情報システム部門を少人数で運営するのがつらいのはなぜ? 業務改善をしないことで起こり得るリスクと解決方法
社会や事業活動などのあらゆる領域でデジタル化が進むなか、IT人材は量・質的に不足しており、情報システム(以下、情シス)部門をひとりまたは少人数で運用している企業も少なくありません。
情シス部門では、業務基盤となるITに関する全般の業務を担っていることから、業務量が多くなりやすく負担を感じる従業員もいると考えられます。
企業のIT関連業務に携わる管理者のなかには「情シス部門の担当者がつらいと感じる理由は何なのか」「どのような解決方法があるのか」と調べている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、少人数で運用する情シス部門が「つらい」と言われる理由やその解決方法について解説します。
なお、ひとり情シスが抱える課題と対策については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
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少人数の情シス部門が「つらい」と言われる理由
情シス担当者が負担を感じる理由には、業務の量や専門性が関係していると考えられます。
▼情シス部門担当者が負担を感じる主な理由
- 業務量が多く手が回らない
- ITに関する知識・技術の習得が難しい
- 相談やサポートを依頼できる人がいない など
情シス部門では、システム開発や保守運用、問い合わせ対応などのIT全般に関する幅広い業務を担当します。ひとりまたは少人数で運用している場合には、業務量が増加して手が回らなくなる可能性があり、体力面の負担やプレッシャーにつながりやすくなります。
また、IT技術は加速度的に進化しているため、最新技術に対応する必要があります。このことから、ITに関する専門的な知識・技術の習得も常に必要となり、「業務の難易度が高く対応に苦戦してしまう」「ミスが頻繁に起きてしまう」といった理由でストレスを招くケースも考えられます。
そのほか、ITに関する業務について周囲に悩みを相談したり、サポートを依頼したりできない環境となっている場合には、責任の重さから負担を感じてしまう担当者もいます。
なお、IT業界における働き方改革の課題と改善の取り組みについては、こちらの記事で解説しています。
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情シス部門の業務改善を行わないことで生じる問題
情シス部門の業務改善を行わずに業務を進め続けると、事業活動や労務コンプライアンスなどにさまざまなリスクが生じやすくなります。
▼情シス部門の業務改善を行わないことで生じる問題
- セキュリティ対策が手薄になる
- 長時間労働が慢性化する
- トラブル対応が遅延して業務停止を招く可能性がある
- 離職時に後任を確保できない など
情シス部門が業務過多になっていると、日々の運用管理や問い合わせ対応などの業務に追われてしまい、セキュリティ対策まで着手できなくなることがあります。十分なセキュリティ対策を講じていない場合、サイバー攻撃や情報漏えいなどのインシデントにつながりかねません。また、長時間労働が慢性化して、心身の負担によって労働災害を招くことも考えられます。緊急対応が必要なトラブルへの対応が遅延した場合には、事業活動を継続できなくなるリスクもあります。
情シス部門が属人化しており、ITに関する運用管理をすべて任せている場合には、担当者が離職した際に後任者を確保できず、情シス部門が不在になってしまうこともリスクの一つです。
なお、情シス業務の引き継ぎについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
少人数で構成された情シス部門の問題を解決する方法
情シス部門の問題を解決するには、業務の切り分けや効率化を行い担当者の負担を軽減するとともに、コア業務に専念できる体制をつくることがポイントです。
①業務の棚卸と切り分けを行う
情シス部門が対応している業務の棚卸を行い、コア業務とノンコア業務の切り分けを行うことが重要です。
コア業務とノンコア業務を切り分けて情シス部門の業務範囲を明確にすることで、より重要なコア業務に時間を充てられるように運用体制の見直しを行えます。
▼業務の切り分けを行うポイント
- 情シス部門のコア業務とノンコア業務をすべて洗い出す
- 業務の優先順位と必要な知識・技術を整理する
- 各業務の担当部門・担当者と責任の所在を示した業務配分表を作成する
優先度が高く専門性が求められるコア業務を情シス部門に配分して、ノンコア業務をほかの部門で兼任とすることで、情シス担当者の負担を軽減できます。
また、情シスが対応する業務の内容や範囲を明確にしておくことで、雑務や問い合わせ対応を減らすことも期待できます。
なお、業務の棚卸をスムーズに進める方法は、こちらの記事で解説しています。
②効率化を図れるツールを導入する
ノンコア業務を効率化できるツールを導入することも有効です。
コミュニケーションツールやクラウドサービスなどを利用することで、情シス業務の進行、従業員からの問い合わせ対応などをスムーズに行えるようになります。
▼業務効率化を図れるツールの例
ツール |
概要 |
RPAツール |
パソコンでの反復作業を自動化できる |
チャットツール |
情シス担当者間や業務部門の担当者とリアルタイムなコミュニケーションがとれる |
サービスデスクツール |
情シス部門のタスクやスケジュール、伝達事項などを担当者間で共有できるほか、問い合わせのチケット管理も行える |
ファイル管理・共有ツール |
クラウド上でIT資産管理表や仕様書などのファイルを管理・共有できる |
チャットボット |
従業員が質問を入力すると、システムによって自動での応答が行える |
③社内マニュアルやFAQを作成する
社内で使用するシステムやIT機器などに関して、従業員向けのマニュアルまたはFAQを作成することも方法の一つです。
システムエラーが生じたり、IT機器の操作方法に不明点があったりした際に、従業員の自己解決を促すことで、情シス担当者による問い合わせ対応の負担を軽減できます。
▼社内マニュアルやFAQを作成するポイント
- ITに関する専門知識がない従業員でも分かりやすい説明を記載する
- 知りたい情報を目的・キーワード・シーンなどで探しやすいようにする
- パソコンやスマートフォンなどからいつでも確認できるようにする
また、情シス部門向けのマニュアルまたはFAQを作成すると、業務フローや作業内容、回答内容などが標準化されるため、属人化の防止にもつながります。
④ITアウトソーシング(業務代行)を活用する
情シス部門が業務過多になっている場合には、ITアウトソーシング(業務代行)を活用してノンコア業務を委託することも方法の一つです。
情シス担当者の負担が大きい業務や、自社で対応が難しい専門的な業務を外部に委託することで、長時間労働の是正、対応の迅速化につながると期待できます。
▼ITアウトソーシングする情シス業務の例
- ITインフラの監視・障害対応
- システム開発
- IT資産管理
- 社内ヘルプデスク
- キッティング など
なお、ITアウトソーシングの形態や種類については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、少人数の情シス部門について以下の内容を解説しました。
- 少人数の情シス部門が「つらい」と言われる理由
- 情報シス部門の業務改善を行わないことで生じる問題
- 少人数で構成された情報シス部門の問題を解決する方法
情シス部門では、業務量の多さや専門性の高さなどから心身の負担を感じている担当者も少なくないと考えられます。
慢性的な長時間労働や対応の遅延による業務停止などの問題を解決するには、情シス業務の効率化を図り負担を軽減することが重要です。
業務の配分を見直したり、作業の自動化・省人化を図ったりする方法のほかにも、ITアウトソーシングを活用してコア業務に専念できる体制をつくることも一つの方法です。
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