情シス業務の効率化に向けた5つの方法を解説
近年、DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革などの取り組みが活発になり、デジタル化が加速するなか、企業の情報システム(以下、情シス)部門が対応する業務領域は広がりつつあります。
しかし、予算や人材に限りがある企業では、「専門知識を有するIT人材を十分に確保できていない」「特定の担当者に情シス業務を任せている」という現場もあるのではないでしょうか。
このようなIT人材の不足に対応して、社内システム・ITインフラの安定稼働を図るには、情シス業務を効率化して生産性を向上させることが重要です。
この記事では、情シス部門における業務課題を踏まえつつ、業務の効率化を図る具体的な方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.情シス部門の業務課題
- 1.1.①情シス部門を少人数・兼任で運用している
- 1.2.②ノンコア業務の負担が大きい
- 1.3.③対応が属人化している
- 2.情シス業務を効率化する5つの方法
- 2.1.①RPAツールを導入する
- 2.2.②クラウドサービスを導入する
- 2.3.③社内マニュアル・FAQを整備する
- 2.4.④チャットボットを導入する
- 2.5.⑤業務の一部をITアウトソーシング(業務代行)する
- 3.まとめ
情シス部門の業務課題
情シス部門は、企業の安定した事業活動を支える役割を担います。しかし、IT人材の不足や業務範囲の広さなどによって、さまざまな業務課題が生じやすくなっています。主な業務課題には、以下の3つが挙げられます。
①情シス部門を少人数・兼任で運用している
情シス部門の業務課題として、1~3人ほどの少人数、または兼任で運用していることが挙げられます。企業の情シス部門では、社内システムの構築・保守・運用をはじめ、IT資産管理、ヘルプデスク対応など業務範囲が多岐にわたります。
しかし、総務省の『令和3年版 情報通信白書』によると、国内企業ではIT人材を十分に育成・確保できていないケースも多く、約9割の企業でIT人材が不足しているとの報告もあります。
IT人材が不足している現場では、業務負担が増加することで、ほかの業務に手が回らなくなり、システムの安定稼働にも影響を与える可能性があります。
このように少人数で情シス業務を担うことを“ひとり情シス”と呼びます。ひとり情シスの発生する背景や課題を理解して、何らかの対策を講じることが必要です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
出典:総務省『令和3年版 情報通信白書』
②ノンコア業務の負担が大きい
ノンコア業務の負担が大きいことも情シス部門の業務課題の一つです。
情シス部門では、社内からシステムやITインフラに関する幅広い問い合わせが寄せられます。こうしたヘルプデスクとしての対応に追われて、IT戦略立案や事業計画の策定などのコア業務に注力できないことがあります。
専門的な知識・技術を必要としない基本的な問い合わせについては、各部門で自己解決できる仕組みづくりが求められます。
③対応が属人化している
1~3人といった少ない担当者で情シス業務を行っている場合、限られたIT人材でしか運用できなくなり、属人化しやすくなることも課題です。
対応が属人化している現場では、情シス業務に知識・技術を持つ担当者が不在になると、急なトラブルに対応できなくなるリスクがあります。
IT人材を新たに確保する方法も考えられますが、人手不足が深刻化する現在では容易とはいえません。
情シス業務の属人化が起こるリスクや原因については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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情シス業務を効率化する5つの方法
情シス業務の課題を解決するには、業務をデジタル化・自動化したり、コア業務に注力できる体制を構築したりして効率化を図ることが重要です。
情シス業務を効率化する方法には、次の5つが挙げられます。
①RPAツールを導入する
RPA(Robotic Process Automation)ツールは、定型業務を自動化するツールです。
RPAツールの導入で、システム・IT設備の障害検知やデータ分析、システム設定などの定型業務を自動化できるようになります。
情シス担当者が行う業務と、ツールで自動化する業務を切り分けることで、業務負担が軽減されて効率化につながります。
②クラウドサービスを導入する
サーバーやシステムに関する管理・保守運用の業務負担を軽減するために、クラウドサービスを導入することも有効です。
クラウドサービスは、ベンダー側でサーバー・システムの保守運用を行うため、監視や障害対応、セキュリティ対策、バージョンアップなどの対応に必要な情シス部門の工数削減が期待できます。
③社内マニュアル・FAQを整備する
情シス業務を効率化する方法に、以下のような社内マニュアルやFAQ(Frequently Asked Question:よくある質問)の整備が挙げられます。
- 基本的なシステム・IT設備の使用方法やエラーの対処方法などをまとめた社内マニュアルを作成する
- トラブル発生時の対応、社内からのよくある質問をまとめる
このような対応で、情シス部門への問い合わせる前に各部門での自己解決を促せます。
情シス部門への問い合わせを減らしてFAQへ誘導、対応工数を削減することで、ヘルプデスク業務の負担を軽減して、コア業務に注力できるようになります。
④チャットボットを導入する
チャットボットを導入することも、情シス業務を効率化する方法の一つです。
チャットボットは、事前に登録した回答やAIによるデータ処理によって、自動でメッセージをやり取りするプログラムのことです。
システムやIT設備に関する質問を入力すると、チャットボットが自動で回答するため、情シスの担当者が一人ひとりの問い合わせに対応する必要がなくなり、業務効率を向上できます。また、チャットボットは24時間365日の対応ができるため、部門によって勤務時間帯が異なる職場にも役立ちます。
⑤業務の一部をITアウトソーシング(業務代行)する
定型業務や負担の大きい業務をITアウトソーシング(業務代行)する方法もあります。
業務の一部をITアウトソーシングすることで、情シス業務に充てる社内のリソースを削減できます。情シス担当者がコア業務に注力できるようになるため、生産性の向上が期待できます。
また、ITに関する専門知識・技術を持つ事業者にアウトソーシングすることで、属人化の解消にもつながります。
▼ITアウトソーシングする業務の例
- システム構築
- 保守運用
- ヘルプデスク
- キッティング(※) など
※キッティングとは、パソコンやスマートフォンの導入時に必要なセットアップ作業のこと。
システムの運用管理にITアウトソーシングを活用した事例については、こちらで紹介しています。併せてご覧ください。
まとめ
この記事では、情シス業務の効率化について以下の内容を解説しました。
- 情シス部門の業務課題
- 情シス業務を効率化する5つの方法
情シス部門の業務は多岐にわたります。リソースが不足している現場では、ひとり・兼任情シスで運用している、ノンコア業務の負荷が大きい、対応が属人化しているといった課題につながりやすくなります。
情シス業務の効率化を図るには、定型業務の自動化・デジタル化を行ったり、各部門での自己解決を促す仕組みを構築したりして、コア業務に注力できるようにすることがポイントです。特に負担が大きい情シス業務については、ITアウトソーシングすることも一つの方法です。
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なお、情シス部門の運用に関する課題については、こちらの記事でも解説しています。併せてご確認ください。