社内ヘルプデスクをITアウトソーシング(業務代行)するメリット・デメリットと事業者の選び方
※2024年5月1日更新
社内ヘルプデスクには日々さまざまな問い合わせが寄せられ、担当者の業務範囲は多岐にわたります。担当者が少なかったり、ほかの業務と兼任していたりする場合には、業務過多となっているケースもあり、業務改善が求められます。
そこで、業務改善に有効な手段として挙げられるものがITアウトソーシング(業務代行)です。ITアウトソーシングを利用することで、社内ヘルプデスクの業務負担軽減を期待できます。
しかし、ITアウトソーシングのサービスにはさまざまな種類があります。「どのように選べばよいか」「どのようなサービスであれば上役の許可がおりるだろうか」と悩まれている情報システム部門の担当者さまもいるのではないでしょうか。
この記事では、ITアウトソーシングできる社内ヘルプデスクの業務内容をはじめ、委託するメリット・デメリットやサービスの料金体系、業務形態、事業者の選び方について解説します。
なお、社内ヘルプデスクを効率化する方法については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
目次[非表示]
- 1.ITアウトソーシングできる社内ヘルプデスクの業務内容
- 2.社内ヘルプデスクをITアウトソーシングするメリット
- 2.1.担当者の業務負担を軽減できる
- 2.2.迅速なトラブル対応ができる
- 2.3.対応品質を均一化できる
- 2.4.社内リソースをコア業務に充てられる
- 3.社内ヘルプデスクをITアウトソーシングするデメリット
- 3.1.社内にノウハウやスキルが蓄積されない
- 3.2.情報漏えいのリスクがある
- 3.3.委託費用がかかる
- 4.ITアウトソーシングの主な料金形態
- 5.社内ヘルプデスクを委託する際の業務形態
- 5.1.➀オンサイト型(常駐型)
- 5.2.②オフサイト型
- 5.3.③ハイブリッド型
- 6.社内ヘルプデスクを委託するITアウトソーシング事業者の選び方
- 6.1.①自社が必要なサービスを受けられるか
- 6.2.②セキュリティ対策が十分に行われているか
- 6.3.③どのような業種で請負実績があるか
- 7.まとめ
ITアウトソーシングできる社内ヘルプデスクの業務内容
社内ヘルプデスクには、従業員からさまざまな問い合わせが寄せられます。限られたリソースですべての問い合わせに迅速な対応をするのは難しいといえます。
ITアウトソーシングを活用することで、担当者の業務負担を軽減できるほか、従業員側での待機時間の削減につながります。
ITアウトソーシングで依頼できる主な業務内容には、以下が挙げられます。
▼ITアウトソーシングできる主な業務
- パソコンやプリンター、周辺機器、ソフトウェアなどの操作方法の対応
- メーカーへの問い合わせや修理の手続き
- 機器やシステム、ソフトウェアなどの不具合・障害時の復旧対応
- マニュアルやよくある質問(FAQ)の作成 など
なお、社内ヘルプデスクの課題と解決方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
社内ヘルプデスクをITアウトソーシングするメリット
社内ヘルプデスクをITアウトソーシングすると、担当者の業務効率化を図れるほか、迅速な対応につながります。
担当者の業務負担を軽減できる
社内ヘルプデスクをITアウトソーシングすることで、担当者が行っていた問い合わせ対応の業務を削減して、業務負担を軽減できます。
一次対応をITアウトソーシングすると、よくある障害時の緊急対応で呼び出されることがなくなるため、残業や休日出勤の削減にもつながります。
迅速なトラブル対応ができる
ITアウトソーシングを活用すると、従業員からの問い合わせや急なシステムエラーの報告などに対して迅速に対応することが可能です。
社内ヘルプデスクを自社で運用している場合、同時に複数の問い合わせがあり、1つの問題解決に時間がかかることがあります。また、緊急を要するトラブルにすぐに対応できないケースも少なくありません。
365日24時間のトラブル対応が可能な事業者にITアウトソーシングを依頼することで、すばやく問題解決を図れるようになり、業務進捗の遅れによるトラブルを防止できます。
