
システム運用管理の重要性。基本の業務内容と効率化を図るポイントとは
※2025年6月11日更新
情報通信技術の急速な浸透によってデジタル化が進む今、企業のITインフラを構成する“システム”は円滑な事業活動のために欠かせない存在となっています。
社内に構築したシステムを安定稼働させて、不具合や障害などのトラブルへ迅速に対応するためには、システム運用管理を行うことが重要です。
しかし、管理するシステムの領域が広域にわたることやIT人材の不足などを理由に、システム運用管理の負担が大きくなっている現場もあると考えられます。
企業の情報システム部門や管理部門では「システム運用管理の業務を見直したい」「担当者の業務負担が大きいため、効率化を図りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、システム運用管理の重要性や基本的な業務内容、効率化を図るポイントについて解説します。
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目次[非表示]
- 1.システム運用管理とは
- 2.システム運用管理の重要性
- 2.1.可用性の確保
- 2.2.IT資産運用の最適化
- 2.3.機密データの保護
- 2.4.生産性の向上
- 3.システム運用管理の領域と業務内容
- 4.情シスが抱えるシステム運用管理の問題
- 5.システム運用管理の効率化を図るポイント
- 5.1.①IT資産を一元管理する
- 5.2.②基幹システムを統合する
- 5.3.③システム障害への一次対応を自動化する
- 5.4.④ツールを活用して業務を標準化・自動化する
- 5.5.⑤ITアウトソーシング(業務代行)を活用する
- 6.まとめ
システム運用管理とは
システム運用管理とは、社内に構築したシステムが不具合やトラブルなどによって停止・故障しないように稼働状況を管理することです。
主に以下のような対応を行い、システムが安定稼働するように継続的に運用・管理を行います。
▼システム運用管理の対応
- 劣化状況やスケジュールを踏まえた点検とメンテナンスの実施
- アクセス状況の増加やセキュリティリスクなどの監視
- システム障害が発生した場合の復旧対応 など
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システム運用管理の重要性
システム運用管理は、社内システムの可用性を確保するために重要です。また、IT資産運用の最適化や機密データの保護、生産性の向上にもつながります。
可用性の確保
システム運用管理は、ネットワークやサーバ、業務システム、アプリケーションなどを安定して稼働させるために重要な業務です。
社会全体でICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の利活用が進むなか、企業でもデジタル化が進展しており、業務データの管理や関係者とのやり取りなどでさまざまなシステムが用いられるようになりました。
システムは事業活動の基盤となるITインフラの一部となるため、不具合や故障などによって正常に稼働しなくなると、業務の停止による労働生産性の損失や、関係者とのトラブルにつながるおそれがあります。
IT資産運用の最適化
システム運用管理の業務には、自社で運用するITインフラにおけるIT資産の管理が含まれます。また、システムに関連する備品や消耗品の管理も行います。
ハードウェアやソフトウェア、ライセンスなどの管理によって、これらの運用を最適化することが可能です。
なお、IT資産管理についてはコチラの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
機密データの保護
システム運用管理を実施することで、社内で扱う機密データの保護につながります。
近年ではシステムやネットワークの脆弱性を狙ったセキュリティ上のインシデントが発生しています。顧客情報や機密情報が漏えいすると、企業イメージの失墜や損害賠償などの経営にまで大きな影響を及ぼすリスクがあります。
▼脆弱性を狙ったセキュリティ上のインシデント
画像引用元:経済産業省『主なインシデント事例』
このようなリスクを防いで円滑な事業活動を続けるために、システム運用管理を継続的に実施することが重要と考えられます。
出典:経済産業省『主なインシデント事例』
生産性の向上
システム運用管理は、社内における生産性の向上に寄与します。
システム運用管理によって社内システムにおける可用性の確保や機密データの保護を行うことは、業務上の労働生産性の損失を防ぐために重要です。
また、IT資産運用の最適化によって不要な端末・ライセンスの購入を回避できるようになると、ITコスト投資が最適化されて生産性の向上につながります。
システム運用管理の領域と業務内容
システム運用管理の領域は、主にネットワーク管理・システム管理・業務運用管理の3つに分けられます。具体的な業務内容は、以下のとおりです。
①ネットワーク管理
ネットワークでは、社内にあるネットワーク関連設備の管理に加えて、障害対策やセキュリティ管理を行います。
▼ネットワーク管理の主な業務内容
業務内容 |
詳細 |
障害対策 |
障害の定義づけをして、ネットワーク障害の監視や復旧を行う |
セキュリティ管理 |
パスワードやアクセス権限を管理してセキュリティ対策を行う |
性能管理 |
ネットワークの性能を維持してシステムの稼働を安定させる |
設備管理 |
電源や空調、配線の管理を行う |
②サーバ管理
サーバ管理では、業務に使用するシステムが安定して稼働するようにIT機器やデータなどを管理します。
▼システム管理の主な業務内容
業務内容 |
詳細 |
基本運用 |
サーバや周辺機器の運用・管理を行う |
バックアップ対応 |
サーバや周辺機器のデータを保存・管理する |
資産管理 |
ハードウェアやソフトウェアの使用状況、コスト、ライセンスなどを管理する |
備品管理 |
IT機器関連の備品や消耗品の管理を行う |
③業務運用管理
業務運用管理では、ネットワーク管理とシステム管理の作業内容やスケジュールなどの業務そのものを管理します。
▼業務運用管理の主な業務内容
業務内容 |
詳細 |
スケジュール管理 |
メンテナンスや改修、点検などのスケジュールを管理する |
バックアップ管理 |
