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社内インフラを構築するには? 安全で快適な環境を整備する際のポイント

※2024年10月22日更新

情報通信技術が社会と経済の基盤として不可欠なものになった今、企業が安定して事業を運営するには、全社員にとって快適なシステム運用をはじめ、外部の攻撃や災害などに強い社内インフラを構築することが重要となります。

情報システム部門や管理部門のなかには「社内インフラをどのように構築すればよいか」「環境を整備する際に考えておくポイントはあるか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、社内インフラの基礎知識と構築する方法や手順、安全かつ快適な環境を整備する際のポイントについて解説します。



目次[非表示]

  1. 1.社内インフラとは
  2. 2.社内インフラを構築する方法
    1. 2.1.①導入計画を立てる
    2. 2.2.②社内インフラを設計する
    3. 2.3.③社内インフラを構築する
    4. 2.4.④テストを実施して運用を開始する
  3. 3.安全な快適な社内インフラの環境を整備するポイント
    1. 3.1.①障害への対策を講じる
    2. 3.2.②ネットワーク機器やシステムの使いやすさを確保する
    3. 3.3.③ゼロトラストに基づくセキュリティ対策を講じる
    4. 3.4.④ITアウトソーシング(業務代行)を活用する
  4. 4.まとめ


社内インフラとは

社内インフラとは、業務を遂行するための基盤となるインターネット環境や設備などを指します。インフラは“Infrastructure”の略で、基盤や下部構造などの意味があります。

主に、ITに関するインフラ(以下、ITインフラ)と、それ以外のインフラで構成されています。


▼社内インフラの構成

社内インフラの構成要素
インフラの種類
ITインフラ
サーバ
  • 認証サーバ
  • ファイルサーバ
  • メールサーバ
  • Webサーバ
  • アプリケーションサーバ
ネットワーク
  • 社内LAN(有線・無線)
  • 拠点間ネットワーク
  • 顧客間のネットワーク
ハードウェア
  • サーバ
  • パソコン
  • ルーター
  • ネットワーク関連機器
  • スマートフォン
  • プリンター
ソフトウェア
  • OS
  • アプリケーション
  • データベース
ITインフラ以外
  • 電気・水道
  • 電話
  • FAX


近年では、情報通信技術の急速な進展によってデジタル化が進んでおり、安定した事業運営のためにITインフラが担う役割が大きくなっているといえます。

そのため、社内インフラという言葉についても、ITインフラを指すことが一般的となっています。

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社内インフラを構築する方法

社内インフラを構築する際は、現状のインフラ環境を可視化して課題を洗い出したうえで、必要なネットワーク環境やIT機器などの要件を一つひとつ検証する必要があります。

また、ITを活用して自社の業務フロー・作業方法をどのように変えるかを検討したり、予算を踏まえてシステムやIT機器を選定したりします。


①導入計画を立てる

社内インフラを導入する目的や課題を踏まえて導入計画を立てます。


▼導入計画で検討する項目

  • 業務内容やフローに合わせた必要な環境
  • 構築・運用にかけられるコスト など


社内インフラの導入にはコストがかかり、導入後すぐに変更することは難しいといえます。むやみにITを導入するのではなく、人またはITのどちらで課題を解決するかよく検討しておくことが重要です。


②社内インフラを設計する

導入計画に基づいて、社内インフラの設計を行います。この際、インフラの整備に必要な要素を選定して、求める性能・スペックなどを定める必要があります。


▼社内インフラの設計時に決定する事項

  • ハードウェアに必要な性能・スペック
  • 設定するパラメータ
  • セキュリティ対策の方法
  • 導入に必要なコスト など


社内インフラの設計内容は設計書として文書化しておくことで、構築や運用の工程をスムーズに進められるようになります。


③社内インフラを構築する

設計書の内容に沿って社内インフラの構築を行います。社内インフラの構築においては、以下の作業が必要です。


▼社内インフラの構築時に行う作業

  • ハードウェアの購入・手配
  • ネットワークやサーバの構築
  • ソフトウェアのインストール など


また、データのバックアップ体制についても整備しておくことで、障害発生時の復旧をスムーズに行えるようになります。


④テストを実施して運用を開始する

計画・設計どおりに問題なく稼働するかテストを実施します。社内インフラのテストは、設計書の内容と比較しながら以下の手順で行います。


▼社内インフラにおけるテストの手順

  1. 機器単体でのテストを行う
  2. 複数の機器を接続して通信のテストを行う
  3. システム全体の総合的なテストを行う


テストを行ったうえで不具合があった際には、修正を行う必要があります。



安全な快適な社内インフラの環境を整備するポイント

社内インフラの構築は、ただネットワーク環境やITシステムを導入するだけで完了とはいえません。安全で快適な運用ができるように、災害やセキュリティへの対策、快適性の向上を図ることがポイントです。


