
情シス業務の効率化に向けた方法と効果的な進め方を解説
※2026年3月16日更新
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革などの取り組みが活発になり、デジタル化が加速するなか、企業の情シス部門が対応する業務領域は広がりつつあります。
しかし、予算や人材に限りがある企業では、「専門知識を有するIT人材を十分に確保できていない」「特定の担当者に情シス業務を任せている」という現場もあるのではないでしょうか。
この記事では、情シス部門における業務課題を踏まえつつ、業務の効率化を図る具体的な方法と効果的な進め方について解説します。
目次[非表示]
- 1.情シス部門の業務課題
- 1.1.①情シス部門を少人数・兼任で運用している
- 1.2.②ノンコア業務の負担が大きい
- 1.3.③対応が属人化している
- 2.導入・仕組みで情シス業務を効率化する5つの方法
- 2.1.①RPAツールを導入する
- 2.2.②クラウドサービスを導入する
- 2.3.③社内マニュアル・FAQを整備する
- 2.4.④チャットボットを導入する
- 2.5.⑤業務の一部をITアウトソーシング(業務代行)する
- 3.運用・体制を見直して効率化する5つの方法
- 3.1.①情シス業務を棚卸しし、優先順位を明確にする
- 3.2.②問い合わせ・依頼フローを整理する
- 3.3.③IT資産・アカウント管理を一元化する
- 3.4.④社内ITリテラシーを底上げする
- 3.5.⑤中長期視点で情シス体制を見直す
- 4.情シス業務効率化の効果測定と改善の進め方
- 4.1.効果測定が必要な理由
- 4.2.少人数体制でも測れる主な指標
- 4.3.効果をもとに改善を続ける考え方
- 5.まとめ
情シス部門の業務課題
情シス部門は、企業の安定した事業活動を支える役割を担います。しかし、IT人材の不足や業務範囲の広さなどによって、さまざまな業務課題が生じやすくなっています。
①情シス部門を少人数・兼任で運用している
情シス部門の業務課題として、1~3人ほどの少人数、または兼任で運用していることが挙げられます。企業の情シス部門では、社内システムの構築・保守・運用をはじめ、IT資産管理、ヘルプデスク対応など業務範囲が多岐にわたります。
しかし、総務省の『令和3年版 情報通信白書』によると、国内企業ではIT人材を十分に育成・確保できていないケースも多く、約9割の企業でIT人材が不足しているとの報告もあります。
IT人材が不足している現場では、業務負担が増加することで、ほかの業務に手が回らなくなり、システムの安定稼働にも影響を与える可能性があります。
このように少人数で情シス業務を担うことを“ひとり情シス”と呼びます。ひとり情シスの発生する背景や課題を理解して、何らかの対策を講じることが必要です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
出典:総務省『令和3年版 情報通信白書』『令和7年版 情報通信白書』
②ノンコア業務の負担が大きい
ノンコア業務の負担が大きいことも情シス部門の業務課題の一つです。
情シス部門では、社内からシステムやITインフラに関する幅広い問い合わせが寄せられます。こうしたヘルプデスクとしての対応に追われて、IT戦略立案や事業計画の策定などのコア業務に注力できないことがあります。
専門的な知識・技術を必要としない基本的な問い合わせについては、各部門で自己解決できる仕組みづくりが求められます。
③対応が属人化している
1~3人といった少ない担当者で情シス業務を行っている場合、限られたIT人材でしか運用できなくなり、属人化しやすくなることも課題です。
対応が属人化している現場では、情シス業務に知識・技術を持つ担当者が不在になると、急なトラブルに対応できなくなるリスクがあります。
IT人材を新たに確保する方法も考えられますが、人手不足が深刻化する現在では容易とはいえません。
情シス業務の属人化が起こるリスクや原因については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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導入・仕組みで情シス業務を効率化する5つの方法
情シス業務の課題を解決するには、業務をデジタル化・自動化したり、コア業務に注力できる体制を構築したりして効率化を図ることが重要です。導入・仕組みによって情シス業務を効率化する方法には、次の5つが挙げられます。
①RPAツールを導入する
