
社内の情報共有を効率化!ひとり情シスでもできる仕組み
中小企業やスタートアップなど、限られた人員で運営する企業では1人または少人数でIT業務を担っている“ひとり情シス”になっているケースが少なくありません。
日々のトラブル対応からシステム運用、ヘルプデスクまで幅広い業務を抱えながら、「情報共有がうまくいかない」「同じ問い合わせが何度も来る」といった悩みを抱える担当者も多いのではないでしょうか。
実は情報共有の仕組みが整っていないことが、業務の属人化や生産性低下の大きな原因になります。この記事ではひとり情シスでも実践できる社内情報共有の仕組みづくりについて、失敗例と成功のポイントを交えながら解説します。
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目次[非表示]
- 1.社内の情報共有が重要な理由
- 1.1.属人化と業務効率の低下
- 1.2.DX推進とナレッジ管理
- 2.社内情報共有の失敗パターン
- 2.1.ツール導入だけで終わる
- 2.2.ルール不在による混乱
- 3.効果的な情報共有の仕組みづくり
- 3.1.ツール選定のポイント
- 3.2.運用ルールと定着化
- 4.まとめ
社内の情報共有が重要な理由
社内の情報共有とは、単なる資料共有やチャット連携ではなく、ナレッジ(知識)を全社で活かす仕組みを構築することを指します。
特にひとり情シス体制の環境では、担当者の頭の中に蓄積された知識やノウハウがブラックボックス化しやすく、属人化が深刻化します。ここでは情報共有ができないことによって何が起こるのか解説します。
「情シス」のリスクとその対策についてはこちらをご覧ください。
属人化と業務効率の低下
属人化とは、特定の個人に知識やノウハウが集中してほかの人が代替できない状態を指します。担当者しか分からない業務手順やシステム設定が増えることで、担当者の不在時に業務が滞る、退職・異動によって重要な情報が失われるといった問題が発生します。
このような属人化を放置すると、業務の標準化が進まず、ミスの発生や作業効率の低下を招きます。さらに、担当者に業務が集中することで負担が増し、組織全体の生産性やIT活用レベルが低下する可能性があります。
そのため、情報共有の仕組みを整え、誰でも同じ手順で業務を進められる体制を構築することが重要です。マニュアル化やナレッジ共有ツールの導入により属人化を防ぎ、組織全体の業務効率を高めることができます。
▼属人化防止の取り組み
マニュアルや手順書を整備し、誰でも参照できる環境を作る
ナレッジツールを活用し、情報を一元管理する
主要業務には代替担当者を設定し、バックアップ体制を整える
システムやデータを個人依存にせず、ロール単位で管理する など
DX推進とナレッジ管理
DXを進めるうえで、ナレッジ管理は重要です。ナレッジとは、業務を通じて得た知見やノウハウを蓄積・共有・再利用する仕組みのことです。経済産業省の『デジタルガバナンス・コード2.0』では、DXを“データとデジタル技術を活用して業務プロセス、組織等を変革し、競争上の優位性を確立すること”と定義しています。
企業がDXを推進するには、部門や個人に散在する知識を“組織の資産”として活用することが重要です。そのために、クラウド型ナレッジベース(例:Confluence、Notion、esaなど)を導入して情報を一元化することが有効です。
また、ただ単に情報を共有するだけでなく、更新・検索・再利用がしやすい構造化を行うことで、ナレッジが日常業務に活きるようになります。こうした取り組みにより、組織全体にIT活用の文化が根付き、DX推進を持続的に進める基盤が形成されます。
出典:経済産業省『デジタルガバナンス・コード2.0』
社内情報共有の失敗パターン
情報共有の重要性を理解しても、実践段階で陥りやすい落とし穴があります。特に多いのが、ツール導入だけで終わるケースとルール不在による混乱です。これらの失敗を防ぐためには、運用の仕組みと文化づくりが重要です。
ツール導入だけで終わる
