グリーンITとは? 地球環境問題に配慮したIT運用管理の方法
2020年10月26日、日本は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。カーボンニュートラルとは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡化を図り、全体としてゼロにすることです。
カーボンニュートラルの達成を目指して、地球温暖化問題への対策としてCO2排出量の削減を推進する取り組みが“グリーンIT”です。
2015年9月25日に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)で定められた17の目標にもエネルギーや気候変動に関する項目が存在しており、グリーンITの取り組みは世界的にも重要な課題の一つといえます。
企業の情報システム部門または管理部門の担当者のなかには「環境にやさしいIT運用管理の方法はあるのか」「グリーンITをどのように実現するのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、グリーンITの概要や地球環境問題に対するITによる取り組みについて解説します。
出典:首相官邸『第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説』/環境省『持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs』
目次[非表示]
- 1.グリーンITとは
- 2.IT自身のグリーン化を推進する方法
- 2.1.①設備機器の消費電力を制御する
- 2.2.②サーバの統合を行う
- 2.3.③クラウドサービスを利用する
- 3.ITによるグリーン化を推進する方法
- 3.1.①ペーパーレス化を図る
- 3.2.②移動の少ない働き方へ見直す
- 4.まとめ
グリーンITとは
グリーンITとは、地球温暖化を招く要因の一つとなるCO2排出量の削減を目指す“グリーン化”をITの活用によって実現する取り組みのことです。グリーンITには、以下の2つの概念が含まれています。
▼グリーンITが持つ2つの概念
- IT自身のグリーン化(Green of IT)
- ITによるグリーン化(Green by IT)
IT自身のグリーン化とは、デジタル機器や情報通信産業の省エネルギー化によってグリーン化につなげることです。
ITによるグリーン化とは、デジタル化を通してエネルギー需要の効率化やCO2排出量の削減を促進することを指します。
なお、日本の各自治体では、カーボンニュートラルの実現を目指してCO2排出量の削減に取り組むことを表明する“ゼロカーボンシティ宣言”が行われています。民間企業においても国や地域の脱炭素化に貢献するための取り組みが求められます。
芙蓉総合リース株式会社では、ゼロカーボンシティの実現のために再生可能エネルギー設備・省エネルギー機器を導入する自治体に向けたファイナンスプログラムを提供しております。
IT自身のグリーン化を推進する方法
地球環境問題に配慮してIT自身のグリーン化を実現する方法の一つに、社内におけるITインフラの運用管理を効率化することが挙げられます。
ITインフラとは、サーバやネットワーク、ハードウェア、ソフトウェアなどの業務に用いるITの基盤となる設備・機器を指します。省エネルギー化を図れるITインフラの管理方法・体制に見直すことで、CO2排出量の削減を推進できます。
①設備機器の消費電力を制御する
社内で稼働している設備機器の使用状況を洗い出して、時間帯や業務によって使用していない設備機器の電力を制御する方法があります。データセンターや各設備機器などの電力使用量を可視化できるツールを活用することが有効です。
▼設備機器の消費電力を制御する方法
- 業務に使用しない時間帯は設備機器の電源を切る
- 老朽化したサーバを最新版にリプレイスする
- プロセッサやメモリーなどの動作を省電力モードへ変更する
②サーバの統合を行う
サーバの統合を行い筐体の台数を減らすことで、サーバの消費電力を削減できるだけでなく、サーバの冷却にかかる電力も抑えられます。
▼サーバの統合を行う方法
- ブレードサーバを導入する
- サーバを仮想化する
ブレードサーバは、複数の薄型サーバを一つの筐体に差し込んで使用する形式のサーバです。また、サーバの仮想化とは、1台の物理サーバの内部を複数の仮想化したサーバとして分割して運用する方法をいいます。
③クラウドサービスを利用する
サーバの稼働に要する電力を削減するために、自社で物理サーバを持たずにクラウドサービスを利用する方法もあります。
クラウドサービスを利用することで、より電力効率や冷却システムなどが整った環境で運用・管理を行ってもらえるため、省エネルギー化が期待できます。
なお、サーバの運用管理を効率化する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
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ITによるグリーン化を推進する方法
ITによるグリーン化を推進するには、IT技術を活用して現場の業務フローや作業方法などを見直すことが必要です。
①ペーパーレス化を図る
ITによるグリーン化を進める方法の一つに、業務フローや情報資産のペーパーレス化が挙げられます。
紙の生産・焼却時にはCO2が排出されるほか、紙の原料として木が消費されることでCO2の吸収量が減少します。社内のペーパーレス化を図ることによって、紙の消費・生産が抑えられてCO2排出量の削減につながります。
▼ペーパーレス化の方法
- 会議やプレゼンテーションの資料をデータで共有する
- クラウドサービスを導入して業務に必要な資料を共有する
- ペーパーレスFAXを導入して受信した紙文書の印刷をなくす
②移動の少ない働き方へ見直す
人の移動を少なくする働き方へと見直すこともグリーンITを推進する方法の一つです。
自家用車や鉄道、バス、タクシーなどを用いて移動する際には、CO2が排出されます。ITを活用して人の移動の少ない働き方を導入することで、CO2排出量の削減に貢献できます。
▼移動の少ない働き方を実現する方法
- テレワークを導入する
- オンライン会議を導入する
- 社用自転車を整備する
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まとめ
この記事では、グリーンITについて以下の内容を解説しました。
- グリーンITの概要
- IT自身のグリーン化を推進する方法
- ITによるグリーン化を推進する方法
世界全体で地球環境問題が重視されている今、企業がグリーンITに取り組み、CO2排出量の削減を推進することは経営における重要な課題といえます。
グリーンITを推進するには、IT自身のグリーン化とITによるグリーン化という2つの概念があります。サーバや設備機器そのものの省エネルギー化を図るとともに、IT技術を活用してペーパーレス化、働き方の見直しを行うことがポイントです。
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