対応品質を均一化できる
社内ヘルプデスクの対応品質を均一化できることも、ITアウトソーシングを活用するメリットの一つです。情シス部門や管理部門の担当者に知識・スキルのばらつきがある場合、質問への回答内容や品質に差が出てしまったり、対応が属人化してしまったりする可能性があります。
ITアウトソーシングを活用すると、必要な知識を持つ担当者がヘルプデスク対応を行うため、対応品質を均一化することが可能です。限られた担当者による運用で起こりやすい属人化を防ぐことにもつながります。
社内リソースをコア業務に充てられる
ITアウトソーシングを活用すると、情シス部門や管理部門のリソースをコア業務に充てられるようになります。
従業員からの問い合わせ対応や窓口業務などに担当者を配置する必要がなくなるほか、突発的なトラブルでほかの業務が中断される心配がなくなります。
これまで社内ヘルプデスクに対応していた担当者が、ITシステムの保守管理やIT戦略の立案などのコア業務に注力できるようになることで、生産性の向上が期待できます。
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社内ヘルプデスクをITアウトソーシングするデメリット
社内ヘルプデスクのITアウトソーシングを活用する際は、人材育成や情報セキュリティのリスク、運用コストなどに関する注意点も理解しておく必要があります。
社内にノウハウやスキルが蓄積されない
ITアウトソーシングによって社内ヘルプデスクの運用を外部に委託した場合、対応のノウハウやスキルが社内に蓄積されなくなります。
社内でヘルプデスクを行えるIT人材が育たない状態では、将来的に内製化を目指すことが難しくなる可能性があります。
ITアウトソーシングを活用する際は、社内ヘルプデスクの業務を任せきりにせず定期的な情報共有を行い、対応方法を把握することが重要です。
情報漏えいのリスクがある
社内ヘルプデスクの業務を外部の事業者に委託する際には、自社が管理している情報の一部を共有する必要があることから情報漏えいのリスクが伴います。
ITアウトソーシングを活用する際は、委託する事業者のセキュリティポリシーや情報の管理体制などについて確認しておくことが重要です。
委託費用がかかる
社内ヘルプデスクをITアウトソーシングするには、委託費用が発生します。
サービスの料金形態によって異なりますが、問い合わせ件数が増えるほど委託費用が高く設定されることが一般的です。社内で同じような問い合わせが何度も行われると、費用が高額になってしまう可能性があります。
委託費用を抑えるには、社内向けのマニュアルやFAQを作成して従業員が自己解決できる範囲を広げることが重要です。
ITアウトソーシングの主な料金形態
ITアウトソーシングの料金形態には、主に月額固定制と従量課金制が存在します。
▼社内ヘルプデスクを委託するITアウトソーシングの料金形態
料金形態 |
概要 |
月額固定制 |
1ヶ月当たり定額の委託費用を支払う |
従量課金制 |
ヘルプデスクへの問い合わせ件数に応じた委託費用を支払う |
月額固定制のITアウトソーシングでは、平均的な問い合わせ件数に基づいて、対応時間・対応人数に応じた定額の委託費用が設定されることが一般的です。毎月多くの問い合わせが寄せられる場合に適しています。
ただし、月額固定制であってもサービスによっては問い合わせ件数の上限が設けられており、上限を超えると追加料金が発生する場合があります。
従業課金制は、問い合わせ件数に応じて委託費用が変動する仕組みです。そのため、業務・事業活動の影響で時期によって問い合わせ件数が変わる場合や、予測ができない場合などに適しています。
社内ヘルプデスクを委託する際の業務形態
社内ヘルプデスクのITアウトソーシングには、主に3つの業務形態があります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、自社の課題や業務の特性などに応じて選択することが重要です。
➀オンサイト型(常駐型)
オンサイト型(常駐型)は、委託先のスタッフが自社のオフィスに常駐して社内ヘルプデスクの業務を行う形態です。
