
ISO認証とは? 取得するメリットと運用する際の3つのポイント
モノ・事柄を一定の規格に則って標準化することは、製品・サービスの品質や性能の維持、安全性の確保のために欠かせません。
社内業務においても自動化やマニュアル化によって標準化を図ることで、属人化を防止できるほか、業務の作業効率、品質の向上につながると期待できます。
モノや社内業務のマネジメントを標準化するための国際的な基準を定めている機関がISOです。ISO認証を受けることで、企業にとってさまざまなメリットが期待できます。
企業の情報システム部門や管理部門の担当者のなかには、「ISO認証とは何なのか」「自社がISO認証を受ける意義はあるのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ISO認証の概要や種類、取得するメリット、運用のポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.ISO認証とは
- 2.ISO規格の種類は大きく2つ
- 2.1.①モノ規格
- 2.2.②マネジメントシステム規格
- 3.ISO認証を取得するメリット
- 3.1.社会的信頼の向上につながる
- 3.2.業務を標準化できる
- 3.3.責任や権限が明確になる
- 4.マネジメントシステム規格のISO認証を取得・運用する際のポイント
- 4.1.①課題を明確にする
- 4.2.②中長期的な視点で運用する
- 4.3.③内部監査を機能させる
- 4.4.④情報共有やコミュニケーションを円滑化する環境を整備する
- 4.5.⑤自社の規模・業務内容に合ったルールを作る
- 5.まとめ
ISO認証とは
ISO認証とは、自社が提供する製品・サービスや組織のマネジメントシステムがISO規格の基準を満たしていることを証明する仕組みです。
ISO規格は、ISO(国際標準化機構)が定めた国際基準の規格を指します。ISOの専門認証機関が審査を行い、規格に適合すると企業に認証書が発行されます。
製品・サービスの仕様や組織のマネジメントシステムを均質化・標準化して、国際取引の円滑化と市場の安定化を図ることを目的にISOが設けられています。
ISO規格の種類は大きく2つ
ISO規格は、モノ規格とマネジメントシステム規格の大きく2つに分けられます。
情報システム部門や管理部門などの社内のITシステム全般を運用管理する部門では、複数のマネジメントシステム規格が関連しています。
①モノ規格
モノ規格は、製品のサイズ・形状・品質・安全性などに関する規格を指します。
製品の形状や寸法を統一して互換性を保ったり、一定の品質を保証して安全性・利便性を高めたりする役割があります。
▼モノ規格の代表例
規格 |
概要 |
ISO7010 |
危険標識・安全標識などの規格 |
ISO68 |
ネジの規格 |
ISO7810 |
カードサイズの規格 |
②マネジメントシステム規格
マネジメントシステム規格は、組織の方針や目標を達成するためのプロセスを管理・運用するための仕組みを指します。
マネジメントシステム規格の認証を受けると、組織の運営体制が特定の国際基準を満たしていることを外部に証明できます。
組織の情報管理体制やセキュリティ管理、品質管理など、マネジメントシステム規格は複数存在しており、規格ごとに基準が異なります。
▼マネジメントシステム規格の例
規格 |
概要 |
ISO27001(ISMS) |
|
ISO9001(QMS) |
|
ISO20000(ITSMS) |
|
また、ISO規格ではありませんが、日本独自の規格に“JIS Q 15001”があります。JIS Q 15001は、個人情報保護の管理に関する規格です。認証された企業にはプライバシーマーク(通称、Pマーク)が付与され、個人情報を適切に管理している企業として外部に示すことが可能です。
なお、ITサービスマネジメントについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
ISO認証を取得するメリット
ISO認証を取得すると、企業の安定かつ生産性の高い事業活動につながったり、成長機会の創出に結びついたりと、よい影響がもたらされます。
社会的信頼の向上につながる
ISO認証を取得すると、国際規格の要件を満たす組織の運営やモノの製造を行っていることが第三者機関から認められるため、社会的信頼の向上につながります。
その結果、国際的な市場も含めたビジネス機会が増加したり、品質の安定化や利便性の向上によって顧客満足度が向上したりすることが期待できます。
業務を標準化できる
マネジメントシステム規格のISO認証を取得するには、規格に則って社内業務を標準化する必要があります。
社内業務の作業方法とフローが標準化されることによって、属人化の解消や業務品質の安定化につながり、生産性の向上にも結びつきます。
