
ライセンス管理とは? 重要性と効率化のポイント
ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の進展によって、企業の業務にさまざまなソフトウェアが活用されるようになりました。ソフトウェアは、ユーザーと著作権を持つベンダーとの間で、使用許諾に関するライセンス契約を締結して利用することが一般的です。
ソフトウェアの利用にあたっては、ライセンスで許諾された条件や範囲を逸脱して使用することは認められません。また、ライセンス契約の継続中は使用料の支払いが発生するため、使用していないアカウントがある場合にはコストの損失につながる可能性があります。
ライセンス契約の違反やコストの損失を防ぐには、社内で導入しているソフトウェアの情報を管理することが重要です。
情報システム部門や管理部門の担当者のなかには「ソフトウェアが多岐にわたり、ライセンス管理が煩雑になっている」「ソフトウェアに関するコストを最適化したい」などとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ライセンス管理の概要や重要性、効率化を図るポイントについて解説します。
なお、社内システムのID管理についてはこちらの記事で解説しています。
目次[非表示]
- 1.ライセンス管理とは
- 2.ライセンス管理の重要性
- 2.1.ライセンス違反の防止
- 2.2.ライセンスコストの削減
- 3.ライセンス管理の効率化を図るポイント
- 3.1.①管理対象と管理レベルを設定する
- 3.2.②IT資産管理ツールを導入する
- 3.3.③ITアウトソーシングを活用する
- 4.まとめ
ライセンス管理とは
ライセンス管理とは、社内業務に使用しているソフトウェアについて、ライセンス契約に則った適切な利用がなされるように管理することです。IT資産管理のうちの一つの業務に含まれます。管理するライセンスの種類は、主に2つに分けられます。
▼ライセンスの種類
- 永続ライセンス(買い切り型)
- 非永続ライセンス(サブスクリプション型)
サブスクリプション型には、完全月額制のほか、年契約月払いや年契約一括払い、複数年契約によるディスカウトなどの料金形態があります。
ライセンス管理の業務では、ライセンス台帳とライセンス関連部材台帳を作成して、ライセンス契約に関する情報を管理します。
▼ライセンスを管理する台帳の種類
台帳の種類 |
概要 |
主な管理項目 |
ライセンス台帳 |
利用しているソフトウェアを一覧で管理する台帳 |
|
ライセンス関連部材台帳 |
ソフトウェアの付属物を管理する台帳 |
|
なお、IT資産管理についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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ライセンス管理の重要性
ライセンス管理が適切に行われていない場合、ライセンス違反やコストの損失につながる可能性があります。このような問題を防ぐために、契約情報や運用状況を管理しておくことが重要です。
ライセンス違反の防止
ライセンス管理を行うと、ソフトウェアのライセンス契約に違反した運用が社内で行われることを防止できます。
▼ライセンス違反の例
- ライセンスの期限が切れた状態でソフトウェアを使い続ける
- ライセンスに定められた端末数の上限を超えてインストールする
- ライセンスに定められたユーザー数を超えて従業員で使いまわす
ソフトウェアのライセンス契約においては、ベンダー側にソフトウェアの使用状況に関する監査権が認められます。監査の際にライセンス違反が明らかになると、違約金が発生する場合があるため、注意が必要です。
また、クラウド環境でソフトウェアを稼働させた場合にライセンス違反になったり、契約更新を忘れたことで利用を停止されたりするリスクもあります。
ライセンスコストの削減
ライセンス管理によって契約情報を把握しておくと、社内で使用していないライセンスを把握してコストを削減することが可能です。
例えば、社内のある部署で追加購入が求められているライセンスが、ほかの部署では余っているようなケースがあります。社内で契約しているライセンスの種類やインストールしている台数を管理することで、ライセンスを不要に追加購入するコストを削減できます。
また、ソフトウェアによっては機能や価格、提供形態などが異なる複数のライセンスを提供している場合があります。社内にあるソフトウェアの運用状況を把握すると、各部署に必要なライセンスに切り替えてコストの調節を行うことが可能です。
ライセンス管理の効率化を図るポイント
ライセンス管理を行う際には、ライセンスの利用形態や使用状況、使用期限などのさまざまな情報を管理する必要があります。
部署または業務によって異なるソフトウェアが使用されている場合には、台帳の作成や棚卸し、更新作業などに労力がかかりやすくなります。
効率的にライセンス管理を行うには、ライセンス情報の管理体制や管理方法の見直しを検討することが重要です。
①管理対象と管理レベルを設定する
ライセンス管理を行う際には、管理対象と管理レベルを設定する必要があります。
社内にあるソフトウェアの種類が多岐にわたる場合、最初からすべてのライセンスを資産として管理することは難しくなります。監査の有無や価格などを踏まえて、管理対象とするソフトウェアの優先順位を決めることがポイントです。
▼ライセンスの管理対象
- ソフトウェアがインストールされているIT機器
- ソフトウェアを利用している部署
また、ライセンスの管理対象ごとに、棚卸しの頻度や作業工程の粒度などの管理レベルを設定しておくことで、限られたリソースで効率的なライセンス管理を行いやすくなります。
②IT資産管理ツールを導入する
IT資産管理ツールを導入すると、ライセンス管理に必要な情報を一元管理して、台帳の作成や棚卸しなどにかかる時間と労力を削減できるようになります。
紙媒体の台帳で管理していた情報を一元管理できるため、社内の各部署で複数のソフトウェアが使用されている場合にも、管理者が契約情報や使用状況を一つの画面で把握することが可能です。
ただし、ライセンスの詳細な情報については自動で収集できないケースもあり、専門知識を持った管理者が手動で入力・管理する必要があります。
▼IT資産管理ツールで自動収集できない情報の例
- セカンドライセンスの有無
- ダウングレード権 など
③ITアウトソーシングを活用する
社内でライセンス管理を行える専門知識を持った管理者を確保するのが難しい場合には、ITアウトソーシングを活用することも一つの方法です。
ITアウトソーシングを活用することで、以下のメリットが期待できます。
▼ライセンス管理に関するITアウトソーシングのメリット
- 専門知識を持ったプロにライセンス管理を任せられる
- 自社の情報システム部門がコア業務に集中できるようになる
- 新たな人員を採用・教育するコストを抑えられる可能性がある
ITアウトソーシングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、ライセンス管理について以下の内容を解説しました。
- ライセンスの種類と管理方法
- ライセンス管理の重要性
- ライセンス管理の効率化を図るポイント
ソフトウェアのライセンスは、使用許諾に関するライセンス契約に則って使用することが求められます。ライセンス違反やコストの損失、更新忘れによる利用停止などの問題を防ぐには、契約情報・使用状況などを管理することが重要です。
紙媒体の管理台帳やIT資産ツールを用いて管理する方法がありますが、いずれもライセンス管理に関する専門的な知識が必要になります。「自社で管理者を確保するのが難しい」「ライセンス管理の運用負担が大きい」という場合には、ITアウトソーシングの活用が有効です。
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