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クラウドPBXの失敗例から学ぶ成功のカギ! 導入で失敗を避けるポイント

近年、テレワークやハイブリッドワークの普及により、企業の電話環境も大きな変化を遂げています。

その中心にあるのが「クラウドPBX」です。インターネットを通じて電話回線を仮想化し、場所やデバイスに依存せずに内線や外線の通話が可能になるため、従来のビジネスフォンに比べてコスト削減や業務効率化を実現できると注目されています。

しかし、クラウドPBXの導入が必ずしも成功するとは限りません。よくある失敗例として「必要な機能を見落とした」「セキュリティ対策が不十分だった」「ベンダー選定を誤った」などが挙げられ、導入後に大きなトラブルを抱えてしまうケースも存在します。

この記事では、クラウドPBXの基本的な仕組みや特徴を押さえつつ、導入における典型的な失敗例と、それを防ぐためのポイントを具体的に解説します。

目次[非表示]

  1. 1.クラウドPBXとは
    1. 1.1.コスト削減と業務効率化
    2. 1.2.テレワーク環境での活用
  2. 2.クラウドPBX導入におけるよくある失敗例
  3. 3.失敗しないために。クラウドPBX導入時のポイント
    1. 3.1.必要な機能・性能の洗い出し
    2. 3.2.自社ニーズに適したプランの選定
    3. 3.3.セキュリティ対策の確認
    4. 3.4.プロジェクト計画とスケジュール管理
    5. 3.5.信頼できるベンダーへ依頼
    6. 3.6.トライアル期間の活用
    7. 3.7.導入後のサポート体制を整備
  4. 4.まとめ

クラウドPBXとは

クラウドPBXとは、従来オフィスに設置していた物理的なPBX(構内交換機)をクラウド上で提供するサービスを指します。

PBXは社内の電話回線を制御する装置であり、従来は専用ハードウェアが必要でした。しかし、クラウドPBXではインターネット経由で同等の機能を利用できるため、機器の設置や保守が不要となり、柔軟かつ低コストでの運用が可能です。

クラウドPBXの最大の特徴は、場所やデバイスを問わず利用できる点です。従業員はオフィスの固定電話だけでなく、自宅のPCやスマートフォンからも業務用番号を使って発着信できます。これにより、テレワークや出張先でもスムーズなコミュニケーションが実現します。

さらに、クラウドPBXは従来の電話システムに比べて柔軟性が高く、企業の成長や働き方の変化に合わせて規模を簡単に調整できます。新入社員が入社すればすぐに番号を追加でき、逆に人員削減があれば余分な回線を減らすことも可能です。この拡張性の高さは、コスト効率を重視する企業にとって大きなメリットといえます。

コスト削減と業務効率化

クラウドPBXを導入する最大の目的の一つが「コスト削減」です。従来型のPBXでは初期導入費用として数百万円単位の投資が必要になる場合もあり、保守契約や機器の入れ替えにも高額なコストがかかります。

それに対してクラウドPBXは、月額課金モデルが一般的で、利用人数や回線数に応じた柔軟な料金設定が可能です。

また、業務効率化の観点からも優れています。例えば、複数拠点を持つ企業では、クラウドPBXによって拠点間通話を内線化でき、通信コストの大幅な削減が可能です。さらに、CRMやチャットツールなど他の業務アプリと連携させることで、顧客対応履歴の一元管理やスピーディな社内連携を実現できます。

こうしたコスト削減と効率化の効果は、特に中小企業にとって大きな導入メリットとなり、近年クラウドPBX市場が急速に拡大している理由の一つです。

テレワーク環境での活用

テレワークや在宅勤務が定着した現在、クラウドPBXは働き方改革の重要なインフラとなっています。従業員は自宅のスマートフォンやPCに専用アプリをインストールするだけで、会社番号を利用して発着信できるため、顧客や取引先に「自宅の電話番号」を晒すリスクを回避できます。

さらに、クラウドPBXはテレワークに伴うセキュリティリスク軽減にも寄与します。オフィスに設置された固定電話に依存せず、VPNや多要素認証と組み合わせて利用することで、安全性を確保しつつ柔軟な業務環境を構築できます。

また、コールセンター業務のリモート化にも対応可能です。従来は拠点に集まる必要があったオペレーター業務も、クラウドPBXとCRMの統合によって在宅で完結できるようになり、人材確保やBCP(事業継続計画)の観点からも有効です。

このように、クラウドPBXは単なるコスト削減手段にとどまらず、多様な働き方を支える基盤技術として企業に定着しつつあります。

クラウドPBX導入におけるよくある失敗例

クラウドPBXは便利な仕組みである一方、導入後に「思っていたのと違う」と感じるケースも少なくありません。失敗の多くは、導入前の要件定義や準備不足に起因します。ここでは、代表的な失敗例を整理します。

必要な機能を見落とした

「通話できれば十分」と考えて導入した結果、録音機能や外部システム連携が不足し、コールセンター業務や顧客対応に支障が出るケースがあります。

回線や通信環境の問題

インターネット回線の品質を考慮せずに導入したため、音声が途切れたり遅延が発生したりするトラブルが発生するケースがあります。クラウドPBXは従来のオンプレPBXに比べて音声品質が劣る場合もあり、特に顧客対応の用途では注意が必要です。テレワーク環境ではネットワーク品質の影響が大きいため、導入前に十分な検証を行うことが重要です。また、導入時には既存の電話番号をそのまま利用できるかどうかもポイントとなります。

