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グリーンITとは。 地球環境問題に配慮したIT運用管理の方法

※2025年1月27日更新

2020年10月26日、日本は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。カーボンニュートラルとは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡化を図り、全体としてゼロにすることです。

カーボンニュートラルの実現のためには、企業活動においてもCO2の排出量の削減を図ることが求められます。

カーボンニュートラルを達成するために企業が実践できる取り組みとして注目されているのが、“グリーンIT”です。

企業の情報システム部門または管理部門の担当者のなかには「環境にやさしいIT運用管理の方法はあるのか」「グリーンITをどのように実現するのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、グリーンITの概要や地球環境問題に対するITによる取り組みについて解説します。


出典:首相官邸『第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説



目次[非表示]

  1. 1.グリーンITとは
  2. 2.IT自身のグリーン化を推進する方法
    1. 2.1.①設備機器の消費電力を制御する
    2. 2.2.②サーバの統合を行う
    3. 2.3.③クラウドサービスを利用する
    4. 2.4.④省電力なIT機器に取り換える
    5. 2.5.⑤IT機器の3Rに取り組む
  3. 3.ITによるグリーン化を推進する方法
    1. 3.1.①ペーパーレス化を図る
    2. 3.2.②移動の少ない働き方へ見直す
    3. 3.3.③エネルギーをITで管理する
    4. 3.4.④省エネルギー設備を導入する
    5. 3.5.⑤業務のDX化を推進する
  4. 4.グリーンITからサステナブルITへ
  5. 5.まとめ


グリーンITとは

グリーンITとは、地球温暖化を招く要因の一つとなるCO2排出量の削減を目指す“グリーン化”をITの活用によって実現する取り組みのことです。グリーンITには、以下の2つの概念が含まれています。


▼グリーンITが持つ2つの概念

  • IT自身のグリーン化(Green of IT)
  • ITによるグリーン化(Green by IT)


IT自身のグリーン化とは、デジタル機器や情報通信産業の省エネルギー化によってグリーン化につなげることです。

ITによるグリーン化とは、デジタル化を通してエネルギー需要の効率化やCO2排出量の削減を促進することを指します。

これら2つのグリーンITを実践することで、カーボンニュートラルの実現にも寄与すると期待されています。

日本の各自治体では、カーボンニュートラルの実現を目指す“ゼロカーボンシティ宣言”が行われており、 民間企業においても脱炭素化に貢献することが求められています。グリーンITは、そのための取り組みとして有効です。

なお、芙蓉総合リース株式会社では、ゼロカーボンシティの実現のために再生可能エネルギー設備・省エネルギー機器を導入する自治体・企業・団体に向けたファイナンスプログラムを提供しております。

  芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム|商品・サービス|芙蓉総合リース株式会社 芙蓉総合リース株式会社の商品・サービス(芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラムファイナンス・リース)についてご案内いたします。 https://www.fgl.co.jp/service/zerocarbon.html



IT自身のグリーン化を推進する方法

地球環境問題に配慮してIT自身のグリーン化を実現する方法の一つに、社内におけるITインフラの運用管理を効率化することが挙げられます。

ITインフラとは、サーバやネットワーク、ハードウェア、ソフトウェアなどの業務に用いるITの基盤となる設備・機器を指します。省エネルギー化を図れるITインフラの管理方法・体制に見直すことで、CO2排出量の削減を推進できます。


①設備機器の消費電力を制御する

社内で稼働している設備機器の使用状況を洗い出して、時間帯や業務によって使用していない設備機器の電力を制御する方法があります。データセンターや各設備機器などの電力使用量を可視化できるツールを活用することが有効です。


▼設備機器の消費電力を制御する方法

  • 業務に使用しない時間帯は設備機器の電源を切る
  • 老朽化したサーバを最新版にリプレイスする
  • プロセッサやメモリーなどの動作を省電力モードへ変更する など


②サーバの統合を行う

サーバの統合を行い筐体の台数を減らすことで、サーバの消費電力を削減できるだけでなく、サーバの冷却にかかる電力も抑えられます。


▼サーバの統合を行う方法

  • ブレードサーバを導入する
  • サーバを仮想化する など


ブレードサーバは、複数の薄型サーバを一つの筐体に差し込んで使用する形式のサーバです。また、サーバの仮想化とは、1台の物理サーバの内部を複数の仮想化したサーバとして分割して運用する方法を指します。


③クラウドサービスを利用する

サーバの稼働に要する電力を削減するために、自社で物理サーバを持たずにクラウドサービスを利用する方法もあります。

クラウドサービスを利用することで、より電力効率や冷却システムなどが整った環境で運用・管理を行ってもらえるため、省エネルギー化が期待できます。


なお、サーバの運用管理を効率化する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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④省電力なIT機器に取り換える

業務に使用するPCやサーバなどの機器を省電力なものに変更することで、ITのグリーン化につながります。


▼機器を省電力化する方法

  • プロセッサのエネルギー効率が高い機器を導入する
  • 消費電力の低いハードウェアを使用する など


また、仮想化技術の活用によって物理サーバの稼働数を抑えることでも、消費電力の削減が可能です。


⑤IT機器の3Rに取り組む

IT自身のグリーン化においては、IT機器の3Rに取り組むことが重要です。3Rとは、リデュース(Reduce)とリユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の総称です。


