
システムリプレイスはどのように進める? 4つの方法と実施のポイント
少子高齢化による労働人口の減少やICT技術の発展などを背景に、企業を取り巻くビジネス環境は激しく変化しています。このような環境において企業が競争力の維持・強化を図るには、デジタル技術の活用でビジネスモデルの変革を図る“DX(デジタルトランスフォーメーション)”の推進が重要です。
DX推進に関する課題の一つとして、社内システムの老朽化・ブラックボックス化が挙げられます。古いシステムを使い続けていると、新しいデジタル技術への対応が限定的になったり、保守管理の負担・コストが増加したりする可能性があります。そこで検討したいのが“システムリプレイス”です。
企業の情報システム部門や管理部門の担当者のなかには、「システムリプレイスにはどのような方法があるのか」「どのような流れで進めればよいのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、システムリプレイスの方法や進め方、実施のポイントについて解説します。
なお、サーバのリプレイスについてはこちらの記事で解説しています。
目次[非表示]
- 1.システムリプレイスの方法
- 1.1.①一括移行方式
- 1.2.②段階移行方式
- 1.3.③並行移行方式
- 1.4.④パイロット移行方式
- 2.システムリプレイスの進め方
- 3.システムリプレイスを実施する際のポイント
- 3.1.①経営戦略を踏まえて実施する
- 3.2.②従業員の業務環境を踏まえて要件定義を行う
- 3.3.③全社で取り組む
- 4.まとめ
システムリプレイスの方法
システムリプレイスとは、社内で使用している古いシステムを新しいシステムへと入れ替えることです。
最新のデジタル技術への対応や老朽化・ブラックボックス化の解消、保守運用にかかるコストの削減、セキュリティの強化などを目的に行われます。
システムリプレイスの実施方法は主に4つあり、それぞれ特徴が異なります。
▼システムプレイスの実施方法
一括移行方式 |
段階移行方式 |
並行移行方式 |
パイロット移行方式 |
|
移行期間 |
短い |
並 |
長い |
長い |
コスト |
小 |
中 |
大 |
中 |
リスク |
大 |
中 |
小 |
中 |
①一括移行方式
一括移行方式は、現行のシステムを停止させてから移行作業を一度にまとめて行う方法です。
▼一括移行方式のメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
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②段階移行方式
段階移行方式は、業務単位・拠点単位などに分けて段階的に新たなシステムへ移行する方法です。
▼段階移行方式のメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
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③並行移行方式
並行移行方式は、現行のシステムと新しいシステムを同時に稼働させて、結果の比較を行ってから移行する方法です。新しいシステムの動作検証が確認されたタイミングで、最終的な移行を実施します。
▼並行移行方式のメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
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④パイロット移行方式
パイロット移行方式は、一部の部門で先行して新たなシステムへ試験的に移行を行う方法です。試験対象となるパイロット部門内での移行作業は、一括で行われます。
▼パイロット方式のメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
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システムリプレイスの進め方
システムリプレイスの方法によって細かなフローは異なりますが、基本的には以下の流れで進めます。
▼システムリプレイスの流れ
フロー |
概要 |
1.プロジェクトチームの発足 |
プロジェクトを遂行するチームを立ち上げる |
2.システム要件の定義 |
新しいシステムに求める機能や拡張性、既存システムの連携性などを定義する |
3.移行計画の策定 |
システムリプレイスを実施するスケジュールやフロー、移行するデータ・機能を定める |
4.システムの開発または選定 |
システム要件に沿って新しいシステムの開発または選定を行う |
5.リハーサル |
システムの移行計画に沿ってリハーサルを行い、トラブルの有無や改善点を確認する |
6.システム移行の実施 |
本番移行を行う |
プロジェクトチームを発足する際は、情報システム部門だけでなく実際にシステムを利用する業務部門の従業員を加えるとともに、各担当者の役割を定めます。現状のシステムで生じている課題やニーズを基にシステムの要件を定義します。
また、新しいシステムへ移行する際は、旧新システム間でデータの整合性を確保できているか確認する必要があります。
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システムリプレイスを実施する際のポイント
システムリプレイスを実施する際は、経営戦略や現場の声を踏まえたうえで全社的に取り組むことが重要です。
①経営戦略を踏まえて実施する
システムリプレイスは、経営戦略を踏まえて実施する必要があります。
経営戦略を踏まえて「何のために新しいシステムに切り替えるのか」「どのような効果につなげたいのか」といったシステム刷新の計画を立てることで、経営課題の解決やDXの推進につなげられます。
②従業員の業務環境を踏まえて要件定義を行う
新しいシステムの要件を定義する際は、従業員の業務環境で生じている課題を洗い出すことがポイントです。
従業員の業務環境を考慮せずに要件を定義すると、必要な機能が不足したり、リプレイスの移行段階で要件の追加が発生したりする可能性があります。
要件定義の段階から実務をしている従業員の声を取り入れておくことで、現場の課題に即したシステムの要件を的確に具体化できます。
▼要件定義を行う際の確認ポイント
- 社内横断的かつリアルタイムでデータの共有ができるか
- 維持管理に関する技術的・費用的な負担を軽減できるか
- システムに応じて業務フローの標準化・効率化を図れるか
- 利用頻度が低い、または利用しない機能を統合・廃棄できないか
- セキュリティポリシーに沿って運用できるか
③全社で取り組む
経営層や現場と連携して、全社でシステムリプレイスのプロジェクトに取り組む必要があります。システムリプレイスを行うと、現在の業務フローが変わったり、操作方法を新たに覚えたりする必要があることから、従業員の理解を得られない場合があります。
また、経営層が強く必要性を感じていない場合には、システムリプレイスを行う人材や予算の確保が進まないことも考えられます。
システムリプレイスを行う目的・意義・重要性などを周知して、経営層や現場の理解を得ることが重要です。社内の情報システム部門だけで対応が難しい場合には、現場への周知や理解の浸透を社内で取り組み、システムの構築・移行作業をITアウトソーシング(業務代行)することも有効です。
ただし、システムの構築を外部の専門事業者に依頼する場合にも、任せきりにせずに自社で主体的に取り組む必要があります。
まとめ
この記事では、システムリプレイスについて以下の内容を解説しました。
- システムリプレイスの方法
- システムリプレイスの進め方
- システムリプレイスを実施する際のポイント
システムリプレイスには、一括移行方式・段階移行方式・並行移行方式・パイロット移行方式の4つの方法があります。移行方式によって所要期間やランニングコスト、トラブルの影響範囲などが変わるため、現在の運用状況とリスクを踏まえて検討することが重要です。
また、システムリプレイスを実施する際は、経営戦略を踏まえつつ、要件定義の段階から現場の声を取り入れて全社で取り組むことがポイントです。
ただし、システムリプレイスに伴って既存の運用体制が変わるため、社内の理解を得て浸透させるためのフォローが必要になります。自社ですべての工程に手が回らない場合には、社内のフォローを社内の情報システム部門で行い、システムの構築・移行作業についてはITアウトソーシングを活用することが有効です。
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