RPA(Robotic Process Automation)ツールは、定型業務を自動化するツールです。
RPAツールの導入で、システム・IT設備の障害検知やデータ分析、システム設定などの定型業務を自動化できるようになります。
情シス担当者が行う業務と、ツールで自動化する業務を切り分けることで、業務負担が軽減されて効率化につながります。
②クラウドサービスを導入する
サーバーやシステムに関する管理・保守運用の業務負担を軽減するために、クラウドサービスを導入することも有効です。
クラウドサービスは、ベンダー側でサーバー・システムの保守運用を行うため、監視や障害対応、セキュリティ対策、バージョンアップなどの対応に必要な情シス部門の工数削減が期待できます。
③社内マニュアル・FAQを整備する
情シス業務を効率化する方法に、以下のような社内マニュアルやFAQ(Frequently Asked Question:よくある質問)の整備が挙げられます。
- 基本的なシステム・IT設備の使用方法やエラーの対処方法などをまとめた社内マニュアルを作成する
- トラブル発生時の対応、社内からのよくある質問をまとめる
このような対応で、情シス部門への問い合わせる前に各部門での自己解決を促せます。
情シス部門への問い合わせを減らしてFAQへ誘導、対応工数を削減することで、ヘルプデスク業務の負担を軽減して、コア業務に注力できるようになります。
④チャットボットを導入する
チャットボットを導入することも、情シス業務を効率化する方法の一つです。
チャットボットは、事前に登録した回答やAIによるデータ処理によって、自動でメッセージをやり取りするプログラムのことです。
システムやIT設備に関する質問を入力すると、チャットボットが自動で回答するため、情シスの担当者が一人ひとりの問い合わせに対応する必要がなくなり、業務効率を向上できます。また、チャットボットは24時間365日の対応ができるため、部門によって勤務時間帯が異なる職場にも役立ちます。
⑤業務の一部をITアウトソーシング(業務代行)する
定型業務や負担の大きい業務をITアウトソーシング(業務代行)する方法もあります。
業務の一部をITアウトソーシングすることで、情シス業務に充てる社内のリソースを削減できます。情シス担当者がコア業務に注力できるようになるため、生産性の向上が期待できます。
また、ITに関する専門知識・技術を持つ事業者にアウトソーシングすることで、属人化の解消にもつながります。
▼ITアウトソーシングする業務の例
- システム構築
- 保守運用
- ヘルプデスク
- キッティング(※) など
※キッティングとは、パソコンやスマートフォンの導入時に必要なセットアップ作業のこと。
システムの運用管理にITアウトソーシングを活用した事例については、こちらで紹介しています。併せてご覧ください。
運用・体制を見直して効率化する5つの方法
ツール導入だけでなく、日々の業務の進め方や体制を見直すことでも、情シス業務は大きく効率化できます。運用・体制の見直しによって情シス業務を効率化する方法には、次の5つが挙げられます。
①情シス業務を棚卸しし、優先順位を明確にする
まずは、「現在どのような業務を担当しているのか」をすべて書き出し、業務内容を可視化することから始めます。
業務を洗い出したら、それぞれのタスクを「重要度」と「緊急度」の2つの観点で整理します。これにより、「本来は優先度が低い業務」や「必要以上に時間をかけている業務」が明確になります。こうした優先順位の見直しが、業務効率化と時間創出の第一歩となります。
②問い合わせ・依頼フローを整理する
「廊下ですれ違いざまに依頼される」「電話、メール、チャット、口頭など複数の手段で依頼が来る」という状態は、業務の抜け漏れや対応遅れの原因となり、情シス担当者の負担が増大します。
このような課題を防ぐためには、チャット管理システムや専用フォームなどを導入し、問い合わせ窓口を一本化することが有効です。「原則として指定の窓口からの依頼のみ対応する」というルールを徹底しましょう。
これにより、業務の見通しが立ちやすくなり、突発的な対応に振り回されにくい、安定した運用体制を構築できます。
③IT資産・アカウント管理を一元化する
PC、ソフトウェアライセンス、クラウドサービスなどのアカウントが、Excelや個別の台帳などでバラバラに管理されていると、業務が煩雑になりやすくなります。
IT資産管理ツール(ITAM)やID管理サービス(IdP)などを導入して情報を一元化することで、入退社時のアカウント発行・削除や棚卸し作業を効率化できます。
