社内システムを導入する6つの手順とスムーズに進めるポイント
近年、IoTやAI、クラウド、マイクロサービスなどの新たなデジタル技術の登場しています。
これによって、あらゆる産業でこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が見られており、ゲームチェンジが起きつつあります。
このような環境のなかで、企業が競争力を維持・強化していくには、DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが欠かせません。
DXの実施にあたっては、データの蓄積・処理ができる社内システムを活用して、生産性の向上や価値創出を図ることがカギとなります。
企業の情シス部門では、新たな社内システムの導入・刷新を検討しているものの、「具体的にどのように進めたらよいのか」「スムーズに導入するにはどのような対策が必要なのか」などと悩まれている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、情シス部門の担当者さまに向けて、社内システムの導入手順やポイントについて解説します。
出典:経済産業省『DXレポート』『DXレポート2 中間取りまとめ(概要)』
目次[非表示]
- 1.社内システムを導入する6つの手順
- 1.1.①目的を定める
- 1.2.②システム導入の範囲を整理する
- 1.3.③前提条件を作成する
- 1.4.④ベンダーを選定する
- 1.5.⑤システムの要件定義を行う
- 1.6.⑥試運転後にリリースする
- 2.社内システム導入をスムーズに進めるポイント
- 3.まとめ
社内システムを導入する6つの手順
社内システムを導入する際は、情シス部門だけではなく、関連部門を含めて「ITでどのようなことを解決するのか」を考えて、必要なシステムを検討することが重要です。ここからは、具体的な導入手順について解説します。
①目的を定める
1つ目のステップでは、社内システムの導入目的を定めます。
社内システムの導入自体が目的になってしまうと、導入後に形骸化してしまい、業務プロセスの改善や価値創出につながらなくなる可能性があります。
「なぜ社内システムを導入するのか」「導入して何の課題を解決したいのか」を考えて、社内システムの導入目的を明確にすることが重要です。
▼例:導入目的の定め方
課題 |
目的 |
|
例1 |
人の手による入力・処理が多いため、人的ミスが発生しやすく、関連部門との連携も大変 |
ペーパーレス化を実現できるシステムを導入して業務フローをデジタル化する |
例2 |
部署間で異なるシステムを個別導入しており、社内横断的なデータ連携・活用が進まない |
ERPの導入でシステム統合を図り、社内のコラボレーションを促進する |
②システム導入の範囲を整理する
2つ目のステップでは、システム導入の範囲を整理します。
定義した目的を踏まえて、どのような部門・業務・プロセスで社内システムを導入するのか範囲を整理します。導入範囲を整理する際は、現状の業務フローやシステムの状況を洗い出して、問題点を可視化することが重要です。
情シス担当者は、業務部門で行われる業務フローやシステムを詳しく把握できていないケースもあるため、各部門へのヒアリングを行い、現状課題・要望を確認します。業務のフローチャートを作成して、業務の目的別に階層分けすると、部門間の連携状況や決裁フローなどを把握しやすくなります。
各部門の要望を確認したあとは、課題解決や改善の必要性が高い業務フロー・システムを優先度別にランク分けしておくと、導入範囲を定めやすくなります。
③前提条件を作成する
3つ目のステップでは、ベンダーに要望を伝えるための前提条件を作成します。
システムの前提条件を明確にしていない場合、ベンダーとの認識のすり合わせができず、目的や課題に合わないシステムを選んでしまう可能性があります。
前提条件を作成して要求内容を明確に伝えることで、ベンダーとの認識の相違を防いで、スムーズにシステム導入を進められます。
前提条件に明記する内容には、以下が挙げられます。
▼前提条件に明記する内容
- システムの要件(決まっている範囲)
- 使用技術(言語・フレームワーク・サーバーなど)
- 開発環境
- 信頼性
- 可用性
- 保守レベル
- 予算 など
また、プロジェクトメンバーを定めておくとベンダーとのやり取りを円滑に進められます。
④ベンダーを選定する
4つ目のステップでは、ベンダーを選定します。
③で作成した前提条件を基にベンダーに見積もりを依頼して、システム導入の提案内容を確認します。システムの機能・サービス内容・実績・コストなどを踏まえて、複数のベンダーを比較検討することが重要です。
▼システムを選ぶ際の確認項目
- ほかのシステムとの連携やデータの統合化がしやすいか
- 脆弱性を発見した際に迅速に対応できるか
- 法改正をはじめとする外的要因による仕様変更に迅速に対応できるか
- 導入後の保守運用体制はどうなるか
また、自社の業務内容・課題を踏まえて提案を行ってくれたり、導入後の定着化までサポートしてくれたりするベンダーを選ぶとスムーズな導入・運用につながります。
⑤システムの要件定義を行う
5つ目のステップでは、システムの要件定義を行います。
要件定義を行う際は、システム要件と業務要件を分けて検討・定義して、「当初の目的を達成できるか」「導入によって本当に課題を解決できるか」などを確認することが重要です。
また、システム導入によって業務フロー・作業方法がどのように変わるかを明らかにして、新たな業務プロセスを設計する必要があります。社内の業務フローにマッチしない場合には、カスタマイズや個別開発の必要性も検討します。
⑥試運転後にリリースする
6つ目のステップでは、試運転を行います。
要件どおりにシステムが設計されているか、正常に稼働するかなどを確認するために試運転を行い、問題がなければリリースとなります。リリース直後は問題が発生しやすいため、ベンダーの対応方法について事前に確認しておくことが重要です。
また、一定期間運用したあとは、効果測定を実施します。「当初の目的を達成できているか」「改善点・問題点はないか」などを確認して、システムの見直しを検討する必要があります。
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社内システム導入をスムーズに進めるポイント
社内システムの導入には、課題の洗い出しや要求内容の整理、ベンダーの選定などさまざまなプロセスが発生します。
情シス部門を少数人で運用している場合は、通常のシステム管理やヘルプデスク対応などに時間を要していたり、システム導入のノウハウが不足していたり、リソース面に問題が生まれることもあります。
スムーズにシステム導入を進めるには、外部のITコンサルティングやITアウトソーシング(業務代行)を活用することも一つの方法です。
外部サービスを活用することで、社内のリソースを割くことなく、より効率的かつスムーズにシステム導入を進められます。
まとめ
この記事では、社内システムの導入について以下の内容を解説しました。
- 社内システムを導入する6つの手順
- 社内システム導入をスムーズに進めるポイント
社内システムの導入には、各部門への要望・課題のヒアリングをはじめ、ベンダーの選定やシステムの要件定義などのさまざまな手順を踏む必要があります。
社内の情シス部門での対応が難しい場合には、外部のITコンサルティングやITアウトソーシングを利用することが有効です。
『FGLテクノソリューションズ』の社内システム運用管理サービスでは、社内システムの導入や管理、保守運用などをサポートしています。柔軟なアウトソーシングサービスによって、情シス担当者さまのご要望にお応えします。
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なお、社内システムの改善を図るポイントについては、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
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