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業務棚卸で生産性の向上を目指す! 実施のメリットとスムーズな進め方

少子高齢化に伴って人手不足が深刻化している今、業務の効率化や働き方改革の推進によって生産性の向上を図ることが企業の重要な課題の一つとなっています。現状の業務課題を可視化して、改善策を検討するために役立つのが“業務棚卸”です。

管理部門の担当者のなかには、「業務棚卸を実施するとどのようなメリットがあるのか」「どのような流れで進めるとよいのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、業務棚卸を行うメリットや進め方について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.業務棚卸とは
  2. 2.業務棚卸を行うメリット
    1. 2.1.非効率な作業・業務フローを把握できる
    2. 2.2.人員配置や作業配分を適正化できる
    3. 2.3.業務の属人化を防止できる
  3. 3.業務棚卸のスムーズな進め方
    1. 3.1.①業務棚卸を行う範囲を設定する
    2. 3.2.②業務を洗い出す
    3. 3.3.③業務の仕分けを実施する
    4. 3.4.④分析を行い、改善策を検討する
  4. 4.業務だけでなくIT資産棚卸も重要
  5. 5.まとめ


業務棚卸とは

業務棚卸とは、企業全体や各部門、各従業員が行っている業務を洗い出して可視化・整理することです。作業内容・作業時間・コストなどの軸で業務を洗い出すことで、現状の業務課題や問題点を把握して改善につなげられます。

業務棚卸を実施する目的には、以下が考えられます。


▼業務棚卸の目的

  • 長時間労働の是正のために負担が大きい業務を把握する
  • IT活用で効率化・自動化を図れる業務がないか確認する
  • リモートワークの導入に向けて部門間・チーム間でのワークフローを明確化する
  • 作業内容・手順のばらつきを把握して標準化を図る



業務棚卸を行うメリット

業務棚卸を行うことによって、業務の効率化や標準化を図り、生産性の向上につなげられます。


非効率な作業・業務フローを把握できる

業務棚卸を実施すると、非効率な作業・業務フローを可視化することが可能です。

現状の問題点を明らかにすることで、業務の効率化に向けて業務フローの見直しやITの活用などを検討できます。


▼把握できる問題点

  • 重複作業や重要度の低い定型業務
  • 対応に時間を要している業務フロー
  • 従業員による作業内容・手順のばらつき


人員配置や作業配分を適正化できる

業務棚卸を行うと、人員配置や作業配分の適正化を図れます。

従業員一人ひとりが対応している業務内容・作業量・作業時間を明らかにすることで、業務の偏りや重複を解消して長時間労働の是正、業務負担の軽減につなげられます。


▼人員配置や作業配分の調整例

  • 残業が多い従業員の業務をチーム内で分散する
  • 業務ごとの作業時間を踏まえて従業員のタスク・リソースを平準化する
  • リソースが不足している業務の担当者を増やす


業務の属人化を防止できる

従業員が個別に対応している業務内容や関連業務全体のフローが可視化されると、業務の属人化を防げます。

業務マニュアルを作成して標準化していれば、急な欠勤や退職が起きた場合にも、ほかの担当者が継続して業務を行えるようになります。

なお、情報システム部門が対応する業務の引き継ぎに関する課題については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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業務棚卸のスムーズな進め方

業務棚卸を実施する際は、現状の業務を洗い出して、一つひとつの作業を粒度に合わせて仕分けする必要があります。ここからは、業務棚卸をスムーズに進める流れについて解説します。


①業務棚卸を行う範囲を設定する

業務棚卸を行う際は、始めに実施範囲を設定する必要があります。

社内の業務を一度にすべて洗い出すには、労力・時間がかかります。目的や課題に応じて実施範囲を設定することで、業務改善につながる業務棚卸を行えます。


▼実施範囲を設定する基準

  • 部門や業務内容ごと
  • 業務の種類や業務フローごと
  • 業務の重要度


②業務を洗い出す

業務棚卸の実施範囲を定めたら、一つひとつの業務内容や作業を洗い出します。

業務を洗い出す際は、以下の情報を記載できる業務棚卸表を作成しておくと可視化・整理がしやすくなります。


▼業務棚卸表に記載する項目

  • 業務の種別
  • 業務に含まれる作業内容・工数
  • 部署・担当者
  • 実施頻度
  • 作業時間 など


なお、業務を洗い出す際に作業手順レベルまで棚卸をしようとすると、非常に時間がかかります。業務の棚卸と作業手順の可視化は、ある程度切り分けて進めることが大切です。


③業務の仕分けを実施する

業務の洗い出しが終わったら、作成した業務棚卸表を利用して業務の仕分けを行います。

業務の仕分けを行う際は、業務の粒度を揃えるために大分類・中分類・小分類の3つの作業に分類することがポイントです。


▼業務の粒度を揃えるための分類方法

分類法
概要
具体例
大分類
企業の業務を大まかに分ける
システム運用管理
中分類
部門で対応する業務内容を記載する
情報セキュリティ管理、ヘルプデスク、IT資産管理 など
小分類
従業員が行う作業を記載する
ログの監視・管理、バージョン管理、ユーザー認証の設定、アクセス制限 など