さらに、管理情報が集約されることで、未管理のIT資産やアカウントの発生を防ぎ、「シャドーIT」などのリスク低減にもつながります。結果として、業務効率とセキュリティの両面を同時に改善することが可能になります。
④社内ITリテラシーを底上げする
「基本的な操作方法が分からない」といった初歩的な問い合わせが多い場合、従業員全体のITリテラシーを向上させる取り組みが有効です。
例えば、セキュリティ研修と併せて、PCの基本的なトラブルシューティングや、社内ツールの使い方を周知することで、利用者自身が問題を解決できるケースが増えます。これにより、情シスへの問い合わせ件数が減少し、担当者はより重要な業務に集中できるようになります。
社内全体のITスキル向上は、業務効率化だけでなく、セキュリティ強化にもつながる重要な施策です。
⑤中長期視点で情シス体制を見直す
短期的な業務効率化だけでなく、1年後、3年後の事業成長を見据えた体制づくりも重要です。
すべての業務を内製で対応することにこだわらず、定型的な運用業務は外部に委託し、IT戦略の企画や改善業務など付加価値の高い業務に集中する「ハイブリッド体制」の構築も有効です。
外部の専門知見を活用することで、効率化だけでなく、より高度なIT活用の実現にもつながります。
情シス業務効率化の効果測定と改善の進め方
業務効率化は、施策を実施して終わりではありません。その効果を確認し、次の改善につなげるサイクルを回すことが重要です。
効果測定が必要な理由
業務効率化の取り組みは、「以前より楽になった」という感覚だけでは、その効果を正確に判断することができません。具体的な数値や変化を把握することで、施策の有効性を客観的に評価することが可能になります。
変化を把握することで取り組みの成果を明確に示すことができ、情シス担当者自身の達成感やモチベーション向上につながります。また、経営層に対してITツール導入や人員増強などの追加投資を提案する際の根拠としても有効です。
少人数体制でも測れる主な指標
大規模な分析ツールを導入しなくても、日常業務の中で確認できるシンプルな指標を用いて効果を測定することが可能です。例えば以下のような項目は効果測定の代表的な指標です。
- 問い合わせ件数:FAQやマニュアル整備後、同様の問い合わせが減ったか
- 作業時間:アカウント発行や端末設定などの定型作業にかかる時間が短縮されたか
- 割り込み対応の回数:突発的な対応が減り、計画的に業務を進められるようになったか
- 残業時間:月間の総労働時間が減少し、業務負担が軽減されたか
これらの指標を継続的に確認することで、効率化施策の成果を客観的に把握できるようになります。複雑なKPIを設定する必要はなく、「測定しやすく、変化を実感しやすい指標」を選ぶことが、継続的な改善のポイントです。
効果をもとに改善を続ける考え方
効果測定の結果は、次の改善につなげることが重要です。数値があまり改善していない場合は、原因を分析し、対策を見直す必要があります。
例えば、マニュアルを作成したにもかかわらず問い合わせが減らない場合は、マニュアルの周知方法や内容が適切でない可能性があります。また、ツールを導入しても効果が出ていない場合は、運用ルールや設定が十分でないケースも考えられます。
このように、結果をもとに改善策を検討し、再度実行することで、効率化の精度を高めることができます。さらに、数値の増減だけでなく、「突発的な対応が減り、精神的な負担が減った」「新しい施策を考える時間ができた」といった質の変化にも目を向けることが大切です。
こうした変化を継続的に確認し、PDCAサイクルを回すことで、情シス業務の効率化を長期的に定着させることができます。
まとめ
この記事では、情シス業務の効率化について以下の内容を解説しました。
- 情シス部門の業務課題
- 導入・仕組みで情シス業務を効率化する5つの方法
- 運用・体制を見直して効率化する5つの方法
- 情シス業務効率化の効果測定と改善の進め方
情シス部門の業務は多岐にわたります。リソースが不足している現場では、ひとり・兼任情シスで運用している、ノンコア業務の負荷が大きい、対応が属人化しているといった課題につながりやすくなります。
情シス業務の効率化を図るには、定型業務の自動化・デジタル化を行ったり、各部門での自己解決を促す仕組みを構築したりして、コア業務に注力できるようにすることがポイントです。特に負担が大きい情シス業務については、ITアウトソーシングすることも一つの方法です。
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なお、情シス部門の運用に関する課題については、こちらの記事でも解説しています。併せてご確認ください。








