情報システム部門の仕事内容。“攻めのIT”を推進する組織づくりとは
※2024年8月21日更新
情報システム部門(以下、情シス)は、事業運営の基盤となるITインフラの運用・保守を行う重要な役割を担います。
近年では、デジタル化の進展やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によってあらゆる業界・分野でITの活用が進んでいます。情シスにおいてもITを活用した戦略的な取り組みとなる“攻めのIT”を推進する新たな役割が求められています。
一方で、デジタル技術に関する専門的な知識・スキルを持つIT人材が不足している企業が多いことも事実です。企業担当者のなかには、情シスをどのように運用していくか、業務領域の整理や組織づくりに悩まれている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、情シスの基本的な仕事内容と求められる知識・スキル、攻めのITを推進するポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.情シスの基本的な仕事内容
- 1.1.ITインフラの構築・保守運用
- 1.2.セキュリティ管理
- 1.3.社内システムの開発・導入
- 1.4.IT資産管理
- 1.5.社内ヘルプデスク
- 2.情シスに必要な知識・スキル
- 3.情シスに求められる新たなミッション”攻めのIT”
- 4.情シスが攻めのITを実現するステップ
- 4.1.①アナログな業務のデジタル化
- 4.2.②業務フロー全体へのIT導入
- 4.3.③ITを活用した競争力の強化
- 5.攻めのITに注力するポイントは“ITアウトソーシング(業務代行)”の活用
- 6.まとめ
情シスの基本的な仕事内容
情シスでは、業務の遂行や事業活動に必要なITインフラや社内システムを構築したり、安定稼働ができるように管理したりする対応を行います。また、セキュリティ管理やIT資産管理、社内ヘルプデスクなどITに関わる多様な業務も遂行します。
ITインフラの構築・保守運用
ITインフラの構築・保守運用では、ネットワーク・サーバの構築やIT機器の調達などを行って、業務を円滑に遂行できる環境を整備します。
また、システム障害やIT機器の故障、サイバー攻撃などを防ぐための保守・メンテナンスとセキュリティ対策を行うことも必要です。テレワークが浸透した今では、社内外で円滑にデータ通信を行えるクラウド環境の構築も求められます。
なお、ITインフラの環境整備については、こちらの記事をご覧ください。
セキュリティ管理
情シスが行う業務の一つとして、社内のセキュリティ管理が挙げられます。
社内のセキュリティを管理することで、サイバー攻撃やセキュリティ違反などのITにおける脅威から社内の機密情報やシステムを守れます。
▼セキュリティ管理の例
- セキュリティソフトを導入する
- データのバックアップを行う
- アクセス制限とネットワークの監視を行う
- 社内ににおけるデータ取り扱いのルールを定める など
なお、社内のセキュリティ対策についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
また、ランサムウェア対策についてはこちらの記事をご確認ください。
社内システムの開発・導入
業務に使用する社内システムの自社開発や汎用システムの導入などを行うことは、情シスの基本的な業務の一つです。導入するシステムの企画立案や要件定義、導入環境の整備、従業員へのトレーニングなども情シスの仕事となります。
ただし、社内にエンジニアが在籍していない場合には、外部のシステム開発事業者に依頼することもあります。
なお、社内システムの開発方法については、こちらの記事をご覧ください。
IT資産管理
社内で使用するサーバ・IT機器・ソフトウェア・アプリケーションなどのIT資産を把握して、バージョン管理や調達管理、ライセンス管理などを行います。
主に業務に使用するソフトウェアやアプリケーションを制限したり、不要なライセンスを把握して投資コストの削減を図ったりします。また、従業員が使用するパソコンのキッティングやシステムのID管理なども情シスが行うことが一般的です。
なお、IT資産管理の対象についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
社内ヘルプデスク
情シスでは、システムの操作方法やネットワークの不具合など、業務部門からの問い合わせに対応するケースもあります。不具合やエラーが発生した場合には、解決方法を伝えたり、現場に出向いて復旧作業を行ったりします。
また、簡易的かつ定型的な問い合わせ対応については、業務部門での自己解決を促すためにマニュアルの作成や社内FAQの整備などを行うことも業務の一つです。
社内ヘルプデスクの業務内容や課題についてはこちらの記事で解説しています。
情シスに必要な知識・スキル
