ITライフサイクルの7つのステージと最適化を図るためのポイント
テクノロジーの進歩によってデジタル化が進むなか、ITは安定かつ効率的に事業を運営するために欠かせない存在となっています。
コストパフォーマンスを高めてIT資産を使用するには、導入から廃棄に至るまでの一連のライフサイクルを管理することが重要です。
しかし、管理対象となるIT資産は多岐にわたることから、「調達やリプレイスの機会がつかめない」「突発的なトラブルに迅速に対応できない」「担当者の業務負担が増えている」などの課題も生まれやすくなっています。
企業の情報システム部門(以下、情シス)や管理部門では、「どのような方法でITライフサイクルを最適化できるのか」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ITライフサイクルの7つのステージと最適化を図る方法について解説します。
ITライフサイクルの7つのステージ
ITライフサイクルは、IT資産の調達前から廃棄までの7つのステージに分類されます。
▼ITライフサイクルのステージ
それぞれの内容と最適化を図るポイントは、以下のとおりです。
①計画
計画のステージでは、IT資産の導入や購入前に「どのような目的でIT資産を導入するのか」「インフラを整備するためにどのようなIT資産が必要になるのか」などを策定します。
▼IT資産を導入する目的の例
- セキュリティの設計・向上
- リモートワーク環境の整備
- 社内インフラの構築 など
なお、社内インフラを整備する手順についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
②検証
検証のステージでは、IT資産の導入目的に合わせて、IT機器やアプリケーションの要件を事前に検証します。検証を行う際のポイントは、以下のとおりです。
▼検証を行う際のポイント
- 要件に合うIT資産が社内にあるかを確認する
- 導入予定のIT機器やアプリケーションの展開検証を行う
- パソコンを導入する際、要件に応じた環境を整備したマスターイメージ(※)を作成しておく など
要件に合うIT資産が社内にある場合は、外部から購入またはレンタルして調達する労力・コストを抑えられます。また、マスターイメージを作成しておくことで、導入の際に効率よくキッティング作業を行えるようになります。
※…パソコンを導入するときの雛形となるディスクイメージのこと。
③調達
調達のステージでは、導入するIT資産を選定してレンタル・リース・購入などの方法で調達を行います。
調達にかかるIT資産の購入費・設置費・維持管理費などの費用を算出して最適化を図るとともに、担当者による調達業務の効率化を図ることが重要です。
▼調達を行うときのポイント
- 調達フローをペーパーレス化する
- クラウドサービスを活用する
- 調達先を統一する など
調達フローをペーパーレス化することで、購入やレンタルの手続きが円滑になり、業務の効率化につながります。また、クラウドサービスでは物理的なサーバやストレージ、ネットワーク機器を新たに用意する必要がないため、調達費用の削減が期待できます。
そのほか、ハードウェア・ソフトウェアなどの調達先を統一すると、手続きの簡素化やボリュームディスカウントにつながる可能性も考えられます。
④資産管理
資産管理のステージでは、IT管理台帳を作成してIT機器の在庫管理やライセンス管理、ID管理などを行います。現状のIT資産の状況を一元管理して、以下の取り組みを行うことがポイントです。
▼IT資産管理のポイント
- IT資産の利用状況を管理して不要なIT機器・ライセンスの購入を防止する
- 従業員が使用するIT資産のセキュリティ対策を行う
- 従業員の入退社に伴うIDやライセンスの管理を行う など
IT資産管理を行う担当者の負担を軽減するには、IT資産管理ツールを活用したり、ITアウトソーシングを活用したりすることが有効です。
なお、ITアウトソーシングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
⑤運用
運用のステージでは、IT機器を使用可能な状態にセットアップしたり、故障対応を行ったりして従業員が使用しやすいように管理します。
主な取り組みには、以下が挙げられます。
▼運用に関する取り組み
- キッティング・マスタークローニングの実施
- IT機器の入れ替え時におけるデータ移行
- IT機器のクリーニング
- IT資産のレンタルや購入代金の支払い管理
- 社内ヘルプデスクの運用 など
なお、キッティングの作業内容と手順についてはこちらの記事をご確認ください。
⑥保守
IT資産のシステムを安定して稼働させるために、障害対応や監視、メンテナンスなどの保守管理を行うことも必要です。保守のステージでは、主に以下の取り組みを行います。
▼保守に関する取り組み
- システムの更新・変更
- 不具合の修正
- IT資産に保存されたデータの管理
- システムの監視
- 障害発生時の復旧作業
- 故障時の修理・部品交換
- 代替機の調達
- 機器のメーカーによる保守管理の手配 など
なお、障害発生時の復旧作業についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
障害対応のフローはどうする? 障害の発生リスクを防ぐための3つの対策
⑦終了
ITライフサイクルの最後のステージでは、故障や老朽化によって使わなくなったIT資産を安全に廃棄します。IT資産を廃棄する際は、機密情報の漏えいを防ぐための措置が必要です。
▼廃棄時の情報漏洩を防ぐための措置
- IT資産に保存されたデータの抹消やバックアップを実施する
- 廃棄するIT機器を物理的に破壊する など
古くなってシステムを更新できなくなった場合や、メーカーから機器の保守部品のサポートを受けられなくなった場合には、障害・故障が発生すると復旧が困難になる可能性があります。そのため、古いシステム・機器についてはできるだけ早めに新しい製品に移行することが望まれます。
ITライフサイクルの管理をアウトソーシングすることも可能
ITライフサイクルの最適化を図るには、ITアウトソーシングを活用して各ステージの管理を外部に委託する方法があります。ITアウトソーシングを活用するメリットには、以下が挙げられます。
▼ITアウトソーシングを活用するメリット
- コア業務に集中できる
- コストの最適化を図れる
- セキュリティの強化につながる
ITライフサイクルの最適化を目指すために必要な作業は多岐にわたります。ITアウトソーシングを活用することで、各ステージでの管理業務に充てる労力・時間を削減して、社内の担当者がコア業務に集中できるようになります。
また、IT資産管理や運用保守などを外部に委託して、新たな機器の導入、老朽化への対応、リース管理などを行うことでコストの最適化にもつながります。
さらに、システム監視やデータ管理などのセキュリティ設計を専門の事業者に依頼することで、ITインフラにおけるセキュリティの強化も期待できます。
まとめ
この記事では、ITライフサイクル7つのステージについて以下の内容を解説しました。
- ITライフサイクルの7つのステージ
- ITライフサイクルの管理をアウトソーシングするメリット
ITライフサイクルには、計画・検証・調達・資産管理・運用・保守・終了に至るまでの7つのステージがあります。情シスや管理部門が対応する業務範囲は多岐にわたるため、社内のリソースに課題を抱える企業では、ITアウトソーシングを活用することが有効です。
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