IT基盤を構築するインフラエンジニアとは。人手不足の課題と対策も併せて解説
世界規模でデジタル化が加速する今、業務の効率化や生産性の向上、新たな価値の創出などに向けてITの利活用が行われています。
企業が持続的な事業活動を行うには、安定かつ強靭なIT基盤が求められます。そこで重要となる人材が“インフラエンジニア”です。
企業の情報システム(以下、情シス)部門や管理部門の担当者のなかには、「インフラエンジニアはどのような業務を担当するのか」「人材を確保するにはどうすればよいのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、インフラエンジニアの業務内容や人材に関する課題と対策について解説します。
目次[非表示]
- 1.IT部門のインフラエンジニアとは
- 2.インフラエンジニアの種類
- 3.インフラエンジニアが不足しやすい理由
- 4.インフラエンジニアの人材不足への対策
- 4.1.①人材の採用方法や条件を見直す
- 4.2.②教育制度を充実させる
- 4.3.③ITアウトソーシング(業務代行)を活用する
- 5.まとめ
IT部門のインフラエンジニアとは
インフラエンジニアとは、システムの基幹となるサーバやネットワークの設計・構築・運用・保守を行う技術者のことです。事業活動や日常業務の土台となるIT環境を整備して、システムを安定的に稼働させる重要な役割を担います。
▼インフラエンジニアの主な業務内容
業務内容 |
概要 |
要件定義 |
社内の要望をヒアリングしてシステムに必要な機能や仕様を決める |
インフラの設計・構築 |
ネットワークの構成や必要なIT機器などを決定した設計書を作成してインフラを構築する |
インフラの運用・保守 |
サーバ・ハードウェア・ソフトウェアの設定や更新、メンテナンス、セキュリティ管理などを行う |
障害対応 |
ネットワークを監視・記録して、障害発生時に復旧作業や原因究明を行う |
なお、同じくITに関する技術者に“システムエンジニア(SE)”がありますが、インフラエンジニアと担当する業務の分野が異なります。
▼インフラエンジニアとシステムエンジニアが担当する分野
技術者 |
担当分野 |
インフラエンジニア |
システムの基盤となるサーバやネットワークの運用管理に関する業務 |
システムエンジニア |
ソフトウェアやアプリケーションなどのシステム全般の開発業務 |
情シス部門と社内SEの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
インフラエンジニアの種類
インフラエンジニアの職務には、対応する業務の領域に応じて3つの種類があります。
▼インフラエンジニアの種類と業務の領域
種類 |
業務の領域 |
サーバエンジニア |
メールサーバ・Webサーバ・ファイルサーバなどのサーバの構築と運用・保守を行う |
ネットワークエンジニア |
物理的なネットワーク環境を設計して機器の選定や接続設定を行う |
セキュリティエンジニア |
ソフト・ハードの両方でセキュリティ対策を行う |
物理的なサーバではなくクラウド上でサーバを構築・管理するエンジニアは“クラウドエンジニア”と呼ばれることもあります。
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インフラエンジニアが不足しやすい理由
内閣官房がまとめた資料『デジタル人材の育成・確保に向けて』によると、国内企業の約9割がIT人材の質・量ともに不足を感じていると報告されています。
なかでもインフラエンジニアが不足しやすい理由には、以下が考えられます。
▼インフラエンジニアが不足しやすい理由
- 業務負担が大きく社内リソースが不足する
- 対応業務に専門性が求められる
- 業務の分業化によってエンジニアのスキルが分散している
インフラエンジニアは、IT環境やシステムを安定的に稼働させる役割を担っており、業務内容の範囲が広いことが特徴です。ネットワーク障害やシステムエラーなどが発生すると、深夜・休日を問わず対応を求められる場合もあります。
少人数で対応している場合には担当者の業務負担が大きくなり社内リソースが不足しやすくなります。
また、インフラエンジニアは業務の専門性が高く、ITや情報セキュリティに関する知識と技術的なスキルが必要です。専門的なスキルを持つ人材を自社で育成・確保できないことにより、人材不足を招いているケースも少なくありません。
さらに、IT部門による過重労働を避けるために、エンジニアのスキル分散化が行われている職場があります。異なる領域での業務を同時にこなせるIT人材を確保するのは難しいほか、個別に採用するにはコストがかかってしまいます。
出典:内閣官房『デジタル人材の育成・確保に向けて』
インフラエンジニアの人材不足への対策
インフラエンジニアは、事業活動や業務を継続するうえで重要な役割を担う一方で、専門的なスキルを持つIT人材の確保は難しい状況にあります。
IT人材に関する課題に対応するには、採用方法や育成体制の見直し、外部のリソース活用などの対策を検討することが必要です。
①人材の採用方法や条件を見直す
採用条件や採用対象を広げて、より多様な人材を採用する方法があります。
即戦力を求めるあまり採用条件を厳しく設定したり、採用窓口が限られていたりする場合、優秀なインフラエンジニアとの接点を得る機会を逃してしまうことがあります。
幅広い採用方法を取り入れるとともに、採用市場を考慮した条件で求人活動を行うことでインフラエンジニアの採用につながる可能性が期待できます。
▼採用方法や条件の見直し例
- 入社後の社内教育を前提とした未経験者を採用する
- 外国籍の技術者を採用する
- 採用年齢を引き上げる
- フレックスやリモートなど多様な働き方での募集を行う
- SNSや転職サイトでの募集またはスカウトを行う など
②教育制度を充実させる
既存のIT人材に対するスキルの強化や、ほかの業務部門の担当者に対するリスキリングを実施して、インフラエンジニアの不足を解消する方法も考えられます。
インフラエンジニアとして現場で活躍するには長期的な育成計画が必要になりますが、自社の人材を資本化して持続的な成長を図れるメリットがあります。
人材育成のリソースがない、またはスキルを持つ指導者がいない場合には、外部の研修や育成プログラムを活用することが有効です。
▼IT人材育成のための教育制度
- 社内での勉強会
- eラーニング
- 外部の講師を招いた講習会
- 外部の研修・セミナー
- 資格取得のサポート など
なお、IT人材の育成に取り組むステップについてはこちらで詳しく解説しています。併せてご確認ください。
③ITアウトソーシング(業務代行)を活用する
インフラエンジニアの採用や自社での育成が難しい場合は、ITアウトソーシング(業務代行)を活用することも一つの方法です。
自社が抱える人材の課題に応じて必要な業務を委託できるほか、専門会社が持つ知識・スキルを生かした運用体制を構築することが可能になります。
▼インフラエンジニアの委託業務例
- ネットワーク環境の設計・構築・移転
- サーバのシステム設計・構築
- ハードウェア・ソフトウェアの選定・調達
- パソコンやモバイル端末の導入・設置・キッティング
- 業務システムの導入 など
なお、IT人材不足への対策についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
この記事では、インフラエンジニアについて以下の内容を解説しました。
- IT部門におけるインフラエンジニアの業務内容
- インフラエンジニアの種類
- インフラエンジニアが不足しやすい理由
- インフラエンジニアの人材不足への対策
企業の持続的な事業活動には、IT基盤を構築・運用するインフラエンジニアの存在が欠かせません。しかし、国内のIT人材は多くの企業で不足しており、専門的な知識・技術を持つインフラエンジニアを確保することは難しくなっています。
インフラエンジニアの不足を解消するには、採用方法・条件を見直して採用対象の枠を広げるとともに、社内外での教育制度を充実させてスキルの習得・強化を促すことがポイントです。また、稼働が不足している業務をアウトソーシングすることも解決手段の一つです。
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