情シスの業務においては、ITに関する専門的な知識・スキルが必要とされるほか、各部門と連携するためにIT以外のスキルも求められます。
▼情シスに必要な知識・スキル
知識・スキル |
概要 |
ITに関する知識 |
IT機器やソフトウェア、ネットワークなどに関する知識 |
情報セキュリティに関する知識 |
サイバー攻撃への対処法や対策ツール・マネジメントシステムの運用などに関する知識 |
問題発見・解決能力 |
社内システムにおける課題を発見したり、社内の課題をITで解決したりする能力 |
ヒアリング力 |
各部門のニーズ・課題を深掘りして、意見をまとめる能力 |
マネジメント力 |
ITインフラの構築やシステム開発をスムーズに進行できるように指揮する能力 |
コミュニケーション力 |
各部門と円滑に情報伝達を行える能力 |
プレゼンテーション力 |
導入するシステム・ITツールの必要性を経営層や各部門に理解してもらう能力 |
なお、情報シスに必要なスキルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
情シスに求められる新たなミッション”攻めのIT”
DXや働き方改革などが推進されて、企業におけるIT活用が求められる今、情シスには“攻めのIT”を推進することが期待されています。
情シスで対応する仕事は、守りのITと攻めのITという2つの業務領域に分けられます。攻めのITとは、デジタル技術を活用して業務課題の解決を図ったり、ビジネスモデルの変革を図るIT戦略を立案したりすることを指します。
▼守りのITと攻めのIT
業務領域 |
業務内容 |
守りのIT |
|
攻めのIT |
|
これからの情シスには、ITインフラの運用管理に直接関連する“守りのIT”に加えて、IT活用を通して経営戦略に応じた組織を変革する“攻めのIT”を推進する役割が求められます。
情シスが攻めのITを実現するステップ
情シスが攻めのITによって組織を変革させるには、段階を踏んで社内におけるITの活用範囲を広げていく必要があります。
①アナログな業務のデジタル化
社内にアナログな業務が残っている場合、ITツールを導入して業務のデジタル化を進めるところから始める必要があります。
▼業務のデジタル化の例
- 業務連絡を社内メールで行う
- 事務処理や資料の作成にソフトウェアを活用する など
②業務フロー全体へのIT導入
業務単体のデジタル化にとどまらず、業務フロー全体への本格的なIT導入を実践します。ITツールを活用してプロセスを最適化することで、既存の業務全体の効率化が図れます。
▼業務フロー全体へのIT導入の例
- 業務フローに沿ったシステムを開発する
- 定型業務を自動化する
- 業務データを一元管理して分析する など
③ITを活用した競争力の強化
既存業務を効率化するだけでは、守りのITの域を出ません。ITの活用をさらに広げて企業の競争力を強化することで、攻めのITを実践できます。
▼ITを活用した競争力強化の例
- 新たなビジネスモデルの創出につながるシステムを導入する
- AIを活用して社内外のコミュニケーションを効率化する
- ビッグデータを活用してマーケティングを行う など
攻めのITに注力するポイントは“ITアウトソーシング(業務代行)”の活用
情シスが組織変革につながる攻めのITを推進するには、通常の業務に加えて、プラスαの業務に注力できる体制が必要です。
しかし、IT人材の不足が顕著となっている近年では、情シスの運用を一人または少人数で対応している職場も少なくありません。
社内でリソースを十分に確保するのが難しい場合には、定型的なノンコア業務についてITアウトソーシング(業務代行)を活用することが有効です。
ITアウトソーシングを活用することで、定型業務や負担の大きい業務を外部に依頼して、経営戦略と密接に関わるIT戦略の策定に注力できるようになります。
なお、ITアウトソーシングの種類や活用メリットについては、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、情報シスの仕事内容について以下の内容を解説しました。
- 情シスの基本的な仕事内容
- 情シスに必要な知識・スキル
- 情シスに求められる攻めのITに関する概要
- 情シスが攻めのITを実現するステップ
- ITアウトソーシングによる攻めのITへの注力
情シスの基本的な仕事内容はITインフラの構築・保守運用やセキュリティ管理、社内システムの開発・導入、IT資産管理、社内ヘルプデスクと多岐にわたります。
しかし、DXや働き方改革が推進されるこれからの時代においては、このような守りのITだけでなく、攻めのITを実践することも情シスに求められます。
情シスが攻めのITに注力するには、通常の業務に加えてプラスαの業務に注力できる体制が必要です。人材が不足している場合には、ITアウトソーシングを活用して補う方法もあります。
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詳しくは、こちらの資料をご確認ください。