④分析を行い、改善策を検討する

記入した業務棚卸表を基に、業務の集計と分析を行います。

非効率または負担の大きい作業・業務フローがある場合には、重要度や緊急性に応じて優先順位をつけて改善策を講じます。


▼分析によって確認するポイント

  • 担当者によって作業時間にばらつきが生じている業務がないか
  • 実施頻度が高く、負担も大きい定型的なノンコア業務がないか
  • 重複している作業や複数回のやり取りが発生する業務フローがないか



業務だけでなくIT資産棚卸も重要

業務棚卸と併せて実施したいのが、IT資産棚卸です。IT資産棚卸とは、企業が所有するパソコンやソフトウェア、IT関連機器などの利用状況を把握して管理することです。


▼IT資産棚卸の対象

領域
対象
ハードウェア
パソコン
スマートフォン
サーバ
USBメモリ
プリンター
スキャナー など
ソフトウェア
アプリケーションソフトウェア
OS
ライセンス
ソフトウェアを使用する権利


定期的にIT資産棚卸を行うことで、以下のメリットが期待できます。


▼IT資産棚卸を実施するメリット

  • IT機器やライセンスの不要な調達・購入を防いでコストを削減できる
  • システムやソフトウェアの更新状況を把握して、セキュリティの脆弱性を修正できる
  • ライセンス数とインストール数を突き合わせて、ライセンスの使用契約違反を防げる
  • 従業員が使用する端末を把握・管理して、シャドーITを防げる


IT資産棚卸を行う際には、台帳を作成して管理する方法のほか、専用のIT資産管理ツールを用いる方法があります。

社内のIT資産棚卸は、一般的に情報システム部門または管理部門で行いますが、企業によっては人員が不足している場合も考えられます。現場の負担を抑えて効率的に実施するには、ITアウトソーシング(業務代行)の活用も有効です。

IT資産管理については、こちらの記事で詳しく解説しています。

  IT資産管理の必要性について。 管理対象や効率化するための方法とは IT資産管理とは、企業が保有するパソコンやソフトウェア、サーバなどのIT資産の状況を把握して管理することを指します。 ICT技術の進展によってクラウドサービスの活用やテレワークの導入が広がる今、企業が保有するIT資産の数・種類は増加しつつあります。安全な環境で円滑に業務を行うためには、「誰がどのような端末を使用しているのか」を適切に管理することが重要です。 企業の情報システム部門(以下、情シス)や管理部門では、「IT資産管理はなぜ必要なのか」「効率的に行うにはどうすればよいのか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。 この記事では、IT資産管理の必要性と管理対象、課題、効率化する方法などについて解説します。 株式会社FGLテクノソリューションズ


※会社の許可を得ていないパソコンやアプリケーションなどを従業員が自己判断で業務に使用すること。



まとめ

この記事では、業務棚卸について以下の内容を解説しました。


  • 業務棚卸の目的
  • 業務棚卸を行うメリット
  • 業務棚卸のスムーズな進め方
  • IT資産棚卸のメリット


業務棚卸を行い、各部門・各担当者の作業内容や作業時間、コストなどを明らかにすることで、非効率または負担の大きい作業・業務フローを可視化して改善につなげられます。

実施する際は、業務棚卸を行う範囲を定めたうえで一つひとつの作業を洗い出して、粒度を揃えて仕分けすることがポイントです。一度にすべての業務を見直すことは難しいため、重要度や緊急性を踏まえて優先順位をつける必要があります。

また、業務棚卸に加えてIT資産棚卸を実施することも重要です。IT資産の数や範囲が広く、管理が複雑化・煩雑化しているという方は、IT資産管理ツールの導入やITアウトソーシングの活用が有効です。

FGLテクノソリューションズ』のICT資産管理のサービスでは、社内のパソコンをはじめ、モバイル端末やサーバなどのさまざまなIT資産管理を代行しております。

サービスの詳細については、こちらから資料をダウンロードしていただけます。

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