▼IT機器における3Rの例

3R

具体例

リデュース

管理やアップデートを適切に行い、機器をより長く使用する

リユース

不要となったITを廃棄せずに事業者に売却する

リサイクル

不要となったIT機器を廃棄せずにメーカーに回収を申し込む


3Rに取り組むことで、ITの利用によって生じる廃棄物を削減でき、廃棄に伴うCO2の排出を抑えられます。




ITによるグリーン化を推進する方法

ITによるグリーン化を推進するには、IT技術を活用して現場の業務フローや作業方法などを見直す必要があります。また、業務に使用するエネルギーをITによってコントロール・削減する方法も有効です。


①ペーパーレス化を図る

ITによるグリーン化を進める方法の一つに、業務フローや情報資産のペーパーレス化が挙げられます。

紙の生産・焼却時にはCO2が排出されるほか、紙の原料として木が消費されることでCO2の吸収量が減少します。社内のペーパーレス化を図ることによって、紙の消費・生産が抑えられてCO2排出量の削減につながります。


▼ペーパーレス化の方法

  • 会議やプレゼンテーションの資料をデータで共有する
  • クラウドサービスを導入して業務に必要な資料を共有する
  • 電子契約システムを導入して契約に伴う書類を削減する


②移動の少ない働き方へ見直す

人の移動を少なくする働き方へと見直すこともグリーンITを推進する方法の一つです。

自家用車や鉄道、バス、タクシーなどを用いて移動する際には、CO2が排出されます。ITを活用して人の移動の少ない働き方を導入することで、CO2排出量の削減に貢献できます。


▼移動の少ない働き方を実現する方法

  • テレワークを導入する
  • オンライン会議を導入する
  • 社用自転車を整備する


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③エネルギーをITで管理する

店舗や施設、オフィスなどで使用するエネルギーをITによって管理してグリーン化を図る方法です。

IoTセンサや計測機器を用いてエネルギーを細かく管理することで、エネルギーを効率的に利用できるようになります。


▼エネルギーをITで管理する方法

  • 建物全体における使用エネルギー量をデータにして可視化する
  • 店舗・施設の空調機をIoTセンサで制御して運転する など


④省エネルギー設備を導入する

ITの発展に伴って、従来よりも高効率で運転可能な省エネルギー設備が開発されています。これらの省エネルギー設備を導入することで、CO2の削減を図れます。


▼省エネルギー設備の例

  • 高性能ボイラー・給湯器
  • 高効率空調
  • LED照明 など


⑤業務のDX化を推進する

業務のDX化を推進することは、ITによるグリーン化にも寄与します。DXとは、ITを利用してビジネスモデルの変革を行い、新たな価値を創出することです。

DXによって自社設備の稼働が効率化すると、それに伴って設備の稼働による消費エネルギーも削減でき、グリーンITにつながります。


▼DX化に伴う消費エネルギー削減の例

  • 生産設備の最適制御によって設備の消費エネルギーを削減する
  • 電子タグで物流のルートを効率化して消費エネルギーを削減する など


なお、DXの進め方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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グリーンITからサステナブルITへ

SDGsに向けた取り組みが世界的に進むなかで、グリーンITに似た言葉としてサステナブルITという言葉も用いられるようになりました。サステナブルとは、持続可能なことを意味する言葉です。

地球環境や社会の変化のなかでITを持続可能にするには、グリーンITによる地球温暖化対策はもちろん、システムの老朽化や保守運用の属人化など、ITならではの問題への対応も併せて求められます。

グリーンITおよびサステナブルITを実現するには、ITインフラの構築や保守運用が欠かせません。社内にリソースが足りない場合には、ITアウトソーシング(業務代行)を活用する方法もあります。

なお、社内システムの課題やITアウトソーシングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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※SDGsは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月に国連で採択された国際的な開発目標です。

出典:環境省『持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs



まとめ

この記事では、グリーンITについて以下の内容を解説しました。


  • グリーンITの概要
  • IT自身のグリーン化を推進する方法
  • ITによるグリーン化を推進する方法
  • サステナブルITについて


地球環境問題が重視されている今、企業がグリーンITに取り組み、CO2排出量の削減を推進することは経営における重要な課題といえます。


グリーンITを推進するには、IT自身のグリーン化とITによるグリーン化という2つの概念があります。サーバや設備機器そのものの省エネルギー化を図るとともに、IT技術を活用してペーパーレス化、働き方の見直し、エネルギーの管理・効率化を行うことがポイントです。

また、ITの持続可能性という観点では、グリーンITと併せてITならではの課題にも取り組むことが求められます。社内でリソースを確保できない場合には、ITアウトソーシングの活用が有効です。

FGLテクノソリューションズ』の社内システム運用管理サービスでは、ITによるグリーン化を推進するために欠かせないITインフラの構築や保守運用、資産管理などをサポートしております。約30年にわたって蓄積した経験とノウハウで、貴社の課題に適した解決策を提案いたします。

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山根 佐利
山根 佐利
1998年に入社し、インフラエンジニアとしてシステム導入から運用を担当しました。 2000年には社内情シス業務のアウトソーシングサービスを立ち上げ、現在はマーケティング兼プリセールスを担当し、サービス事業部と共に自社の社内情シス担当も兼務してノウハウを習得しています。

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