社内システムの改善を図る方法とポイント! 運用における課題を踏まえて解説
安定かつ効率的に事業を運営するには、経営戦略に基づいた社内システムの構築や保守運用が欠かせません。
しかし、クラウドサービスの普及によって業務のデジタル化や働き方の多様化が進んでいる今、社内システムに対する管理業務の範囲は広がっており、情報システム(以下、情シス)部門での運用にさまざまな課題が生じているケースも少なくありません。
情シス担当者のなかには、「社内システムを改善したいけれど、どのように進めればよいか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
この記事では、社内システム運用における課題を踏まえつつ、改善を図る方法とポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.社内システム運用における課題
- 1.1.①社内システムが複雑化している
- 1.2.②環境変化への迅速な対応が求められる
- 1.3.③情シス部門の担い手が不足している
- 2.社内システムを改善する方法とポイント
- 2.1.①システム上のデータを可視化する
- 2.2.②課題・ニーズを明確にする
- 2.3.③改善策を検討する
- 3.社内システムの改善にはITアウトソーシング(業務代行)の活用も有効
- 4.まとめ
社内システム運用における課題
IT技術の発展や事業環境の変化などによって社内システムでさまざまなことができるようになった一方で、以下のような課題が生まれています。
①社内システムが複雑化している
1つ目の課題は、社内システムの複雑化です。
近年、クラウドサービスの普及によって、業務に使用するアプリケーション・ソフトウェア・IT機器などが多様化したり、オンプレミスと混在したりして、社内システムの構成が複雑化しています。
その結果、キッティング(※)作業やアカウント管理、保守運用などを行う情シス部門の業務負担が増加しています。また、多種多様なシステムが導入されていると、セキュリティ対策やIT資産管理が難しくなるといった課題もあります。
※キッティングとは、社内の新しいパソコンをすぐに仕事でつかえる状態に設定すること。
②環境変化への迅速な対応が求められる
2つ目の課題は、環境変化への迅速な対応が求められることです。
現在、DX(Digital Transformation:デジタル・トランスフォーメーション)(※)や働き方改革によって、クラウド・IoT・AI、リモートワークなどの普及が進んでおり、事業環境は変化し続けています。そのようななか、レガシーシステムと呼ばれる古い既存システムを使用していることで、システムの保守運用にコスト・労力がかかります。
画像引用元:経済産業省『DXレポート』
経済産業省『DXレポート』では、約7割の企業がレガシーシステムがDX化の足かせになっていると回答しています。
情シス部門では、こうした環境変化に対応するために、既存システムを刷新したり、新たなIT機器やソフトウェアを導入したり、社内システムの再構築を行う必要があり、業務工数の増加につながりやすくなります。
また、新たな技術に対応する知識・スキルが不足していて、業務部門や従業員からのニーズに十分に対応できていないケースもあると考えられます。
※DXとは、デジタル化・データ活用によって組織文化やビジネスモデルを変革すること
出典:総務省『令和3年版 情報通信白書』/経済産業省『DXレポート』『DXレポート2.1』
③情シス部門の担い手が不足している
3つ目の課題は、情シス部門の担い手不足です。
現在、国内のIT人材は不足しており、2030年には約45万人が不足すると予測されています。社内システムの維持管理・保守運用を担う情シス部門についても、担い手が不足している企業は少なくありません。
画像引用元:経済産業省『IT人材需給に関する調査(概要)』
情シス部門では、社内システムの運用にあたって以下のようなさまざまな業務を担当しています。
▼情シス部門が対応する業務
- 社内システムの開発・構築
- IT機器の設定、IT資産管理
- ID・アカウント管理
- セキュリティ管理
- 障害時の復旧対応
- 社内ヘルプデスク
社内の情シス部門を1人もしくは少人数で運用している場合、障害発生時の復旧対応が遅れる、知識・スキルが継承されない、業務が属人化するといった問題につながりやすくなります。
なお、情シス部門が抱える課題についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
出典:経済産業省『IT人材需給に関する調査(概要)』
社内システムを改善する方法とポイント
社内システムの改善を図る際は、現状を可視化したうえで、現場の課題・ニーズに合わせた改善策を検討することが重要です。
①システム上のデータを可視化する
社内システムの改善を図るには、まず現在のシステムで管理されているデータを可視化することが必要です。
社内で使用しているシステム・IT機器を洗い出して、それぞれで管理しているデータを分類していくことがポイントです。
データの流れや保存先を洗い出すことで、そのデータに紐づく業務を可視化できるようになり、改善が必要なシステムを検討できます。
②課題・ニーズを明確にする
システムで管理されているデータを可視化したあとは、運用上の課題・ニーズを明らかにすることが重要です。
課題を把握する際は、各業務部門での業務方法やフロー、部門間の連携についてヒアリングを行うことがポイントです。例えば、以下のような課題・ニーズが考えられます。
▼例:システム運用の課題・ニーズ
- オンプレミス型の業務システムで外出先での対応ができず不便なため、クラウド型にしてほしい
- 社内システムの利用・操作方法に不明点があると、毎回ヘルプデスクに問い合わせる必要があり、業務が非効率になっている
- IT機器の設定を各部門の担当者が行っており、設定の不備やセキュリティ対策ができているか不安 など
③改善策を検討する
システム運用の課題・ニーズを踏まえたうえで、改善策を検討します。
負担が大きい業務や非効率な業務については、優先順位を定めて取り組むことがポイントです。また、運用の属人化を防ぐためには、業務方式・フローをシステムの標準に合わせることも必要です。
▼社内システム運用の改善例
- 部署間の業務フローを見直して、各業務システムへの転記作業をなくす
- マニュアルやFAQを作成して、ヘルプデスク対応を減らす
- オンプレミスからクラウドに移行して、保守運用の負担削減、業務効率化を図る
- キッティング代行サービスを活用して、設定方法やセキュリティ対策を統一化する
なお、キッティング代行サービスについては、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
社内システムの改善にはITアウトソーシング(業務代行)の活用も有効
社内システムの運用に課題を抱える方は、ITアウトソーシングを活用して改善を図ることも一つの方法です。
ITアウトソーシングを活用することで、社内システムの構築や見直し・キッティング作業・アカウント管理・保守運用・セキュリティ管理などのさまざまな業務を委託できます。
システム運用の専門知識・スキルを持つ外部に委託することによって、事業環境の変化や業務部門の課題・ニーズに合わせたシステム改善を行えるようになります。
また、社内システムの保守運用にかかる情シス部門の業務負担が削減されるため、担い手不足の解消にもつながります。
まとめ
この記事では、社内システムの改善について以下の内容を解説しました。
- 社内システム運用における課題
- 社内システムを改善するポイント
- ITアウトソーシングを活用するメリット
IT技術の進化や事業環境の変化などにより社内システムが複雑化するなか、限られた情シス担当者でシステムを運用することは容易ではありません。
DXの推進や属人化の解消を目指しているものの、社内リソースに問題があり、自社でのシステム改善が難しいといったケースもあるのではないでしょうか。
システム運用の課題に対応して、効率的にシステム改善を図るには、ITアウトソーシングを活用することが有効です。
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