▼オンサイト型のメリット・デメリット
メリット |
|
デメリット |
|
②オフサイト型
オフサイト型は、委託する事業者の施設内において、オペレーターが電話やチャットなどで社内ヘルプデスクの問い合わせ対応を行う形態です。
▼オフサイト型のメリット・デメリット
メリット |
|
デメリット |
|
③ハイブリッド型
ハイブリッド型は、オンサイト型とオフサイト型を組み合わせたITアウトソーシングの業務形態です。社内ヘルプデスク業務の一部をオンラインで行いながら、緊急のトラブルには常駐しているスタッフが対応します。
▼ハイブリッド型のメリット・デメリット
メリット |
|
デメリット |
|
社内ヘルプデスクを委託するITアウトソーシング事業者の選び方
社内ヘルプデスクをITアウトソーシングできる事業者によって、サービスの内容や得意とする分野などに違いがあります。依頼する事業者を選定する際は、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
①自社が必要なサービスを受けられるか
自社が依頼したい業務に対応できるサービスがあるかを確認しておく必要があります。社内ヘルプデスクのうち、どのような業務を依頼したいのか具体的な内容・範囲を明確にしておくことがポイントです。
▼事前に確認しておく項目
- オフィスの常駐による対応は必要か
- 緊急時にエンジニアの派遣は必要か
- 対応時間や目安となる問い合わせ件数はどれくらいか
- 継続的な運用を見据えて委託費用の予算を立てているか など
②セキュリティ対策が十分に行われているか
ITアウトソーシングによる情報漏えいのリスクを抑えるには、事業者がセキュリティ対策を十分に行っているかを確認しておくことが重要です。セキュリティ対策の品質や管理体制などを判断する基準の一つに、ISO認証があります。
ISO認証とは、自社が提供する製品・サービスまたは組織のマネジメントシステムが国際基準を満たしていることを証明する仕組みです。
ISO認証のマネジメントシステム規格を取得している事業者は、情報セキュリティ管理や品質管理などを特定の基準に沿って運用していると判断できます。
▼ISO認証におけるマネジメントシステム規格の例
規格 |
概要 |
ISO27001 |
|
ISO9001 |
|
ISO20000 |
|
なお、ISO認証についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
③どのような業種で請負実績があるか
現在に至るまでどのような企業でどのような業務を請け負ってきたか、ITアウトソーシング事業者の実績を確認しておくことも欠かせません。
自社と同じ業界・職種においてヘルプデスク業務の対応実績が豊富な事業者であれば、より安心してITアウトソーシングを行えます。
▼確認したい請負実績の例
- ITアウトソーシング企業の実績年数
- これまで携わった企業名
- 導入事例 など
『FGLテクノソリューションズ』では、IT人材の育成と確保が十分ではない企業さまのネットワークインフラやサーバの現状調査、各ベンダーさまとの折衝における側面サポートなどを行っております。
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まとめ
この記事では、社内ヘルプデスクのITアウトソーシングについて以下の内容を解説しました。
- ITアウトソーシングできる社内ヘルプデスクの業務内容
- 社内ヘルプデスクをITアウトソーシングするメリット・デメリット
- ITアウトソーシングの主な料金形態と業務形態
- ITアウトソーシング事業者の選び方
ITアウトソーシングを活用することで、社内ヘルプデスク業務の負担を軽減して担当者がコア業務に注力できるようになるほか、トラブル対応の迅速化や対応品質の均一化を図れるメリットがあります。
ただし、事業者によって料金形態や業務形態、依頼できる業務などが異なります。自社が依頼したい業務の内容・範囲を明確にしたうえで、セキュリティ管理の体制や請負実績なども踏まえて選ぶことがポイントです。
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