情報共有ツールを導入しても、使われない、更新されないという課題は珍しくありません。これは、目的設計が不十分なまま導入してしまうことが原因です。ツールはあくまで手段であり、共有する目的や対象者、更新ルールを明確にしなければ、形骸化してしまいます。
例えば、コミュニケーションツールを導入しただけで情報共有が進んだと考えるのは危険です。実際には、情報がチャットに埋もれて、必要なナレッジが検索できない状態に陥ることも多いです。
ツール導入時には、“誰が、どのような情報を、どこに、どの形式で共有するのか”を具体化して、利用目的を社内に周知することが成功のカギになります。
ルール不在による混乱
情報共有のもう一つの落とし穴は、“ルールがない”ことによる混乱です。どの情報を共有するのか、どのツールを使うのか、承認や更新の手順はどうするのかなど、これらが曖昧なまま進めると情報の重複や誤情報が発生します。
特にセキュリティ面では、アクセス権限の設定ミスが情報漏えいの原因となるケースもあります。ひとり情シスの場合でも、更新責任者の明確化やファイル命名ルールの統一、アクセス権の定期見直しなど、最低限のルール整備を行うことで、混乱とリスクを防ぐことができます。
効果的な情報共有の仕組みづくり
情報共有を定着させるためには、適切なツール選定と運用ルールの継続改善が鍵です。これらを設計することで、ひとり情シス体制でも持続可能な仕組みを構築できます。
ツール選定のポイント
ツールを選ぶ際は使いやすさ、検索性、アクセス管理、コストの4つを軸に検討します。
例えば、社内ドキュメントを体系的に管理したい場合は、NotionやConfluence、Q&A形式を、ナレッジを蓄積したい場合はKibelaやDocBaseなどが有効です。また、ファイル共有とチャット連携を重視するなら、Microsoft 365(※)やGoogle Workspaceなどの統合環境を選ぶのも有効な方法の一つです。
導入時は、PoC(概念実証)を行い、実際の利用シーンに合うかどうかを確認することが重要です。「現場で使われるかどうか」を最優先に判断することで、形だけの導入を防げます。さらに、セキュリティ基準やデータ保存場所(国内・国外サーバー)も確認して、政府が定めるガイドラインなどに準拠したツールを選ぶことが望ましいです。
※Microsoft 365 は、マイクロソフトグループの企業の商標です。
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運用ルールと定着化
ツールを導入したあとは、運用ルールと定着化の仕組みを作ります。最初からルールを厳格に固めすぎるより、最小限のルールで始めて、運用しながら改善していくのが現実的です。
例えば、以下のような基本ルールを取り決めて、実践することが有効です。
▼運用の基本ルール
情報登録の責任者を明確にする
更新頻度を決める(例:週1で確認・更新)
古い情報の削除ルールを設ける
共有フォーマットを統一する
また、社内に情報共有の価値を浸透させるために、成功事例を共有する、使いやすい工夫をフィードバックするといった文化づくりも大切です。定期的なミーティングや報告会を通じて、共有の仕組みを業務の一部として根付かせることが理想です。
まとめ
この記事では、情シス丸業務の投げについて以下の内容を解説しました。
社内情報共有が重要な理由
社内情報共有に失敗するケース
効果的な情報共有の仕組みづくり
情報共有ツール選定のポイント
ひとり情シスの現場では、限られたリソースでいかに効率的に業務を回すかが常に課題です。その解決の鍵となるのが、社内情報共有の仕組みづくりです。属人化を防ぎ、ナレッジを組織の資産として活用することで、業務効率は大きく向上します。
重要なのは、ツールを導入するだけで終わらせず、明確な目的設定・運用ルール・文化づくりを組み合わせることです。また、情報共有は情シスだけの仕事ではなく、全社員が参加する協働の仕組みです。小さな改善の積み重ねが、最終的にはDX推進や企業競争力の強化につながります。
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