①障害への対策を講じる

1つ目のポイントは、障害への対策を講じることです。

災害やシステムの不具合などによって社内インフラに障害が発生すると、業務が停止して労働生産性の損失を招く可能性があります。復旧に時間がかかり事業を継続できなくなると、関係者・顧客とのトラブルに発展するリスクもあります。

社内インフラを構築する際は、障害発生時に事業を継続できるように環境を整備することが重要です。

また、障害の防止や早期発見ができるシステムを導入することも有効です。障害が発生する前に早期の復旧対応を行うことで、システム停止による被害を最小限に抑えられます。


▼障害対策の取り組み例

取り組み例
仕組み
予備サーバの設置
アクセスの集中やサイバー攻撃などによりサーバの障害が発生した際に、予備サーバへ切り替える
クラウドサーバへのバックアップ
オンプレミス環境のデータをクラウドサーバに保管して、データの破損・消失を防ぐ
ネットワーク回線の冗長化
2つのネットワーク回線を引き込み、メイン回線で障害が発生した際に予備回線に切り替える
負荷分散装置(ロードバランサ)の設置
事前に設定したルールに沿って、各サーバへのアクセス負荷を分散する
監視システムの導入
ネットワーク・サーバ・システムの稼働状況をモニタリングして、不具合や故障の予兆を検知する


また、障害が発生した際に迅速な復旧対応を進められるように、社内での対応フローを策定・共有しておくことも欠かせません。


障害対応のフローについては、こちらの記事をご確認ください。

  障害対応のフローはどうする? 併せて知りたい障害の発生リスクを防ぐための3つの対策 業務に使用している社内システムや機器に障害が発生した場合、業務の中断が発生したり、顧客へのサービスを提供できなくなったりして大きな影響が生じるリスクがあります。 障害による影響を最小限に抑えるためには、フローに沿った迅速な原因解明と復旧対応が求められます。また、障害は突発的に発生することもあるため、日頃から対策を講じることも重要です。 ITインフラの運用保守を担う情報システム部門(以下、情シス)や管理部門では、「障害対応の流れを把握して、マニュアル策定や役割分担に役立てたい」「障害のリスクを抑えるために対策をしておきたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。 この記事では、障害が発生したときの対応フローと、障害の発生リスクを抑えるための対策について解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ


②ネットワーク機器やシステムの使いやすさを確保する

2つ目のポイントは、ネットワーク機器やシステムの使いやすさを確保することです。

ネットワーク機器は、処理能力や保守管理のしやすさなどを考慮する必要があります。システムについては、業務の効率化や多様な働き方の実現につなげられる製品を選定することが重要です。

また、既存システムにおける認証やユーザインタフェース、データなどが連携しやすいかどうかを考えることもポイントとなります。


▼ネットワーク機器やシステムの使いやすさを確保する方法

  • 業務に支障がでない処理能力を備えた通信回線やサーバ、パソコンを整備する
  • クラウドツールを導入して、場所や端末を問わずに業務システムを利用できるようにする
  • グループウェアの導入によって、タスクや業務の進捗状況、顧客情報など一元管理して蓄積・共有できるようにする


なお、社内システムが使いにくいといわれる理由と解決策については、こちらの記事で解説しています。

  社内システムが「使いにくい!」といわれる3つの理由と解決策 DX(トランスフォーメーション)や働き方改革が推進されている今、業務の効率化、ペーパーレス化などを目的にあらゆる業種・職種で社内システムが導入されています。 しかし、従業員が使いにくい社内システムを運用している場合には、現場で使用されなくなり形骸化したり、ブラックボックス化したりして有効な活用につながらない可能性があります。 企業の情報システム部門(以下、情シス)や管理部門では、「現行の社内システムに不満の声が上がっており、解決策を模索している」という方もいるのではないでしょうか。この記事では、社内システムが使いにくいといわれる理由と解決策について解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ


