IT人材のスキルアップを図るには? 効率的な3つの方法
近年、AI・IoT・ビッグデータ活用などの先端技術の進展によってIT人材に求められるスキルは変化しており、IT人材が生み出す付加価値の差異が大きくなる傾向も見られています。
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)(※)を実現して競争上の優位性を確立するには、先端技術に対応できるIT人材を確保することが重要です。
一方、先進技術や情報セキュリティの分野についてはIT人材の供給が限られており、今後は需給ギャップが拡大すると見込まれています。
企業の情報システム(以下、情シス)部門・管理部門においては、「IT人材のスキルアップを図るにはどうすればよいのか」「効率的にスキルアップを目指すポイントを知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、IT人材のスキルアップを図る効率的な方法や実践のポイントについて解説します。
※デジタル技術やデータの利活用を通してビジネスモデルの変革を図り、市場における競争優位性を確保すること
なお、IT人材の不足についてはこちらの記事で解説しています。
目次[非表示]
- 1.IT人材のスキルアップを図る効率的な方法
- 1.1.➀資格を取得するサポートを行う
- 1.2.②社内で勉強会やOJTを実施する
- 1.3.③社外のセミナーを活用する
- 2.IT人材のスキルアップに取り組むポイント
- 2.1.キャリアパスを提示する
- 2.2.習得してもらいたいスキルを明確にする
- 2.3.現在のスキルレベルを把握する
- 3.まとめ
IT人材のスキルアップを図る効率的な方法
情シス部門・管理部門に携わるIT人材のスキルアップを図るには、新たな知識・技術を効率的に学べる機会や勉強時間を確保することが求められます。
➀資格を取得するサポートを行う
企業側でITに関する資格の取得をサポートする方法があります。
ITに関する資格にはさまざまな種類があり、習得する知識・技術の分野も多岐にわたります。なかでも国家資格として位置づけられている代表的な資格には、以下が挙げられます。
▼ITに関する代表的な国家資格
資格名 |
概要 |
基本情報技術者試験 |
システムエンジニア(SE)やプログラマーに求められる基礎的な知識・技術を評価する資格 |
応用情報技術者試験 |
ITを活用した戦略立案やシステムの企画・要件定義、運用管理などの応用的な知識・技術を評価する資格 |
情報処理安全確保支援士試験 |
企業や組織に求められるサイバーセキュリティに関する専門的な知識・技術を評価する資格 |
ネットワークスペシャリスト試験 |
ネットワークの設計・構築・保守運用に関する高度なIT知識・技術と実践能力を評価する資格 |
システムアーキテクト試験 |
システム開発の上流工程を主導的に実施する知識・技術と実践能力を評価する資格 |
AWS(Amazon Web Service)認定(※1)
|
Amazonが提供するクラウドサービス『AWS』に関する知識・スキルを評価する資格 |
Microsoft認定資格(※2)
|
Microsoft製品に関する知識・スキルをレベル別に評価する資格 |
企業が資格の取得をサポートする際は、従業員がモチベーションを持って自主的に取り組めるように金銭的な補助や勉強時間を確保できるようにフォローするといったサポートが重要です。
▼資格の取得に向けたサポートの例
- 教材を提供する
- 資格専門スクールの受験料を補助する
- 業務時間帯の一部に資格の勉強時間を設ける
- 資格を取得した従業員の勉強方法を紹介する
- 資格を取得した場合の報奨金を設定する など
資格の取得に向けた学習を促すことで、ITに関する知識やスキルを体系的に整理しやすくなるほか、専門分野について重点的に学べるため、効率的なインプットにつながると期待できます。
※1・・・AWSおよびAmazon Web Servicesは、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の米国およびその他の国における商標です。
※2・・・Microsoft認定試験はマイクロソフトグループの商標です。
②社内で勉強会やOJTを実施する
ITに関する知識・技術を有する人材が社内にいる場合には、勉強会やOJTを実施して新たなスキルの習得を図ることも有効です。
現場で働く情シスや管理部門の担当者が指導することにより、自社のIT関連業務に対する実践的な知識・技術を効率的に学べる利点があります。また、指導担当者に関しても、勉強会のための資料を作ることや知識・技術を分かりやすく教えることは、スキルアップにつながります。
