
システム障害はなぜ起きる? 主な原因と発生を防ぐためのポイントとは
企業が運用するシステムは、効率的な業務の遂行や安定した事業活動において欠かせない存在となっています。
しかし、システム障害が発生した場合には、業務を継続できなくなることで生産性の低下や事業活動の機会損失につながるリスクがあります。
企業のITインフラを支える情報システム部門(以下、情シス)や管理部門においては、システム障害が発生する原因を踏まえたうえで安定稼働に向けた対策を講じることが必要です。
この記事では、システム障害が起きる原因や対応フロー、障害の発生を防ぐための対策のポイントについて解説します。
障害対応にお困りの方は、こちらの資料も併せてご確認ください。
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システム障害が起きる原因
システム障害が起きる原因は、内部要因と外部要因の大きく2つに分けられます。
内部要因
内部要因のシステム障害では、開発設計段階での不備や従業員の利用状況、情シスによるITインフラの管理方法などが関係しています。
▼内部要因の例
- システム統合や改修による不具合
- ヒューマンエラー
- アクセスの集中や容量不足
- ハードウェアの経年劣化
- OSやアプリケーションのパッチ(※)の適用漏れ など
システム統合や改修を行う際に、開発設計やプログラムの設定などに不備があると、正常に動作しない可能性があります。また、システム運用管理において各種設定や操作を誤ることで、サーバやソフトウェアの障害が発生するケースも見られます。
そのほか、アクセス集中によるネットワークの負荷やハードディスクの容量不足で処理が追いつかなくなることも内部要因の一つです。長期間経過しているハードウェアは、経年劣化による故障も起こりやすくなります。
※パッチとは、システムやアプリケーションなどの脆弱性やエラーを修正するためのファイルのこと
外部要因
外部要因のシステム障害は、社内の関係者ではない悪意のある第三者による攻撃や自然災害などによって引き起こされます。
▼外部要因の例
- 自然災害によるハードウェアの破損・故障
- サイバー攻撃 など
自然災害が発生して社内に構築した物理的なサーバやネットワーク機器が破損・故障すると、システムを利用できなくなります。
また、セキュリティの脆弱性を狙ったサイバー攻撃で、システムへの不正アクセスやマルウェアの感染などが起こり、システム障害が発生するケースがあります。
システム障害が発生した際の対応フロー
システム障害による被害を最小限に抑えるには、速やかな初動対応と原因の調査を行い、復旧作業につなげることが求められます。
▼システム障害への対応フロー
対応フロー |
行うこと |
1.事象の調査・確認 |
障害の現象や発生時刻、業務・サービス・インフラへの影響などを調査・確認する |
2.一次展開 |
障害が発生した箇所や状況について責任者と影響あるユーザーに報告する |
3.二次展開 |
障害の内容や影響範囲を詳しく調査して、責任者・関係者に復旧の見込み時間を報告する |
4.原因の調査・特定 |
監査ログやレポートなどを解析して障害の原因を特定する |
5.復旧作業 |
バックアップや作業ログを記録しながら復旧作業を行い、時間を要する場合は暫定措置を講じる |
システム障害が起きたときの初動対応や復旧作業の役割・手順については、マニュアルを作成・共有しておく必要があります。また、障害に関する情報はナレッジとして社内に蓄積して、再発防止策につなげることも重要です。
障害対応の詳細なフローについては、こちらの記事で解説しています。
システム障害の発生を防ぐためのポイント
システム障害の発生を防いで安定稼働を実現するには、システム構成の見直しや異常を検知する仕組みづくり、定期的な点検・メンテナンスの実施などが必要です。
➀サーバやネットワークの冗長化
システムの可用性を高めるための手法の一つに、サーバやネットワーク、ストレージなどの冗長化が挙げられます。
冗長化とは、常時使用するサーバやネットワークとは別に、同じリソースを備えた予備のシステムを構築する手法です。
サーバへのアクセス集中による負荷やハードウェアの故障などが発生した際に予備のシステムに切り替えることで、業務を継続できるようになります。
システム構成を冗長化する際には、物理的な構築方法のほかにクラウドサービスを利用する方法があります。クラウド化のメリット・デメリットや移行の流れについては、こちらの記事をご確認ください。
②システム監視による障害の検知
システム監視を実施して障害を検知する仕組みが必要です。
サーバ・ネットワーク・アプリケーションなどの稼働状況を監視して異常をいち早く検知することで、障害発生時の初動対応を迅速に行えるようになります。
これにより、業務の中断やサービスの提供停止などの影響を最小限に抑えられます。また、ハードウェア障害の発生を予見することで予防保守を行うことが可能です。
▼システム監視の主な種類
種類 |
概要 |
死活監視 |
サーバ・ネットワーク機器に送ったPINGの応答や、指定したPort番号の通信可否の確認によって正常な稼働を判別する |
リソース監視 |
CPU・メモリ・ストレージなどのリソースの動作状況を監視して、ハードウェアの動作やパフォーマンスを確認する |
ログ監視 |
ハードウェアやソフトウェアのログ記録を監視して、異常な挙動や通信を確認する |
プロセス監視 |
サーバ上に存在するデータベースやアプリケーションの動作を監視して、不具合やパフォーマンスの問題を確認する |
外形監視 |
システムユーザーと同じアクセス環境で動作を確認する |
システム監視ツールを導入すると、リアルタイムで稼働データを取得して異常の予兆検知や障害の検出、管理者へのアラート通知などを自動化することが可能です。
システム監視の対象や注意点については、こちらの記事をご確認ください。
③定期的な点検・メンテナンスの実施
システムのパフォーマンス低下や障害を未然に防ぐには、ITインフラの定期的な点検・メンテナンス、セキュリティ対策などが求められます。
▼点検・メンテナンスで実施すること
- ソフトウェアのアップデート
- CPUやメモリなどのリソース使用状況の確認と改善策の実施
- バックアップ環境の定期的な確認
- システムの脆弱性診断とリスクに応じた対策の実施
- 障害訓練(アラートの確認・予備機への切替・連絡手順の確認)の実施 など
情シスが知っておきたいセキュリティ対策の方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
④運用管理ツールやITアウトソーシング(業務代行)の活用
情シス・管理部門が手動で行ってきた運用管理の業務を、ツールまたはITアウトソーシング(業務代行)に移行することも対策の一つです。
運用管理ツールやITアウトソーシングを活用することで、各種設定のミス・漏れや誤操作などのトラブルを防ぎ、安定稼働につながります。
なお、ITインフラの運用管理業務を外部に委託するITアウトソーシングについては、こちらをご確認ください。
まとめ
この記事では、システム障害について以下の内容を解説しました。
- システム障害が起きる原因
- システム障害が発生した際の対応フロー
- システム障害の発生を防ぐためのポイント
業務や事業活動にシステムの活用が欠かせなくなった今、システム障害への対策がより一層重要となっています。
システム障害を防ぐには、可用性を高められるシステム構成への見直しや異常を検知する仕組みづくり、定期的な点検・メンテナンスの実施などが必要です。また、いずれの施策も「システム障害は起こるものである」ということを前提に行うことが求められます。
『FGLテクノソリューションズ』では、ITインフラの運用管理や保守、障害対応などに関する業務代行を承っております。情シス・管理部門による業務負荷を軽減して企業の安定したシステム運用を支えます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。