③ゼロトラストに基づくセキュリティ対策を講じる

3つ目は、ゼロトラストに基づいたセキュリティ対策を講じることです。

ゼロトラストとは、“社内外のすべてのアクセスを信用しない”というセキュリティ対策の考え方です。

社内インフラの構築によって使用する端末が増えたり、社外から社内のシステムにアクセスしたりする機会が増えると、外部からのサイバー攻撃や不正アクセスなどのリスクが高まります。

このようなリスクを防ぐには、ネットワークやシステム、アプリケーションなどの社内インフラ全体でのセキュリティ対策が必要です。


▼ゼロトラストに基づいたセキュリティ対策の例

  • パソコンにウイルス対策ソフトを導入してウイルスの検知・除去を行う
  • Webフィルタリングを設定して危険なWebサイトへのアクセスを禁止する
  • システムやアプリケーションのアクセスに多要素認証(注釈)を導入する
  • サーバやネットワーク、システムのログを監視して不正アクセスを検知する


なお、社内のセキュリティ対策やシステム監視については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

  社内に必要なセキュリティ対策! リスクを防ぐための取り組みとは 企業にはさまざまなIT機器・システム・ソフトウェアなどのIT資産が存在しており、業務の円滑な遂行や効率化のために欠かせないものとなっています。 また、リモートワークの普及やクラウドサービスの登場によって、オフィスの外から社内ネットワークにアクセスしたり、外部のIT端末を利用したりするケースも増えています。 そのようななか、昨今では企業が有する重要情報の窃取やシステム停止などを招くサイバー攻撃の件数が増加傾向にあり、情報セキュリティ対策の重要性は高まっています。 企業の情報システム部門や管理部門では、社内セキュリティの強化に向けてどのように取り組めばよいのか対応を検討している方もいるのではないでしょうか。 この記事では、社内におけるセキュリティ対策の基礎知識と具体的な取り組みについて解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ
  社内システムの監視で安定稼働を目指す! 監視対象や進め方、注意点とは? 社内業務を円滑に行うためには、システムの障害や不具合を防いで安定して稼働させることが重要です。また、サイバー攻撃や不正アクセスなどのセキュリティリスクに対応するための対策も求められます。 そこで重要となるのが、社内システムを監視できる体制を整えることです。しかし、システムの監視には専門的なスキルが必要になるほか、監視項目は多岐にわたります。 情報システム部門や管理部門では、「自社で監視運用できるリソースを確保するのが難しい」「運用に負担がかかっている」などの課題を持つ方もいるのではないでしょうか。 この記事では、システム監視の重要性を踏まえつつ、システム監視を効率的に運用するための進め方や注意点について解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ


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④ITアウトソーシング(業務代行)を活用する

ITアウトソーシング(業務代行)を活用して、社内インフラの構築を外部に委託する方法もあります。

専門性が高い業務を外部に委託することで、ガバナンスの強化や知識・ノウハウの補填が期待できます。


▼ITアウトソーシングを活用する際のポイント

  • 情報セキュリティーポリシーを策定する
  • ITアウトソーシング事業者と情報共有を行う など


なお、情報システム部門の業務をITアウトソーシングする際のポイントについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  情報システム(情シス)部門の業務をITアウトソーシング(業務代行)する方法と依頼する際のポイント 情報システム部門が対応する業務範囲は日々拡大しており、運用の負担が増加しています。また、中小企業・小規模事業者では、ひとりまたは兼任で情シス部門の業務に対応するケースもあります。今回は、情シス部門の業務をITアウトソーシングする方法や依頼できる業務、メリットなどを解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ



まとめ

この記事では、社内インフラの構築について以下の内容を解説しました。


  • 社内インフラの基礎知識
  • 社内インフラを構築する方法
  • 安全な快適な社内インフラの環境を整備するポイント


社内インフラは、安定かつ円滑に業務を遂行するための基盤となります。構築する際は、現状のインフラ環境の課題を踏まえたうえで、業務内容・フローに応じて必要な要件を設計する必要があります。

また、安全で快適な運用ができるように、障害への対策をはじめ、使いやすさを考慮したシステムの選定、ゼロトラストに基づくセキュリティ対策を行うことがポイントです。

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山根 佐利
山根 佐利
1998年に入社し、インフラエンジニアとしてシステム導入から運用を担当しました。 2000年には社内情シス業務のアウトソーシングサービスを立ち上げ、現在はマーケティング兼プリセールスを担当し、サービス事業部と共に自社の社内情シス担当も兼務してノウハウを習得しています。

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