セキュリティ対策が不十分

ID・パスワード管理が甘く、不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まった事例があります。電話は依然として重要な顧客接点であり、セキュリティは軽視できません。

導入スケジュールの遅延

プロジェクト管理が不十分で、切り替え時期がずれ込み、顧客対応に支障が出たケースもあります。特に繁忙期にぶつかると、業務全体への影響は甚大です。

ベンダー選定の失敗

安さだけで選んだ結果、サポートが不十分でトラブル対応が遅れた事例も散見されます。特に中小企業では、サポート体制の質が導入効果を左右します。

トライアルをせずに本番導入

試験運用を行わずに全社展開したことで、利用者が使い方に慣れず混乱し、業務停滞を招くケースもあります。これらの失敗例は「導入前に確認できたはずの要素」を軽視した結果ともいえます。

失敗しないために。クラウドPBX導入時のポイント

クラウドPBXの導入を成功させるには、上記の失敗例を「逆手に取る」ことが重要です。ここでは、失敗を防ぐために押さえておきたい具体的なポイントを整理します。

必要な機能・性能の洗い出し

最初に行うことは、自社の業務に必要な機能の棚卸しです。録音、通話転送、スマートフォン連携、CRMやグループウェアとの統合など、利用シーンを明確にすることで「導入後に機能不足で困る」リスクを減らせます。

加えて、同時通話数や拠点数、コールセンター対応の有無といった規模感を把握しておくことも大切です。ベンダーによって得意分野が異なるため、必要要件を明確にすればサービス比較もしやすくなります。

自社ニーズに適したプランの選定

クラウドPBXは月額課金が基本ですが、プランによって初期費用やランニングコスト、オプション費用が異なります。

初期費用

導入支援を依頼するか、機器をレンタルするかによって変動します。

ランニングコスト

ユーザー数や内線数などに応じて課金される仕組みが一般的です。

オプション費用

通話録音や外部システムとの連携など、追加機能を利用する場合に発生します。
導入規模を見誤ると「思ったより高くついた」という事態になりかねません。複数のプランを比較し、将来の拡張性も考慮した上で選定することが重要です。

セキュリティ対策の確認

クラウドPBXはインターネット経由で利用するため、セキュリティリスクを軽視できません。不正アクセスを防ぐために、以下のような対策を講じることが重要です。

  • 多要素認証の有無

  • 通話データの暗号化

  • 管理者権限の制御機能

  • ログ監査機能

特に、個人情報を扱う業務(顧客対応や営業)では、セキュリティ対策の有無が導入可否を左右します。

プロジェクト計画とスケジュール管理

導入プロジェクトでは、移行スケジュールを明確にし、既存の電話システムからの切り替えに伴うリスクを最小化する必要があります。

繁忙期を避け、トライアル期間を設けるなど、業務影響を最小限にする工夫が求められます。特に拠点が複数ある企業では、段階的に導入を進めることで混乱を防ぎやすくなります。

信頼できるベンダーへ依頼

価格の安さだけで選ぶのではなく、サポート体制や導入実績を重視することが重要です。

障害発生時の対応速度、専任担当者の有無、マニュアルやトレーニングの提供状況を比較することで、安心して利用できるパートナーを見極められます。

トライアル期間の活用

可能であれば、数週間のトライアルを実施し、実際の業務環境で動作を確認します。社員からのフィードバックを収集することで、潜在的な問題点を洗い出し、本導入前に改善できます。

導入後のサポート体制を整備

導入後に「運用はユーザー任せ」となるケースは代表的な失敗例です。

システム管理者の育成、社内マニュアルの整備、ベンダーサポート窓口の確認など、運用体制を整備することが長期的な成功のカギとなります。

まとめ

この記事では、クラウドPBXについて以下の内容を解説しました。

  • クラウドPBXを導入する目的

  • クラウドPBX導入におけるよくある失敗例

  • クラウドPBX導入に失敗しないためのポイント

クラウドPBXは、コスト削減・業務効率化・テレワーク推進といった多くのメリットをもたらす一方で、導入設計を誤ると「通話品質低下」「機能不足」「セキュリティ不安」といった失敗に直結します。成功させるためには、

  • 必要な機能・性能の洗い出し

  • 適切なプラン選定

  • セキュリティ対策の徹底

  • スケジュール管理と段階的導入

  • 信頼できるベンダーの選定

  • トライアルとユーザー教育

  • 導入後の運用サポート体制

といったポイントを押さえることが重要です。自社だけでこれらを完璧に進めるのは難しいため、外部の専門家やサポートサービスを活用することを推奨します。

クラウドPBXの導入は単なる通信コスト削減にとどまらず、企業の競争力を高める投資です。ぜひ本記事で紹介したポイントを踏まえて、成功へとつなげてください。

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山根 佐利
山根 佐利
1998年に入社し、インフラエンジニアとしてシステム導入から運用を担当しました。 2000年には社内情シス業務のアウトソーシングサービスを立ち上げ、現在はマーケティング兼プリセールスを担当し、サービス事業部と共に自社の社内情シス担当も兼務してノウハウを習得しています。

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