攻めのITとは。守りのITとの違いと転じるためのポイント
近年、デジタル化の進展やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に伴って、企業活動においてもITの活用が重要となっています。
企業活動にITを活用して競合他社との競争力を強化するためには、情報システム部門(以下、情シス)による“攻めのIT”が欠かせません。
情シスや管理部門の担当者のなかには、「攻めのITとはどのようなものなのか」「攻めのITに取り組むにはどうすればよいのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、攻めのITの概要や守りのITとの違い、取り組むステップ、ポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.攻めのITとは
- 2.守りのITとの違い
- 3.攻めのITが求められる理由
- 4.攻めのITに取り組む際の4ステージ
- 4.1.①IT技術の導入前
- 4.2.②置き換えステージ
- 4.3.③効率化ステージ(守りのIT)
- 4.4.④競争力強化ステージ(攻めのIT)
- 5.攻めのITに転じるためのポイント
- 6.まとめ
攻めのITとは
攻めのITとは、IT技術の活用によって既存のビジネスモデルの変革を行ったり、新たなビジネスの創出につながるIT戦略を立案したりすることです。
攻めのITを実施することでDXの推進が可能となり、競合他社に対する競争上の優位性を確立しやすくなると考えられます。
なお、攻めのITにつながるIT投資についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
守りのITとの違い
守りのITとは、既存業務の効率化やコスト削減を目的とするIT活用のことです。攻めのITは、既存のビジネスモデルの変更を行う点で守りのITと違いがあります。
攻めのITと守りのITの具体例は、それぞれ以下のとおりです。
▼攻めのITと守りのITの具体例
業務領域 |
具体例 |
攻めのIT |
|
守りのIT |
|
なお、守りのITについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
攻めのITが求められる理由
攻めのITが求められる理由として、“2025年の崖”と呼ばれる問題があります。2025年の崖とは、攻めのITによるDXの推進が遅れた場合において、2025年以降に予測されている経済損失のことです。日本全体での額は最大で年に12兆円にもなるとされます。
2025年の崖は、以下の要因によって生じると考えられます。
▼2025年の崖が生じる要因
- DXが実現できないことでデジタル競争に敗れてしまう
- 既存の老朽化したシステムの維持管理費が高額化して技術的負債となる
- 既存システムの保守運用を担える人材が足りなくなる など
2025年の崖が生じることを防ぐには、情シスにおいて守りのITだけでなく攻めのITも実施していくことが欠かせません。
なお、攻めのITに移行できない理由についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出典:経済産業省『DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~』
攻めのITに取り組む際の4ステージ
ITの活用には大きく分けて4つのステージがあるとされ、攻めのITは一番最後のステージに位置します。
攻めのITに取り組む際は、社内における現在のIT活用がどのステージにあるのかを把握したうえで、段階的に進めていくことが重要です。
①IT技術の導入前
IT技術が社内にまだ導入されていない段階です。業務をすべてアナログで行っているため、以下の課題が生じやすくなっています。
▼IT技術を導入していない場合の課題
- 連絡を電話・手紙・口頭で行うため、情報伝達が滞りやすい
- 帳簿や伝票がすべて紙で管理されていることで作業が煩雑になりやすい
- 過去のデータを探すのに時間や労力がかかる など
IT技術を導入して置き換えステージに進むことで、これらの課題の解決が期待できます。
②置き換えステージ
社内にITを導入して既存業務の一部をデジタルに置き換えた段階です。
▼既存業務の置き換え例
- 連絡を社内メールで行う
- 会計処理や給与計算などをパソコンで行う
- 資料を紙ではなくデジタルで作成する など
IT技術の活用によって導入前の課題を解決している一方で、既存業務の全体においてまだ効率化の余地があるといえます。
③効率化ステージ(守りのIT)
社内の業務フロー全体においてITを活用することで、生産性の向上や業務の効率化を実現した段階です。守りのITに該当し、日本の多くの企業がこのステージにあります。
しかし、自社の競争力を強化して2025年の崖に対応するためには、攻めのITへの転換を行って次のステージへと移行することが欠かせません。
④競争力強化ステージ(攻めのIT)
攻めのITによってビジネスモデルの変革・創出を行うことで、自社の競争力強化を図る段階です。
ただし、守りのITから攻めのITへとステージを進めるためには、顧客ニーズの見極めや社内全体での意識改革、業務プロセスの見直しなど、多岐にわたるフローが必要となります。
なお、攻めのITを推進する組織づくりについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
攻めのITに転じるためのポイント
守りのITから攻めのITに転じる際は、守りのITによって既存システムの運用・保守を続けながら、攻めのITへ向けたフローも同時に進めていくことが求められます。
しかし、近年では日本全体でIT人材が不足していることから、攻めのITに転じるための社内リソースを確保することが難しいケースも考えられます。
社内でIT人材を十分に確保できない場合には、ITアウトソーシング(業務代行)の活用が有効です。
攻めのITそのものは経営戦略に直結することから内製が望ましいものの、守りのITについては外注で補うことが可能です。守りのITを外注に任せることで、自社の情シスが攻めのITに専念できるようになると期待できます。
まとめ
この記事では、攻めのITについて以下の内容を解説しました。
- 攻めのITの概要
- 守りのITとの違い
- 攻めのITが求められる理由
- 攻めのITに取り組む際の4ステージ
- 攻めのITに転じるためのポイント
攻めのITとは、IT技術の活用によってビジネスモデルの変革・創出を行い、競合他社との競争における優位の確保を図ることです。情シスにおいては2025年の崖の問題もあり、守りのITから攻めのITへの転換が重要となっています。
守りのITによって既存システムの保守運用を続けながら攻めのITに取り組むには、人的リソースの確保が欠かせません。社内でIT人材を確保しきれない場合には、ITアウトソーシングを活用する方法もあります。
『FGLテクノソリューションズ』では、情シス部門が対応する幅広い業務の代行を承っております。守りのITを代行することで、情シス担当者が攻めのITに注力できるようサポートします。
サービスの詳細については、こちらから資料をダウンロードしていただけます。