消するには、既存システムを可視化することも有効です。
複雑化・ブラックボックス化したレガシーシステムの刷新は、取り組みが長期化するほか、大きなコストがかかるため、実施にリスクが伴います。既存システムの現状を可視化して、問題点を把握することが欠かせません。
可視化する際は、既存システムと業務の関連性を洗い出して、技術的負債(※1)を確認します。問題点を把握したあとは、優先順位を決めて段階的にシステムの刷新・改善を行うことがポイントです。
▼既存システムの刷新・改善方法の例
- 不要なシステムを廃棄する
- マイクロサービス(※2)を活用して、技術的負債の度合いが高いものからシステムの入れ替えを行う
- デジタル技術を取り入れて業務フローを見直す
※1・・・技術的負債とは、短期的な観点でシステムを開発した結果、長期的に保守費や運用費が高騰している状態のこと。
※2・・・マイクロサービスとは、複数の独立した小さなサービスを組み合わせて、1つのアプリケーションを構築する手法のこと。
ITアウトソーシングを活用すれば業務効率化しやすい
情シスが抱える業務の一部をITアウトソーシングすることも、課題を解決する方法の一つです。専門知識・スキルを持つ外部の事業者に業務を委託することで、量・質の両面でIT人材を補填できるようになり、人手不足の解消につながります。
また、情シス運用のための社内リソースを削減できるため、コア業務に注力したり、ほかの業務に人員を充てたりすることが可能です。自社でIT人材を育成するコストや期間を抑えられることも、ITアウトソーシングの強みといえます。
委託できる業務は事業者によって異なりますが、主に以下が挙げられます。
▼ITアウトソーシングできる情シス業務
- ITインフラの管理・保守運用
- サーバー・ネットワークの監視・障害対応
- 社内のヘルプデスク
- キッティング(※) など
※キッティングとは、パソコンやスマートフォンの導入時に必要なセットアップ作業のこと。
情シス業務のITアウトソーシングについては、こちらの記事をご確認ください。
まとめ
この記事では、情シス部門の課題について以下の内容を解説しました。
- 情シス部門が抱える課題
- 課題への対応策
- 情シス業務のITアウトソーシング化
情シス部門では、IT人材の不足や、テレワークをはじめとする働き方の変化への対応、既存システムのレガシー化などの課題を抱えているケースがあります。
人手不足やテレワーク導入に伴う業務負担の増加に対応するには、IT人材の育成と業務効率化が求められます。また、レガシーシステムの刷新・改善を図る際は、既存システムの見える化を行い、現状の問題点を把握することが重要です。
自社でのIT人材育成や効率化に向けた取り組みが難しい場合には、ITアウトソーシングを利用することも一つの方法です。専門性の高いIT人材に業務を委託することで、自社の情シス担当者の業務負担を軽減して効率化を図れます。
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