バックアップが計画どおりに作成されているかを確認する |
ユーザー管理 |
システムに登録されているユーザーの登録や削除を行う |
情シスが抱えるシステム運用管理の問題
システム運用管理を行ううえで、情シスではさまざまな問題を抱えているケースがあります。
▼情シスが抱えるシステム運用管理の問題
- IT人材やスキルの不足
- IT資産の多様化・増加
- 業務の属人化
- ノンコア業務の負担
- 障害対応の遅延 など
日本ではIT人材の数と質がともに不足しているとされます。特に近年ではAIやIoTなど最先端の技術によるIT資産の多様化が進んでおり、運用管理においては高度なスキルが必要です。スキルを持つ少人数の人材で業務を行うことで、業務の属人化につながります。
また、ノンコア業務が情シスの業務を圧迫していると、システム運用管理をはじめとするコア業務に専念することが難しくなります。
これらの要因によって情シスの業務負担が大きくなった場合、システム障害への対応が遅延する可能性が生じます。
システム運用管理の効率化を図るポイント
システム運用管理を効率化するには、IT資産の一元管理や基幹システムの統合を行ったうえで、これまで人の手で行ってきた業務の自動化や属人化していた作業の標準化を図ることがポイントです。
①IT資産を一元管理する
システム運用管理の効率化を図るには、IT資産の一元管理が欠かせません。
社内インフラにおけるIT資産を棚卸して一元管理することで、システムの状態を可視化できます。
システムの状態を可視化すると、非効率な管理フローを見直したり、部門・担当者間での業務の切り分けを行ったりできるようになり、より効率的な管理体制へと改善を図れます。
②基幹システムを統合する
各部門で運用されている複数の基幹システムを一つに統合することで、システム運用管理が行いやすくなり、担当者の業務負担や維持管理コストの削減につながります。
また、基幹システムの統合によって、企業全体での情報共有やデータの利活用が円滑化する効果も期待できます。
なお、システム統合についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
③システム障害への一次対応を自動化する
システム運用管理の効率化を図るために、障害が発生した際の一次対応を自動化する方法があります。
日頃からシステムのメンテナンスや改修を行っていても、不具合・故障などによって突発的な障害が発生することがあります。システム運用管理の通常業務に加えて予測できないシステム障害に対応していると、工数が増加したり、初動が遅れたりする可能性が考えられます。
システム障害が発生した際の一次対応を自動化することで、担当者の工数を抑えつつ迅速な復旧対応につなげられます。
▼システム障害への一次対応を自動化する例
- アラートメッセージを自動解析して、担当部署へ自動通知する
- 外部から攻撃を受けた際にファイアウォール(※)で遮断する
なお、システム障害対応のフローについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
※外部ネットワークからの攻撃や不正なアクセスからネットワーク・コンピュータを防御するためのシステム
④ツールを活用して業務を標準化・自動化する
情報システム部門や管理部門での対応が属人化している場合には、ツールを活用することも有効です。
システム運用管理には、幅広いシステムに対する専門的な知識・技術が求められるため、少ない人員で対応している場合には業務が属人化してしまうケースがあります。
ツールを活用して、システム運用管理で対応するさまざまな業務の標準化・自動化を図ることで、属人化が解消されて効率化につながります。
▼システム運用管理に役立つツールの例
ツールの種類 |
詳細 |
監視ツール |
システムを構成するITインフラの稼働状況を遠隔地から監視して、不具合や故障を検知する |
IT資産管理ツール |
ネットワーク内のハードウェアやソフトウェア、サーバなどのIT資産の利用状況を一元管理する |
統合運用管理ツール |
社内のシステム・ネットワーク・ソフトウェアなどを一元管理して、ITインフラの構成や性能、セキュリティなどを総合的に管理する |
⑤ITアウトソーシング(業務代行)を活用する
システム運用管理の領域は広く、専門的な知識・技術が求められます。社内で対応できるIT人材を確保するのが難しい場合には、ITアウトソーシング(業務代行)を活用することも一つの方法です。
ITアウトソーシングとは、IT分野に関わる社内業務を外部に委託することです。システム運用管理の定型的な業務を外部に委託することで、担当者の業務負担が削減されて、コア業務に注力できるようになります。
システム運用管理におけるITアウトソーシングの形態には、主に2つの種類が挙げられます。
▼ITアウトソーシングの形態
ITアウトソーシングの形態 |
詳細 |
ホスティング / クラウドサービス |
外部ベンダーのサーバやストレージを利用して、運用管理を同じベンダーに委託する |
オンプレミス |
自社で運用するネットワークやサーバの運用管理を委託する |
ITアウトソーシングの種類や活用メリットについては、こちらの記事で解説しています。
まとめ
この記事では、システム運用管理について以下の内容を解説しました。
システム運用管理の概要
システム運用管理の重要性
システム運用管理の領域と業務内容
情シスが抱えるシステム運用管理の問題
システム運用管理の効率化を図るポイント
社内のITインフラを正常に稼働させて安定した事業活動を継続するには、システム運用管理を実施して、定期的な点検・メンテナンスや監視、障害への迅速な対応を行うことが重要です。
システム運用管理の領域には、ネットワーク管理・システム管理・業務運用管理があり、対応する業務の内容も多岐にわたります。
業務における負担がかかりやすい情シスにおいてシステム運用管理を円滑に行うには、IT資産管理の一元化や基幹システムの統合、一次対応の自動化、ツールの活用などの施策によって効率化を図ることが欠かせません。また、システム運用管理に対応するリソースを社内で確保するのが難しい場合には、ITアウトソーシングを活用して定型的な業務を委託することも有効です。
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