加えて、社内で教育プログラムを実施すると「勉強会で教わった技術をOJTで実践する」といったインプットとアウトプットのサイクルを回しやすいため、理解の促進と定着につながりやすいと考えられます。
▼勉強会やOJTを実施するポイント
- 座学研修だけでなく質問やトレーニングの時間を設ける
- 知識・スキルの習得レベルを管理して従業員に合ったフォローを行う
- 資料やマニュアルを共有して学習後の振り返りを行えるようにする など
なお、社内で勉強会やOJTを実施する際には、指導者の負担につながったり、現場業務に支障をきたしたりする可能性があります。日常業務を踏まえたうえで、タスクの配分や研修のスケジュールを調整することが重要です。
③社外のセミナーを活用する
IT人材の育成を目的とした社外のセミナーを活用することも一つの方法です。
新たに知識を習得したいIT分野やスキルの強化を図りたい技術など、目的に合わせて参加するセミナーを選べるため、習得までのスピード向上につながります。社内で指導者を確保することが難しい場合にも有効です。
▼セミナーの活用例
- SIベンダーのウェビナーやハンズオンセミナーを受講して実務面のスキルを強化する
- ITソリューションを提供する販売会社のセミナーを受講して、IT市場の現状を把握する など
なお、社外のセミナーに参加すると自社以外のさまざまな職種の人と交流が生まれやすくなり、ITに関する有益な情報収集につながることも期待できます。
IT情報を収集する方法については、こちらの記事で解説しています。
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IT人材のスキルアップに取り組むポイント
IT人材のスキルアップを図るには、目標を踏まえて必要なスキルを明らかにするとともに、従業員のレベルに応じて教育やサポートを行うことがポイントです。
キャリアパスを提示する
IT人材のスキルアップに取り組む前に、従業員に具体的なキャリアパスを提示することが重要です。
企業側がキャリアパスを提示しないまま教育を進めると、従業員が将来のキャリアパスを描くことができず、スキルアップの指針が曖昧になってしまいます。
自社に求められる知識・技術や資格などを含めたキャリアパスを提示することで、中長期的な目標とゴールまでの道筋が明らかになり、従業員がモチベーションを維持しながら取り組めるようになります。
習得してもらいたいスキルを明確にする
従業員の育成計画を立てる際は、キャリアパスの最終目標を達成するために必要なスキルを明確にしておく必要があります。
従業員に習得してもらいたいスキルを明確にすることで、企業がサポートする資格の内容や研修のプログラム、セミナーのテーマなどを選定しやすくなります。
近年では、IT人材育成のニーズがあるスキルの分野として、主に以下が挙げられています。
▼IT人材育成のニーズがあるスキルの分野
- クラウド
- IoT
- 人工知能(AI)
- ビッグデータ・データサイエンス
- 情報セキュリティ など
現在のスキルレベルを把握する
従業員に習得してもらいたいスキルを明確にしたあとは、一人ひとりのスキルレベルを洗い出す必要があります。
スキルマップを作成して習熟度を可視化することで、目標地点とのギャップが明らかになり、習得が必要な知識・技術や経験が足りない実務などを把握できます。
▼スキルマップを作成するポイント
- 一つのスキルに求められる知識・技術を作業レベルで細分化する
- 知識・技術の粒度に合わせて大・中・小の階層に分ける
- 各スキルの習熟度を3~7段階に設定して具体的な評価基準を設定する
また、研修やセミナーなどで知識・技術をインプットしたあとは、定期的に習熟度を確認するテストを実施して、進捗状況に応じて教育プログラムの内容を調整することもポイントです。習熟度を確認するには、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ITスキル標準センターが提供している『ITスキル標準(ITSS)』を利用することもおすすめです。
まとめ
この記事では、IT人材のスキルアップについて以下の内容を解説しました。
- IT人材のスキルアップを図る効率的な方法
- IT人材のスキルアップに取り組むポイント
IT人材のスキルアップを図るには、企業が主体となって新たな知識・技術を効率的に学べる機会や勉強時間を確保することが求められます。
従業員がモチベーションを持って効率的に取り組めるように、キャリアパスを提示して目標と習得するスキルを明確にするとともに、習熟度に応じた教育やサポートを実施することがポイントです。
また、社内のIT人材について量・質の両方が不足している場合には、ITアウトソーシング(業務代行)でリソースを補うことも一つの方法です。
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