責任や権限が明確になる
マネジメントシステム規格のISO認証を取得する際には、業務に対する責任や権限を明確化することが求められます。
社内で業務に対する責任や権限が明確になると、スムーズな作業指示と承認によって業務を進めやすくなるほか、トラブルへの対応も迅速に行えるようになります。
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マネジメントシステム規格のISO認証を取得・運用する際のポイント
ここからは、企業の情報システム部門や管理部門と関連があるマネジメントシステム規格を取得・運用するポイントを解説します。
①課題を明確にする
マネジメントシステムを構築する際には、自社の現状と課題を明確にすることがポイントです。外部環境・内部環境の課題を明確にすることで、マネジメントシステムの構築が必要な部門や範囲を決定できます。
また、ISO認証を一度取得しても、年月がたつと現場の業務に対してマネジメントシステムが合わなくなる可能性があります。運用体制やマニュアルを見直して、現場の実態と新たな課題に合致した内容へと更新を行うことが必要です。
②中長期的な視点で運用する
マネジメントシステムの構築によって業務体制を標準化して、生産性や作業品質の向上を図るには、中長期的な視点で運用する必要があります。
PDCAを回しながら、目標の達成度合いや新たな課題を踏まえたうえで組織体制の見直しを図ることがポイントです。
③内部監査を機能させる
ISO規格では、内部監査を実施してマネジメントシステムの有効性やISO規格の要求事項との適合性を定期的に確認することが求められています。
内部監査員を形式的に配置するのではなく、社内で周知・教育を実施してきちんと機能させることがポイントです。内部監査を機能させることで、社内の情報管理体制や業務フローなどの課題・問題が明らかになり、改善策につなげられます。
▼内部監査で確認するポイント
- 各部署や業務に関する規定・マニュアルに沿って運用されているか
- 非効率な作業や問題が生じやすいフローはないか
- 内部監査の要点が明確になっており、形骸化していないか
④情報共有やコミュニケーションを円滑化する環境を整備する
ISO規格に基づいてマネジメントシステムを運用するには、社内での円滑な情報共有とコミュニケーションが欠かせません。
情報は文書化・データ化して記録が残るように蓄積・管理するとともに、システム・ツールを導入して情報共有やコミュニケーションを円滑にとれる環境を整えることがポイントです。
▼マネジメントシステムの構築に役立つシステム・ツールの例
- 各部門の作業内容やデータを保存・共有する業務システム
- 組織の有する知識や情報を蓄積するナレッジ管理ツール など
⑤自社の規模・業務内容に合ったルールを作る
ISO規格を取得・運用する際は、自社の規模・業務内容に合ったルールを作ることが重要です。
ISO規格を取得して維持することだけにこだわると、業務内容や自社の会社規模にそぐわないルールとなってしまう可能性があります。ISO規格と実態に違いが生じると、規格の審査を通すことを目的にドキュメントを作成するような事態につながりかねません。
ISO規格を維持する目的は、あくまでもISO規格を活用して業務の品質向上やセキュリティ体制の維持を実現することです。本来の目的を念頭に入れたうえで、ルールの作成と運営を進めていくことが大切といえます。
まとめ
この記事では、ISO認証について以下の内容を解説しました。
- ISO認証の概要と種類
- 企業がISO認証を取得するメリット
- マネジメントシステム規格のISO認証を取得・運用する際のポイント
ISO認証を取得すると、国際規格に沿って組織の運営やモノの製造が行われていることを証明できるようになり、社会的信頼の向上につながります。また、ISO規格に沿ってマネジメントシステムを構築することで、業務フローの標準化や責任・権限の明確化が可能になり、より効率的な運営体制を実現できます。
企業の情報システム部門や管理部門が、マネジメントシステム規格のISO認証を取得・運用する際は、課題を明確にして中長期な視点で取り組むことが重要です。また、内部監査を機能させて有効性・課題を確認したり、円滑な情報共有とコミュニケーションが取れる環境を整備したりすることも求められます。
『FGLテクノソリューションズ』の社内システム運用サービスを提供している事業部では、ISO27001、ISO20000の認証を取得しております。ISO規格に準拠してIT基盤の構築・運用のサポートを行っているため、自社で取得しなくてもISO規格水準の運用を実現できます。
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