情シスが属人化することによるリスクとは? 有効な改善方法を解説
企業の業務基盤となる社内システムの構築・保守運用を担う情報システム(以下、情シス)部門では、ITに関する専門性が求められます。そのため、対応できる人材が限られてしまい、業務が属人化しやすくなります。国内におけるIT人材の不足が情シス部門の増員・採用の難しさに拍車をかけている点も否めません。
ひとりまたは少ない担当者で情シス部門を運用していて属人化している場合、企業の業務全般にも影響を及ぼすリスクがあるため、改善が求められます。
しかし、「属人化のリスクをどのように理解してもらえばいいのか」「改善方法はあるだろうか」など、具体的な課題認識や改善策にお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、情シス運用が属人化することによるリスクやその原因、属人化を改善する方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.情シスの属人化によるリスクとは
- 1.1.①業務効率に関するリスク
- 1.2.②担当者不在時のリスク
- 2.情シス運用が属人化しやすい原因
- 2.1.①業務の専門性が高い
- 2.2.②情シスに対する理解不足
- 3.情シス運用の属人化を改善する方法
- 3.1.①情シス業務を棚卸しする
- 3.2.②自動化ツールを導入する
- 3.3.③ITアウトソーシングを活用する
- 4.まとめ
情シスの属人化によるリスクとは
情シスが属人化すると、システムの保守運用や障害対応などができる担当者が限られてしまい、安定した稼働ができなくなる可能性があります。
属人化によるリスクには、次の2つが挙げられます。
①業務効率に関するリスク
情シス業務の内容や手順、進捗状況を特定の担当者しか把握していない状態では、業務効率の良し悪しを客観的に判断できなくなり、情シス業務の改善を進めにくくなります。
また、情シス担当者が対応する業務範囲が増えて業務負担が大きくなると、必要な業務に手が回らなくなったり、トラブル時の対応が遅れたりするリスクも生じます。これにより、安定したシステム運用ができなくなる可能性があります。
②担当者不在時のリスク
情シス担当者の不在時にシステム障害や不具合が発生すると、迅速な対応が取れずに、業務の停滞や、そのほかの業務への波及といったリスクにつながります。
また、情シス運用が属人化していると、情シス担当者の休職や異動・退職で業務の引き継ぎが困難になることも考えられます。情シス業務は専門性が高く、一定の知識・技術が求められるため、社内での後任担当者もすぐに確保できない可能性もあります。
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情シス運用が属人化しやすい原因
情シス運用における属人化の改善策を検討する前に、属人化の原因について把握しておくことが重要です。主な原因には、次の2つが考えられます。
①業務の専門性が高い
1つ目の原因には、業務の専門性が高いことが挙げられます。
情シス部門では、社内システムの開発・構築や保守運用、セキュリティ対策、ヘルプデスクなどの幅広い業務に対応します。ITに関する専門的な知識・技術を持っていないと携われない業務が多く存在することから、社内で対応できる人材が限られてしまい、属人化が起こりやすくなります。
また、情シス業務に携わる専門人材の育成には時間がかかるため、教育のコストやリソースを割けない企業では、属人化の状態が慢性化するケースがあります。
②情シスに対する理解不足
2つ目の原因には、情シスに対する理解不足があります。
近年情シス部門は、社内システムの構築・保守運用のみならず、IT戦略の立案や実施などを行い、企業の利益拡大や新規顧客の獲得などを目指す“攻めのIT”に対応するという重要な役割も担っています。
しかし、その重要性があまり理解されず、コスト負担として捉えられてしまうことがあります。
これにより、情シス部門に充てる人員や予算を抑えようとひとり情シス・兼任情シスで運用をしていると、属人化を招いてしまいます。
なお、情シス部門における課題については、こちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。
情シス運用の属人化を改善する方法
情シス運用の属人化を解決するには、業務を標準化するための取り組みが必要です。ここからは、情シス運用の属人化を改善する方法を3つ解説します。
①情シス業務を棚卸しする
情シス業務を標準化するために、業務の棚卸しを行う方法があります。
情シス部門で対応している業務を洗い出して、業務フロー全体を可視化することで、属人化している業務を把握できます。業務の棚卸しを行う際は、現場の情シス担当者にヒアリングして以下の情報を洗い出す必要があります。
▼情シス業務の棚卸しに必要な情報
- 業務内容
- 業務にかかる時間(1日当たりの業務量)
- 業務の担当者
- 業務ごとの作業手順・ルール
- 業務の発生頻度
- 業務ごとの必要スキル・難易度
担当者によって作業手順が異なる業務や、担当者が固定されている業務については、マニュアルを作成して業務フローを標準化することがポイントです。
作成したマニュアルは、ナレッジ管理ツールや社内FAQに登録して、情シス担当者・他部署で共有できる体制を整備しておくと、担当者が不在の場合でも情シス運用を継続できます。
②自動化ツールを導入する
情シス業務の一部を自動化するツールを導入して、属人化を改善する方法もあります。定型業務や社内の問い合わせ対応業務を自動化すると、情シス業務が標準化されて、属人化の解消が期待できます。
▼情シス業務を自動化するツールの例
- RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)ツール
- チャットボット など
RPAツールは、定型業務を自動化できるツールです。情シス部門で導入すると、システム設定や障害検知などの業務を自動化できるようになります。業務を標準化できるほか、情シス業務の効率化や人的ミスの削減にもつながります。
チャットボットは、事前に登録した質問・回答やAIによるデータ分析に基づいて、メッセージを自動返信するプログラムです。システムの操作方法やエラーなどが生じた際、チャットボットを活用して自己解決を促せるため、ヘルプデスク業務が属人化してしまうのを防げます。
③ITアウトソーシングを活用する
情シス業務の属人化を解消するために、ITアウトソーシングを利用することも一つの方法です。専門知識やノウハウを持った外部の事業者へ業務を委託することで、ひとり・兼任情シスの運用によって起きていた属人化を解消できます。
また、今まで情シス業務に充てていた人的リソースをほかの業務に充てられるため、生産性の向上にも貢献します。
ITアウトソーシングの利用方法や導入時のポイントについて、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
まとめ
この記事では、情シスの属人化について以下の内容を解説しました。
- 属人化によるリスク
- 情シス運用が属人化しやすい原因
- 情シス運用の属人化を改善する方法
情シス業務には高い専門性が求められるため、IT知識・スキルを持つ人材を十分に配置できず、ひとりまたは数人の担当者で対応しているケースも少なくありません。
限られた担当者で情シスを運用していると、業務が属人化してしまい、業務が煩雑になったり、担当者の不在時に対応できなくなったりするリスクがあります。
情シス運用の属人化を改善するには、業務の棚卸しや定型業務の自動化などを行い、業務を標準化することがポイントです。また、属人化の原因が人材不足の場合には、ITアウトソーシングによって外部のリソースを活用することも有効です。
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